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ちいさなハリネズミと ひかりのたね

作者: 竹内 昴
掲載日:2025/10/28

ぼくは、森のはずれにすむ ちいさなハリネズミ。

まるい巣のなかで、ひとりでくらしているんだ。

だれかと話したいけど、

話す声も、あたたかさも知らなかった。


「ぼくって、ずっと このままなのかな……

ある日の夜、

まぶしい光が ぼくの部屋の中に ふりそそいだ。


そこには、“光るたね”が ひとつ。

ふしぎな声が聞こえたんだ。


「やさしさで、心のなかに咲かせよう。」


ぼくは びっくりして、


「え? どういうこと?」

って たねに聞いたけど、

それ以上は何も言わなかった。


でもなぜだか、胸の奥が少しあたたかくて、

ぼくは旅に出てみようと思った。

森の道を ずっと歩いていくと、

「心の通わぬ森」と呼ばれる場所についた。

木々はとても静かで、風の音さえ冷たかった。


そんなとき、

木の上から かすかな泣き声が聞こえたんだ

見上げると、そこには フクロウがいた。

その目は、もう光をうしなっていた。


「夜が見えないの……こわいの……」


ぼくは、光るたねにたずねた。


「どうしてあげれば いいの?」


たねは やさしく言った。


「フクロウの目を見つめて、光の見えるほうに導いてあげよう。」


ぼくは フクロウの羽を そっとひっぱって、

川のほとりまで連れて行った。


「この川の水を のんでごらん。」


すると、フクロウの目が

また きらりと光りだしたんだ。


「ありがとう、ハリネズミさん。」


そのとき、ぼくの胸の中で、

光るたねが すこし強く輝いた。

つぎの日、道のそばで リスに出会った。


「ぼく、どんぐりを どこかに うめたんだけど、

みつからないんだ……」


ぼくはいっしょに探したけど、

どこにも どんぐりは見つからなかった。


だから ぼくは、たねにまた聞いた。


「ねえ、どうすればいい?」


たねは光って、教えてくれた。


「リスが“あきらめない気持ち”を思い出すように、そっと となえてごらん。」


ぼくは リスと手をつないで つぶやいた。


「あきらめない、あきらめない……」


すると、雪の下から

どんぐりが たくさん顔を出したんだ。

夜が来たころ、今度は コウモリに会った。


「夜が こわくて、ねむれないの。」


ぼくは いっしょに夜空を見上げて、

そばによりそった。


そのとき、光るたねが そっとささやいた。


「恐れは、暗闇に根ざした心の影。

一人で立ち向かわなくていい。

そのままの自分を そっと抱きしめよう。」


ぼくは うなずいて、


「いっしょに夜をすごそう。」


すると コウモリは 安心したように、

すやすやと眠りはじめた。

長い旅のあと、ぼくは森の丘に戻った。

胸の中の光るたねが、ぽうっと あたたかくなっている。


「ありがとう……ぼくの中で、たねが そだったんだね。」


ぼくは、たねをそっと土にうめた。


すると――

森じゅうに、いろとりどりの花がひらいた。

赤、黄、青、そして金色の光。


ぼくの孤独は、やさしさの花になって

森をてらしていた。


「もう、ぼくは ひとりじゃない。」

光るたねは、だれの心にも あるんだ。

やさしさで だれかをてらすたびに、

そのたねは ほのかに光る。

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