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プロローグ的なもの

皆さんは、「多人数同時参加型オンラインRPG」というものをご存知だろうか?


簡潔に説明すればネットなどでするオンラインゲームの一種。


RPG的要素、キャラクターの成長(身体の変化)、ファンタジーなど物語演出、世界を探検する冒険、さらに膨大なクエストの数々、小型ゲーム機で一人でやるのではなく、これらをオンラインで行うことで、沢山の人との駆け引きなどが楽しめるゲームであり。

しかも、これはバーチャル空間に意識だけを放り込めることで、すべてにおいて楽しめることのできるゲームだった。


日本ではかなり人気の高い種類のゲームで、「MMO」や「MMORPG」などと呼ばれていたりする。


そういったゲームの一つとして産声を上げたのが、「デーモンファンタジー」だった。


デーモンファンタジーは、キャラメイキングは出来るが、どんなにしても悪魔の姿になることで有名だった。


しかも、成長すればするほどに人型の悪魔を離れていく事になる。


三人称視点を排除し、あたかも自分がその世界にいるように錯覚する。


そして天井知らずの自由度、善も悪もプレイヤー本人が決め、その世界は正しく小さく大きい世界だった。


無論、現実ではなくあくまでデータの世界での話だけどな。


そこにある力は、現実では実現し得ないものが採用されている。


痛みの強さや、快感、味覚、嗅覚など感覚すべてがあった。


その他にも、魔法、スキル、アビリティ・・・それらはゲームに慣れ親しんだものなら当たり前の用語ではあったが、デーモンファンタジーおいてそれらは無限と言っていいほどあった。


簡単に言えば、ゲームの中でそれらを作成することすら可能であったからだ。


魔法を例にとって見よう。


世界には様々な言語が散らばっている。


それらはモンスターが持っていたり、人間が持っていたり、入手方法は様々だった。


それは世界で作られたコード・・・簡単に言えば、ある現象を起こすための方向性を決めるプログラムみ

たいなものの事。



ある程度のコードを集めたならば、次に行うのは文章作りである。


これはコードを自由に繋ぎ合わせることで、目的の効果を生み出すというシステムであった。


コードの組み合わせは天文学的なものに上りつめたが故に無限と称した。


例えば「ファイア」という火に属する魔法があったとする。


例はとっても幼稚だが、説明しよう。


これ自体は最初のレベルで覚えられる簡単で弱いものであったが、「スーパーファイア」とか「ハイパーファイア」と少し強そうな言葉を加えるだけで微妙に威力や範囲が変わる。


さらに魔法はレベル上昇やジョブから覚えていくのが基本ではあったが、コードを弄ることで新たな魔法を覚えられた。


ゲームでありながら、プレイヤーの国語センスと語彙力・・・更には海外の言語の精通度も求められる、いわゆる遊びながら勉強が少し含まれていた。


そして自由度は、魔法の範疇だけに留まらず、道具作成、商売、スキル……あらゆることに応用され、実装されていた。


無論この組み合わせをコントロールしているのは、人の身では難しいことである。


しかし、馬鹿な天才が居た。


自らを至高の中二と自己紹介に使った猛者が。


この人は全財産を使いスーパーコンピューターを自ら作り出した。


海外の国々が欲しがるほどの性能だった。(本人は超拒否った。しかも、もし脅したら国のデータ全部消してやると脅していたらしい。)


それを惜しげもなく一つのゲームに使いまくった結果が「デーモンファンタジー」だった。


凄かったのはその後だった。


彼の暴走具合はクエストなどや、街の住人・・・いや、NPCノンプレイキャラクターの会話に出てくる中二病な発言の数々・・・。


そして、キャラの姿。


彼は次々と魔王などのキャラを作った。


【サタン】左手に包帯を巻き、髪は目を隠し、人間の姿をしてはいるが、角や羽根はそのまま

【ルシファー】天使を黒く染め上げて、体中に呪文が刻んである

【ベルゼバブ】人間の体をベースに取り付けられた虫の足や手・・・彼の想像力は膨らんだ。


それに対する神々も作り上げられた。


むしろこちらの神々にこそ、彼のオリジナリティが注ぎ込まれたのかもしれない。


【聖神ロリコ】常に小さい子を腕に抱いており、〇ヘッてる

【慈愛神ヤンデー】神なのに瘴気を纏い、その姿は魔王より魔王らしい


・・・名前のあれは気にしないでおいてくれ。


しかし、名前とは裏腹にクオリティはすごかった。


離すと長くなるので省略しよう。


そして、世界である以上、国家、人種、一人一人の生命が存在した。

魔国『グリアンテ』、聖国『フロンテ』・・・。

人間、竜人、亜人、翼人、天族・・・そして悪魔族。

多くの種族の人生が、デーモンファンタジーにはあった。


そして、それを脅かすものも存在していた。

魔物、ドラゴン・・・そして魔王と神。

彼らは決して悪ではない。

ただ、他と比べて相容れぬことが多い、そのような存在なのだ。

その全てにおいて彼は中二要素を吹き込んだ。

最高の中二だった。


それら全てを含めて、「デーモンファンタジー」は人気になった。

それはゲームの中においても、また外においても。

圧倒的なユーザー数、中毒者、社会問題。

よくも悪くも、「デーモンファンタジー」は根強くオンラインゲームの王座に座り続けた。


しかし、盛者必衰。

多くの自由を持って、多くの文化と歴史を生み出し続けたこのゲームは、ある日そのシステムを停止せざるをえなくなった。



全ての魔王、神を単独で討伐せしめた悪魔、・・・いや、魔王が・・・

【闇の王】の二つ名を持つ【ヨシユキ】と呼ばれる魔王が死んだことで、史上最高のゲームと呼ばれた「デーモンファンタジー」は終わった。

いや、ゲームと言うより・・・そのヴァーチャル空間に意識を展開する機械が危険と言うせいで。


勿論、ゲーム中で彼が死んだせいではない。

ちなみに、死因はその機械による脳の焼切れだった。

簡単には説明できない現象の性とはいえ、これを危ないとした国は改善するまでそのゲームを禁止した。

勿論、「デーモンファンタジー」だけでなく、ほかのヴァーチャルリアリティゲームも。

「デーモンファンタジー」の世界は、そのとき終わった。

しかし死んだはずの彼の世界は動き出す。



痛いな。


設定的に。

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