僕の恋心
「遅い、よ。」
「ごめん。ほら、これを飲んで。」
僕は謝罪もそこそこに、僕は風邪薬とスポーツドリンクを手渡す。
「ヤ!」
優が首を振って、拒否っていた。
「飲んでって言ってるだろ!」
僕は更に押し付ける。
僕が怒ったのに驚いている様子だが。
「苦いから、ヤ!」
しかし、飲んではくれない。
僕は風邪薬とスポーツドリンクを口に含んで、優の鼻を摘まむ。
優が呼吸しようと口を開けたタイミングで、口付けをした。
コクコクと優の喉が動き、嚥下しおえたであろう時に、口を離す。
「ごめん。」
そう呟いたが、気付いた時には再度唇が触れ合っていた。
優の舌が僕の口の中を蹂躙する。
「にゅふふ。仕返し。」
熱がでて、幼児退行でもしているのだろうか。
無邪気に笑う姿は相変わらず可愛い。
優が少しだけ布団を捲る。
「一緒に寝よ?」
そんな可愛い顔で一緒に寝ようなんて言わないで欲しい。
僕の箍が外れてしまったらどうするのだろう。
「それは…」
「なんで?なんでもするって、言ったじゃん。」
確かに、言ったのは僕だ。
ならば、僕が責任を持って添い寝すべきなのだろうか。
なんだか、僕の頭までおかしくなってきたようだ。
僕の首筋に飛び込んだ優が、僕をベッドに倒す。
どこにそんな力があったのだろうか。
「寝るもん。」
むぎゅっと、僕の体が抱きしめられる。
「おい、優。」
もう、優が寝るまで待つしかないかと、素数を数えるが、すぐに、次が思いつかなくなる。
ふと横を見れば、幸せそうに僕の胸に顔を擦り付ける優。
その可愛さは異常だ。
先程から、いく度、優のコトを可愛いと思っただろうか。
優の髪を優しく梳く。
柔らかく、指通りが滑らかで綺麗な髪だ。
アイツと付き合ってから、僕は優が好きだったんだと気付いた。
今もまだ、僕は優が好きだ。
でも、僕には優に好きだと言う資格がないのだ。
『僕と一緒に、死んでくれ。』
その残酷な言葉を優に突き付けた僕には、優を愛する資格なんてないのだ。
それでももし、許されるならば、僕は優と共に未来を見たい。
それは、きっと許されないから。
僕が君に恋するコトだけは、許して下さい。