エピローグ 想いの先
~エピローグ~ 想いの先
それから数週間後、夏休みになり俺は旅に出た。
まあ旅なんて大層なものじゃないかもしれないが…
そういえば一つ気になっていることがある。
高畑がやけに真剣に言っていたことがあった。
俺にはまだ時間がある。
これから確認していくこともできるだろう。
だから今は進もうと思う。
未だに世界は遠いモノだけど、あの事件以来ちょっとだけ近くなった気がした。
(死んだ奴と出会い、この世を近くに感じるようになった、か…)
それでもいいと思う。
どういう形にしろ前へ。
あいつのおかげで俺はこうしてまた、前に進んでいるのだから。
ズボンのポケットにはいつかもらった紙が突っ込まれていた。
これからのことはわからない。
あの人に会って同じ道に進むのか。
それとも折り合いをつけて社会に紛れて生きていくのか。
何にもできない俺だけど、俺にだってやりたいことが見つかるかもしれない。
たとえ自己満足に過ぎないとしても俺はやりたいことやって、アイツに自慢できる生き方をしたい。
あいつの最後の笑みを思い出す。
あれをまた見たい。
それだけだ。
誰かのためじゃなく俺自身のため。
だからこれは俺のエゴだ。
自己満足だ。
認めよう。
それでも前に進むために俺が選べる選択肢はこれしかなかったのだ。
だから旅に出た。
電車に乗ろうとしたその時。
優しく風が吹き抜けていった。
誰かの、想いを乗せて
「いってくるよ。」
誰かに向かって呟いたその言葉は風に乗って消えていった。
最後まで読んでいただきありがとうございました。これにて「瀬」は完結となります。感想をいただけると嬉しいです。




