その6
【9:続続・お嬢様は見た目から入りたい】
「笑いですわ」
「ハァ?」
なんだろう?漫才師にでもなりたいのだろうか、このお嬢様は
「悪役ならそれ相応の笑い方をするべきだと思いますの」
「あぁ、そっち」
王道的には金髪縦ロールがオーホホ的な笑いをするみたいなアレか…
「私なりに調べてみたのですが…」
「お嬢様にゃおほほ笑いはちょっと難しいと思うんすけど」
「三段笑いなる手法を使えば誰でも手軽に悪になれるらしいですわ」
お嬢様は少し俯いて片手を目の上ぐらいに添え…
「フフフ…ハハハハ…ハァーッハッハッハ!」
「違ァァァァう!!それッ!なんか違うっすよね!悪役っぽいけどなんか違うっすよ!」
それたぶんイケメン専用ッ!!
イケメンで厨二を患ってそうなヤツ専用!
「あら?私としては結構気に入りましたのに」
「いつものコトっすけど、方向性がおかしいっす」
ただ、お嬢様がお嬢様でなくお坊ちゃまでショタボーイならアリだったかもしれない
「どうせなら個性的な笑いを目指しては?」
「個性的?」
「そーっす、グヘヘヘみたいな?」
「…蛮族みたいですわね」
「まぁ、今のはケダモノ的な感じっすけど」
「そうですわね………ファファファ?」
「悪っぽいけど、やっぱなんか違うっすね」
【10:お嬢様は雨が嫌い】
「…雨ですわね」
「雨っすね」
昨晩から降り続ける雨は未だ止む気配はない、時折、雨足が強まり、水滴が窓をビシビシと叩く音がする
「こう、雨ばかりだと気が滅入りますわ」
「そーっすね」
「アナタ、雨乞いの儀式とか出来ないの?」
「メイドに何を求めてるんすかね、このボンクラお嬢様は」
「ハァ?」
「ア゛ァ?」
最近、お嬢様も正しいメンチの切り方を理解してくれたらしく、たまにこうやってお嬢様とメンチの切り合いになるのが主従間のトレンドになっていた
「ヤるんすかオジョーサマ?私、ケンカ強いっすよ?」
「上等ですわ、オモテに出なさい」
「あ゛?雨降ってるんでイヤっすよ」
「奇遇ですわね、私もイヤですわ」
「………トランプでもするっすか?」
「イヤですわ、アナタすぐイカサマしますもん」
「何言ってるんすかお嬢様、バレなきゃイカサマじゃないんすよ」
「…やってるのは認めるんですのね」
今日の2本
アッシュくん不在回