エピローグ
「いま戻ったで~」
「おかえり、バッツちゃん。いいモノは見つかったのかしら?」
シャンシャーニの塔へ戻ってきたバッツとペケをマールとサークルが出迎えた。
「さぁな。まぁ、とりあえず、持ってきたヤツ鑑定してくれや」
そう言うと、バッツは早速リュックの中身を部屋にぶちまけた。
晒された魔宝具の数々を見て、サークルは呆れた顔を見せた。
「まーた、こんなコモン魔宝具ばっかり持ってきて懲りないでチュねぇ」
そして、手渡されたスタンプ帳を見て、ますます呆れた顔を強くした。
「あら、スタンプ帳が空でチュ。また、力を解放したんでチュか? これじゃあいつまで経っても元の姿には戻れないでチュよ?」
「フン、ほっとけや。それよりも、今回は全部でスタンプ何個や?」
「そうでチュねぇ。まぁ、おおまけにまけて全部でスタンプ二個って所かチらね」
予想通りの言葉を聞いて、バッツとペケは落胆を隠せず、ガックリと肩を落とした。
「やっぱり、あの剣を持って帰ってくれば良かったニャ! 何が、新しい王様へのプレゼントニャ! 格好つけて、似合わない真似なんてするニャ!」
「なんだと、このクソ猫が! 大体、お前がワイの足ばっかり引っ張るからこんな目に会うんや! ちったあ反省しろや!」
バッツとペケは、もみくちゃになりながら喧嘩を始めた。その様子をサークルは、楽しそうに見つめている。その時、揉み合っている拍子にバッツの懐から何かが零れ落ちた。
足元に転がってきた、その焦げた魔宝具を見たマールは、驚きの表情を浮かべながらそれを手に取った。
「なんでチュか、この焦げて薄汚れたキセルは? こんなのスタンプ一個にも……」
「……スタンプ二十個あげるわ」
その言葉を聞いたサークルは、信じられないと言った表情を見せた。
「ホ、ホンマか?」
「バッツ、やったニャ!」
すぐに喧嘩をやめたバッツとペケは、お互い手を取り合って喜びのダンスを踊り始めた。
「どうチたんでチュかマール。こんな魔宝具にそんな評価をつけるなんて……」
「……ちょっとね。今日は、そんな気分なのよ」
そう言うと、マールは手に持つキセルを咥え、フーっと煙を吐き出した。
吐き出された煙は、丸い輪を形成し、空中に浮かんでは消えていく。
マールは、プカプカと浮かぶその煙を優しい瞳で見つめていた。