第一話
ここは光の国
先祖代々光を崇めてきた
そしてこれからも、
人々は光に生きる
私は「聖なる太陽」がまぶしくて手をかざした。
眼下にきっちり四角形の街が広がっている。右側の町の端には太陽のようなマークがついたレモン色の塔がそびえていて、その塔から街の入り口まで、町で一番幅広い道路が一直線に通っている。塔から右手に学校、公園、ドーム、農地が広がっていて、左手のほうに住宅街と市場があった。
塀で囲まれた街は、真昼の太陽「天の光」の日光を受けてきらきらと輝いている。街の人々は元気で幸せそうだ。
私が立っているのは街の側の低い山の頂上だった。「近遠山」と呼ばれ、街の人たちが気軽に来ることができて、学校の遠足などにも使われている。でもここに山道は無く、木々がそのままの形でうっそうと茂っているため、簡単な山だと、油断することはできない。
私はこの山が好きだった。風の音、木々がこすれる音、そしてなにより早朝の小鳥たちのハーモニーが好きだった。よくここに来てこうしてバードウォッチングをしている。きれいな声で鳴くメジロ、かわいらしいすずめ、尾が長いエナガ……。言い切れないほどたくさんの鳥たちが好きだった。
「リーア?すごい写真が撮れたよ」
振り返ると、大事そうにカメラを抱えたルルックが息を切らして登ってきた。
「すげえんだ。まるで光の鳥みたいだ。きらきら光ってるんだよ」ルルックはひどく興奮しているみたいだ。
「今すぐ街に戻って、現像しよう」返事を聞かないまま行ってしまった。いつものルルックはどこにいってしまったのやら。
リーアは彼が行った方に急いで下山していった。