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  作者: 神葉空気
11/13

幕間 5 嘘

幕間 嘘


あの人に憧れて真似してるうちに私の周りには結衣しかいなくなっていた。

こんな風になっても一緒にいてくれる大切な親友。

なのに…

なのに私は結衣を裏切った。

結衣に言われるまでアイツの良さに気付きもしなかったくせに。

言われてみて初めて気付く。

いつも独りで、私以上に孤独なアイツが、誰よりも周りのことを想っていること。

本人にはその自覚すらないこと。

結衣は口下手だからうまく言えなかったけど、アイツを見ていたら結衣の言いたかったことが分かった。

人のことを避けているのに、人に避けられているのに、アイツはほとんど意識せずに人のための行動を優先する。

誰も気付けなかったアイツの本当。

それに気付ける親友が誇らしかった。

けれどそれに嫉妬している自分もいた。

私は他人のことを真剣になんて見ていないのだろう。

たぶん私だけじゃない。

人はみんな自分の周りの小さな世界だけを必死で見ていて、外の世界のことに気付けないのだ。

それだけこの世界は人と人がつながることの難しい世界なんだ。

でも、だから、みんな人とつながろうとするんだろう。

それこそ大事な親友を裏切ることになっても、同じ人を好きになってしまうくらいに。

わかってる。

これはいいわけだ。

結衣に謝る勇気もないからこうやって自分に言い訳して自分をごまかそうとしている。

そんなことはわかってるんだ。

それでも変えることのできない感情。

本気で男の子を好きになることを知ってしまったその日から、結衣に会うたび後ろめたさが消えることはなかった。

それでも親友を騙し、自分を騙していた。

それなのにアイツへの気持ちだけは騙せなくて。

あの日、すべてを打ち明けようとした。



それが叶うことはなかった。


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