猫と二人
公園のベンチで、猫は丸くなっていた。
「待たせたな。寒いだろ?僕の膝の上にのるといい。」
僕もまたベンチに座り話しかける。
膝の上に餌の缶を置いた。
のそりのそりと、猫が歩いて膝の上にのった。
混んでいた所為で温くなったコーヒーを一気に煽る。
カイロは、使う気にならなかった。
膝の上に猫がいるお陰で寒くは感じないし、猫を連れて家に帰るつもりだったからだ。
猫が食べ終わったのを見て、優 しく撫でた。
幼馴染は僕と猫を見ながら、ベンチに座らずに立っていた。
「これ、やる。これからどこかに出かけるんだろ?だったら、使ってくれ。」
幼馴染は、苦笑いする。
「ううん、少し、気分転換に散歩してただけだから。そうだ、悠君の家に行ってもいい?勉強でわかんないところがあって…、教えて欲しいなぁ…なんて。ダメ…かなぁ?」
お膳立ては整っているとでも言うように、幼馴染の片手には勉強道具と思しき手提げ鞄を持っていた。
いつもの僕なら、帰れと言っていただろう。
しかし、それは言えなかった。
「ダメ…じゃない。でも、危ないから、早く帰れよ?」
僕はずっと、優しくなるきっかけを探していたのかもしれない。
他人を遠ざける事ばかりしてきた僕が、寂しさを覆い隠すように日々を生きてきた僕は。
「うん!」
猫を抱いて、僕は歩き出す。
うっすらと積もった雪の上に、足跡が残った。
それは、僕が確かにここに存在している事を示していて…、また、生き続けなければならないことを、示している気がした。
投稿できたけど、読んでる人はいるのでしょうか…。読んでくれたら、嬉しいです。