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 高天が原から地上へ降りると、そこは蓬莱という島だった。仙人の住む島だという。

 鳳凰という鳥が棲み、麒麟という聖獣が生気を吸って生きていた。麒麟という一匹の獣に対して、一人の少女が周りでわあわあわめいている。

「だから、ごめんなさいっているでしょ。あたしは皇帝になんてなりたくないんだってば」

 すると、麒麟が首を振って、きゅういい、と鳴くのだった。

「どうしたんだい」

 少年が声をかけると、少女がきっとにらんだ。一瞬、びくっとする少年。

「ほら、麒麟。あの少年なんてどう?」

 と少女が声をかけると、麒麟は弐卦の方へ寄ってきて、ぶるんぶるんと首を振り、きゅういい、と鳴いた。

「なんだ、この獣。なんか、すげえ、むかついたぞ」

「ごめんなさい。あなたは皇帝には不適格みたいだわ」

「なんで、おれが皇帝に不適格だとかわかるんだ。勝手に人を軽々しく判断するなあ」

 少年は怒ったが、少女はけろりとした表情で答える。

「じゃあ、あなた、皇帝になりたい?」

 少女が聞いた。

「皇帝って、何だ?」

 少年が答える。そこからまずはわからない。

「皇帝っていうのは、南の国を治める帝都のいちばん偉い人だよ。その皇帝は、この蓬莱の麒麟が選んで決めることになっているの」

「なんだ、すごく偉い人なのか。それは、帝釈天より偉いのか?」

 すると、少女はちょっと興味を引かれたように答えた。

「いいえ。皇帝は帝釈天より偉くはないよ」

「じゃあ、やっぱり、この世界を支配しているのは帝釈天なんだな」

 少女は首を傾げて、考えてから答えた。

「ううん、どうなのかなあ。中央の国ではいちばん偉いには帝釈天だけど、ここ東の国でいちばん偉いのは天照さまだし、南の国でいちばん偉いのは、皇帝を操る玉皇上帝のはずだよ」

「ほう。やはり、皇帝など偉くもなんともないんだな。皇帝は玉皇上帝の操り人形にすぎないわけか」

「まあ、そうねえ。でも、玉皇上帝ってば、天帝のことだし、つまり、人じゃないんだよ。人より偉い神さまみたいなものだよ。皇帝は、生きた人がなれる中ではいちばん偉いんじゃないかなあ?」

 少年は疑問に思った。

「なんだ、そんなに偉いんだったら、おまえ、皇帝になればいいじゃないか。おまえ、ひょっとして麒麟に選ばれたんじゃないのか?」

 鋭い少年の指摘に少女は、うなった。

「うへえ。まあ、そうなんだけど。あたし、皇帝に選ばれたけど、皇帝になりたくないから、代わりの女の子を皇帝として南の国へ送っちゃったの。それで、南の国は荒れているらしいんだよねえ」

「なんだ、おまえが悪いんじゃないか。選ばれたんなら、ちゃんと皇帝をやりに行けよ」

「それが、その気になれなくて。動機は、なんとなくなんだけど。麒麟に選ばれて、皇帝になって人生を終える。それで、いいのかなあって疑問に思っちゃったんだよね」

「ふうん。だったら、おまえ、ぼくと一緒に帝釈天に会いに行くか? なぜ、人が神を崇めなければならないのかを調べに行くんだ」

 少年の誘いにのって、少女はついていくことを決めた。

「うん、いいよ。あたしの名前は此花このはな

 こうして、少年と少女は須弥山を登る旅に出た。


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