[第四話]常連からの依頼:捜査協力
殺人事件に関わるけど、生々しい描写はない
『こんにちは…………』
この日、私が拠点に戻ると、いつもより多くの人が部屋で待ってました
「玲奈ちゃんこんにちは」「澄川さんこんちわっす」
揃子とナズマはいつも通りだけど、他にも見慣れた人が2人ほどいました
「やあ久しぶり。リリだよー」
リリと名乗るこの背の低い、銀色の長い髪をした女の子は、
名前を石里 凛 という。歳は揃子の1つ下の13歳。
ちょっと天然で、何を考えているのかよく分からないけれど、
実は私たちの手助けをしてくれる協力者の1人でもある
「お久しぶりです、澄川さん」
一方で、こっちの背の高い、黄色の短めの髪をした男性は、
名前を一条 進という。社会人な19歳。
勤務歴1年のまだまだ新人な警察官で、私たちの協力者の1人であると同時に、
依頼人としての常連さんでもある
【またあなたたちですか】
「ハハ、変わり映えしない面子で申し訳ない」
進が自嘲するような表情なのもいつも通りで。
お茶を用意し、全員に回してから、用件を聞く
【で、一条さん、今日は何の用事ですか?】
もっとも、リリが来てる時点で、探し物をするということは確定だけど
「事件の被害者の遺留品や遺体、犯行に使われた凶器とかを一緒に探してほしい」
「やっぱり事件関係なのね。毎度のことだからあまり驚かなくなっちゃったよ」
揃子がそう吐露する。私も似たような心情です。
「毎度のごとく部署が別件捜査で人手不足なんだ。また頼むよ」
毎回聞く"人手不足"の言葉。この町の警察はどうなってるの……
【引き受けます。困ったときにはお互い様ですよ】
と言っても、向こうからの依頼の方が多いんだけどね
【では、下準備はいつもの手順で。一条さん、メモは準備できてる?】
ここで言うメモとは、みんなに事件の概要を伝えるためのもののこと。
具体的に何を探せばいいか知る必要があるから。
「ああ、リリに渡せばいいんだろう?」
メモはリリの手に渡る。読み上げるのはリリの仕事。
全員が必要最小限の情報を知るために、こういった方式になっている
「あーい。じゃあ、読むよー
被害者さんは、大人の女の人で、歳は40歳くらい、財布や手鏡とかが入ってる
ハンドバッグを持ってました。2日前に行方不明になりましたー。
容疑者さんが言うには、遺体はポリバケツに入れて、
荷物、犯行に使ったナイフともどもこの町の山の中に捨てたんだって」
リリが読み終わったメモを進に返し、進はそれをポケットにしまう
さて、次は行動内容をナズマが確認することになってるのだけど……
「(リリはやっぱりかわいいな~)」
いつものようにリリの方を向いてボーっとしてるので、私が手をたたいて合図。
パン!パン!
「ハッ!! えーと、犯行から時間が経っていないので、遺体や証拠物品は
比較的傷んでないかと思われる。
ハンドバッグの中身が多少散らばることも考えうるので
そういった前提で、えーと、探しちゃいましょう、はい」
なぜかいつも妙に緊張してしまうナズマが話し終えたので、
最終指示を私から。
【大体の位置はリリを頼りにして、そこから私、一条さん、ナズマで
手分けをして探します。
留守は揃子ちゃんに任せます。
それでは、行動開始!】
そして、私、一条さん、リリ、ナズマは、一条さんが用意した車で
現場の山へ向かいます
作品をまたいで一条3兄弟が揃いましたー!