その2
【3:お嬢様は書類選考したい】
「厳正な選考をしましたところ、数人の候補者をピックアップしてみました、ご確認下さい」
テーブルに並べられた数枚の学生名簿
個人情報がビッシリと記載されたそれは本来、学園内で厳重に管理されている筈の書類だが…
「さすがですわ」
「恐悦至極」
恭しく礼をする執事の鑑
千人近い学生名簿からの選別を一晩でやってくれましたは正直、ひくわー
「この中に私をアツくさせるライバルにいますのね…」
「や、そりゃどうなんすかね?」
お嬢様はウキウキ気分で書類を手に取り早速読み始めた
「え~とまずは…マリエ・スターロードさん、二年生ですわね」
「スターロードって…」
すげェ!スターロードとか!もう主人公になるしかねぇ名前だよ!間違っても邪悪なる者にはつかない苗字!聖なる者の名前だよ!
「ふむ…西の村出身、学業成績は極めて平凡、卒業後は母の営むケーキ屋を手伝いたい、ふむ…お母さん想いの良い方の様ですわね!」
「名前以外は平凡っすね」
「しかしこのマリエ・スターロード様には1つ懸念する点があります」
「なんですの?」
「はい、故郷に幼なじみの男が居るのですが、昨年末に帰郷した際に年末に行われる村の祭に参加した際に既に行為に及んでいる可能性が…」
「ストォォォップ!!!ヘイ!アッシュ!ヘイ!!ストップ!!」
この野郎ォ!お嬢様になんてコトを平然と言ってるんすかね!
とりあえずのアッシュくんの肩に手を回し部屋の隅へ引きずって連れてゆく
「ヘイ!お嬢様にそっち系の話はまだ早いっすよ!」
「これでもかなりオブラートに包んだ言い方をしたつもりでしたが…」
「行為ってなんですの?とか聞かれたらどーするんすか?」
まぁ、年齢的にはお嬢様は嫁に出してもOKな年齢なのだが、歳不相応な見た目なのでこっちとしてもどうにも過保護になってしまう
「ちょっとー!2人だけで何の相談ですのー?」
「なんでもねぇっす」
「はい、お嬢様のお美しい点を話し合っておりました」
とりあえずこのスターロードちゃんはダメっすね、っーか何度聞いてもすげェなスターロード!庶民感がまるでしない
「では次、ハルカ・ドルオルラさん、こちらも二年生ですわね」
これまた強そうな苗字だよ…
「あら?この方は転入生なんですの?我が学園に来る前は王立の専門院に?へぇ~」
「はい、当初、学園では特定の友人をもたなかったのですが図書館に秘蔵されている禁書、黒のグリモアの封印を巡る事件を経て現在は数人の生徒達と良好な関係を築いているそうです」
「別なトコで主人公やってるじゃねぇっすか!!なんすかその事件ッ!?」
「危うく学園中の女生徒が淫らになるやもしれませんでした」
「しかもそっち系かッ!!」
そんな事件があったのによく普通に通ってたな、お嬢様
「へぇ~、そんなコトがありましたの?知りませんでしたわ」
「はい、主に、お嬢様がお帰りになられた後の夜間でしたので」
ついでに、不幸にも事件に巻き込まれてしまった生徒の記憶はアッシュくんがあらかた改竄して回ったそうだ