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「大陸に渡るのかい。危険な船旅になるよ」

 そう船乗りはいった。危険は承知と二人は請け負って、船に乗って、大陸を目指した。途中の船旅では、龍が海の中を泳いで襲ってきた。

「水龍だ。襲われたら、まず助からん。お嬢ちゃんたち、運が悪かったね。この船はじきに沈むだろう」

 それで、奮い立った弐卦が剣を抜いた。

「水龍が何ほどのものだ。ぼくが相手してやる」

 その声が聞こえたのか、水龍はごろろろろろろと心地よい声を鳴らした。

「あたしも戦うよ、弐卦」

 此花も剣を抜いた。

 水龍が船を揺らしながら、船の横に首をもたげた。ぐらんぐらんと揺れる船で立っているのもたいへんだ。船縁をつかんで、姿勢を保った弐卦は、水龍の首へ斬りつけた。

 がきんっ。水龍の鱗はとても堅い。弐卦の剣で簡単に斬れるものではなかった。

 ばさーん。水龍が船をひっくり返した。

 弐卦も、此花も、船乗りたちも、みんな海へ放り出された。

「ごぶぶ。ごぶぶ」

 海の水を飲んで溺れそうになった弐卦が、がんばって壊れた船の木板につかまると、水龍は、弐卦目がけて、襲ってきた。

 負けてたまるか。弐卦は、根性で力を振り絞って、剣を水龍に向けて突き刺した。

 ずぼっ。・

 手応えがあった。

「ぎゃおお」

 と悲鳴をあげて、水龍がのたうちまわる。剣は水龍の体から抜けた。弐卦は、剣だけは離さないように、しっかり握っていた。

「弐卦、無事だったのね」

 見ると、水に濡れた此花が剣を持って、近くの木板につかまっていた。

「此花、無事か」

 お互いに声をかけあって、勇気づけられると、再び、二人は、水龍に向かって立ち向かった。

 近づいてくる水龍に、ずぼっと剣を突き刺す。そして、剣を持って行かれないように、束をしっかり握って、剣を引き抜く。

 弐卦と此花が数回ずつ突き刺したことで、水龍は力尽き、海の底へ沈んでいった。水龍はもう泳げないようだった。あのまま、死ぬのだろうか。

「龍に勝ったのか、ぼくたち?」

 弐卦は流される木板につかまりながら、此花を探した。此花は、ちょっと遠くに離れた船の切れ端にいる。弐卦は、此花のところまで泳いでいった。

「弐卦、生きているのね、あたしたち」

「ああ、しっかりしろ、此花」

「もうダメだよ。力が持たない」

 木板からずり落ちそうになる此花を抱きかかえて、必死に泳ぐ弐卦。

 ここまでか。

 船が壊れては、とても大陸までは行けない。

 二人があきらめかけたその時、海の底から、一頭の水龍が再び姿を現した。

 傷のないさっきとは別の水龍だ。

 その水龍は、弐卦と此花を背中にのせると、西に向かって海上をすらすらと泳ぎ始めた。

「なんだ? ぼくたちを運んでくれるのか、水龍」

「そうだ。さっき、お主たちを襲ったのは悪い水龍だ。わしは良い水龍だから、お主たちを助けて大陸まで送ってやろう」

 こうして、二人はなんとか海を渡り、大陸にたどり着いた。

 東の国を出て、中央の国に入った。


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