その3
【4:続・お嬢様は書類選考がしたい】
「え~…ヒカル・カガミ、二年、中等部時代、陸上部期待のエースだったが膝を壊す、現在はクサクサした学園生活を送っているが内心では走る事への情熱を捨て切れておらず部の危機には~………って!!余所でやれッ!!主人公かッ!」
ついカッとなって書類をテーブルに叩きつけてしまった
っーかこの学園、主人公属性多いな!
「なかなか理想的なライバルは居ませんわね」
最初はウキウキ気分だったお嬢様もさすがに飽きたらしく、最早書類も読まずにさっきからクッキーをかじっていた
「あ、この方なんかどうかしら?ワジカラ・メティアールさん、一年生、趣味はパズルで特技は読書」
「普通っぽいすね」
「将来の夢は誰も完成させたことのない古代パズルを完成させることらしいですわ」
「あ、それ、たぶんダメな感じっす、なんかたぶんダメなヤツっす」
そいつに関わるとお嬢様がわたくしのターン!とか言い出しかねない気がする…
「っーか、お嬢様」
「なんですの?」
「ライバル的なのを探すよか、もうなんか学園を支配したほーがいいんじゃねぇっすか?」
「えらく雑ですわね」
「そしたら対抗勢力が自然に出てくるんじゃねーっすか?こんな横暴許せないぜーッ!みたいな?」
「なるほど…」
まぁ、学園理事の孫娘とは言え、所詮は一学生、肩がぶつかったら退学とかはできないだろう
「肩がぶつかりましたわと言って退学ですわね!」
「できるかッ!」
「お嬢様、貴族主義など如何でしょうか?貴族にあらんずば人にあらずと言った具合で徹底的に庶民学生を弾圧してみては?」
爽やかになんてコト勧めるのかね、このクソ執事は
「ふむ…たしかに」
「や、お嬢様、支配とか言ってみたもののお嬢様に退学権とかないっすからね?」
「…学生食堂では庶民はCランチを食べれないようにするとかどうかしら?」
「素晴らしいお考えです、お嬢様」
「フフ…我ながら極悪と思える案ですわね、自分で口にして震えが止まりませんわ」
なんて地味な嫌がらせを思いつきやがる
まぁ、Cランチは1番高い割に食べ盛りの学生には物足りない量らしく、あまり注文されないメニューですけど…
「さて…良い案が浮かんだところでお腹が空きましたわね」
「今日のメニューはシイタケの肉詰め、シイタケのバター焼き、焼きシイタケ、あと、デザートのシイタケっす」
「嫌がらせ過ぎますわ!?デザートのシイタケってなんなんですの!?」
「シェフがお嬢様の為に心を込めて作るから残さず全部食べるんすよ」
「………私、今日はカレーが食べたいですわ」
「じゃ、キノコカレー追加で」
「キノコ類から離れてくださいまし!せめて!せめてペラペラの薄切りに!」
【5:お嬢様は見た目から入りたい】
「やはり、縦ロールですわね」
午前の仕事があらかた終わらせ、一心地つこうとしていた矢先にお嬢様に出会ったのが運のツキ
何かの本を小脇に抱えているので、いきなり縦ロールとか言い出したのもそれの影響だろう
「まぁ、定番っーか…王道っーか」
「ですわよ」
ただ、お嬢様の髪は王道にありがち金髪ではない、いわゆる白銀だ
まぁ、縦ロール別に金の専売特許ではないが…
「別にいいんじゃないすか?」
まぁ、お嬢様が縦ロールにしたところで害はないし、せいぜい可愛らしさが増すだけだろう
「では早速お願いしますわ」
「え?ムリ」
「使えないメイドですわね、ではアッシュに頼みますわ」
「アッシュくんなら外で“掃除”してるから頼むなら戻ってからにしたほーがいいっすよ」
「わかりましたわ」
まぁ、今頃はもう掃除も終わってるだろうけど…