不幸と幸運
気が付くと俺は洞窟のような場所にたっていた。そして目の前には豪華な大きい扉があった。
「ここに入ればいいのかな?チュートリアル用の部屋かな」
などと楽観視していた数分前の自分を殴りたい。
「グルァァァァ」
扉を開けたらそこはボス部屋でした。ふざけんなぁぁぁぁ! 何だよあの強そうな虎は! 落ち着け、俺。まずは鑑定だ。
白虎
レベル500
見間違いかな? 俺にはレベル500って見えるんだけど。え? 俺のレベル? そりゃもちろん1だよ。どうみても最初に出会っちゃいけないモンスターだろあれ……。
待ちきれなくなった白虎が鋭い爪で引き裂こうと地面を蹴った。それを俺は冷静に回避――できなかった。
「うあぁぁぁぁ」
くそっ、これ本当にゲームか? 痛みが尋常じゃないぞ。もう一歩も動けない。
白虎がとどめを刺そうと一歩一歩近づいてくる。怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い……。
「うわぁぁぁぁ。こっち来るな!!」
瞬は必死に逃げようとするがうまく体が動かない。白虎が腕を振り上げる。思考回路が恐怖で埋め尽くされる中、瞬は一か八かの賭けに出ることにした。こうしている間にも白虎の爪は刻々と近づいてきている。これがうまく行かなかったら間違いなく死に戻りだろう。
「テイム!」
瞬はボス部屋の壁にもたれかかって体力の回復を待っていた。その目の前には白虎が寝ていた。そう、テイムに成功したのだ。初めての仲間ゲットだぜ!テイムしたモンスターのレベルはテイマーのレベルと同じになるらしい。
そしてもう一つ収穫があった。なんと倒さなくてもテイムに成功すれば経験値が手に入ったのだ。レベル500の白虎をテイムした俺のレベルは1から一気に103まで上がっていた。まだサービス開始から2時間ほどしか経ってないのにもう3桁か……。
「あれ? もしかして俺って最強なんじゃね?」
ちなみにこの場所は『四大迷宮』のひとつであり、クリア難易度はこのゲームでもトップクラスである。この迷宮に転移したのはバグなのだがそれを知るのはまだ先のことである。ちなみにテイムの成功率は一律0.05%であり一度失敗すると二度とテイム出来ないという制限がありテイマーが不遇職と言われているのは余談である。
「そろそろここから出るか」
体力が回復したシュンはそう呟いて転移魔法陣の元へ歩き迷宮から脱出した。
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