あなたはやっぱりバカですね
この話は会話文のみです。
「あぁ……現在時刻は8時56分……この時点で一日分の体力を使い果たしてしまった…」
「…一体どういうことですか、先輩?」
「うわぁ!そこにいたのか詩織。びっくりさせるなよ」
「びっくりしたのはこっちです。せっかくのデートだと思って張り切って待ち合わせ場所まで来て待ってたって言うのに、その相手の体力がもう無いなんて聞かされてるんですから」
「いや、すまない、大丈夫だ。まだまだ遊べる。むしろ走れる。ハーフマラソンならギリいける」
「そこでフルマラソンって言ってほしかったです」
「嘘はつけない性分でね」
「26分遅刻しといてドヤ顔をしないでください」
「すいません」
「まったく…大体、なんでそんなに走らなくちゃいけなかったんですか?寝坊でもしたんですか?」
「バカにするな、俺が寝坊なんてすると思うか?」
「思います。」
「ごもっとも。だが今日は違う。今日は道に迷っただけだ」
「駅の改札前って言いましたよね?」
「ついうっかり駅前のスーパーの下着売り場が待ち合わせ場所だと勘違いしてしまった。誠に申し訳ない」
「なんでよりにもよって下着売り場なんですか!?」
「正直、自分でもわからん」
「あなたはやっぱりバカですね」
「ぐふぅ!」
「はぁ……もういいです。さっさといきますよ」
「で、買い物に来たわけですが」
「はい」
「とりあえず、私の服からみてきますね。先輩はそこのベンチで休んでてください。疲れてるんでしょう?」
「そうだな。女性用の服はよくわからないし、お言葉に甘えるとするよ」
「それじゃあ、1時間後にまたここに来ますね」
「おう」
「ふぅ、結構いっぱい買ってしまいました。少しおくれちゃったなぁ…先輩、痺れをきらしてなきゃいいけど…」
「ええと…待ち合わせ場所どこだっけ…」
「ん?」
「ああ、また迷っちまった、詩織、また怒っちまうぞこりゃあ」
「…何をしてるんですか、先輩」
「うをお!詩織!」
「…なんで下着売り場にいるんですか」
「違う、これには深いわけがあるんだ!下着目的じゃあない!」
「まさか私の彼氏がこんな変態だったなんて…」
「迷子です!迷子になっただけなんです!」
「はぁ…もう呆れました。ほんとにあなたはバカですね」
「も、申し訳ない…」
「もういいです、とりあえずあそこで一服していきましょう」
「私はアイスココアで」
「んじゃ俺はアイスコーヒーをお願いします」
「かしこまりました」
「ふぅ、結構買い物したので疲れました」
「お疲れ様」
「…」
「…」
「…」
「…やっぱり怒ってる?」
「当たり前です。先輩はもう少し考えながら行動すべきです。っていうか、ベンチの場所ぐらい覚えておいてください」
「面目ない…」
「大体、なんでベンチから移動したんですか。何か理由でもあったんですか?」
「ええと、それはその…」
「あったんですか」
「まぁ、一応…」
「なんですかそれは、言ってください」
「その、なんていうか…」
「はっきりといってください!」
「これ…なんだけど…」
「…なんですか、これは」
「えっと、リボン」
「え?」
「だって詩織、この前リボンほしがってたじゃん?せっかくなんだしプレゼントぐらい買おうと思って動いた訳で、まぁこんなことになりました」
「…」
「え、えっと、その…どう?」
「…なんていうか」
「うん?」
「やっぱりあなたはバカですね」
「ええ!?」
「こんなものを買うためだけに迷子になって、挙句の果てに怒られてるんですよ?」
「いやぁ~…面目ない」
「まぁ、そんなところが好きなんですが」
「へ?」
「ん?何をキョトンとしてるんですか?」
「いや、だって、こんないきなり…」
「私だって、プレゼントをされれば愛情ぐらいわきますよ」
「いや、今まで怒ってたし」
「怒るのと嫌うのでは大きく異なります」
「は、はぁ…」
「第一、私があなたを嫌うとでも?」
「いや、まぁ、でもねぇ…」
「そんなことはありません。ありえません。そんなこともわからないなんて」
「あなたはやっぱりバカですね」
お読みいただきありがとうございます。
…なんかやっつけ感が否めない作品になってしまいました。
夜なのでかんべんしてください。
コメディー色が強すぎるのも夜なので勘弁してください。
こんな感じですが、できたら感想などをよろしくお願いします。