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〖承-12〗マヌエルとレイラ (240630 投稿)

〘履歴〙


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【プラットフォーム・ミネルバ発 エウレカ行き定期輸送船の一室】

・宇宙空間を輸送船が航行している。


・鈍いエンジン音が船内に響いている。


【エウレカ行き定期輸送船の一室】

・部屋の中が暗い。


・ロゼッタが、ベッドで仰向けに寝ている。


・ベッドの横のサイドテーブルにシバが座っている。黄金色に光る瞳で、ジッと瞬きせず、ロゼッタを見つめている。


シバ:「宝珠の働きが活発だ・・・」


・ロゼッタが、寝苦しそうに眉をひそめる。額にじっとりとした汗。


【エウレカ 竜の背 産廃物置き場】


・大小様々な廃棄物が無造作に置かれている。その前で、13才のレイラが膝を抱えて蹲っている。まるで、自分も捨てられたゴミの一部であるかのよう。レイラの足元には1匹の黒猫。


・レイラの髪は金髪で、髪の長さは首の上のライン。まるで自分でナイフで切ったように不揃いでボサボサ。着ているパーカーと膝までのズボンは薄汚れていて、所々破けている。身体の線は細く、男の子にしか見えない。視線は、人を信じられない捨て猫のように冷たく、警戒している。足元の黒猫がビクッと身を起こす。


・マヌエルのブーツが、産廃置き場の敷地を踏み締める。


・マヌエルが、産廃置き場の入り口に立つ。身長180cm、鎧のように筋肉がついたゴツい身体。髪の毛は、銀髪のような白髪で、短髪で刈り上げられている。眼は垂れ気味で、団子っ鼻で、唇は厚く上弦の弧を描いている。REO-SPWが、マヌエルの斜め後ろに従者のように控えている。左の腕が肘から先が無い。


マヌエル:「よう、お前さんがレイかい?」


・レイラは、座り込んだ位置から掬い上げるような視線で、マヌエルを睨み付ける。


レイラ:「失せろ、マン(人間)」


マヌエル:「俺の名前はマヌエル。お前さんがレイなら話がしたいんだ」


・マヌエルが、懐から何かを取り出そうとする。マヌエルの前の地面から黒い炎が吹き出し、透明な壁を這い上がるように広がる。


レイラ:「失せろと言ったはずだ、マン(人間)」


マヌエル:「・・・凄いチカラじゃないか。今の若い奴は違うな・・・」


レイラ:「・・・」


マヌエル:「そう警戒するな。俺の親友がレイと会いたがってるんだ。頼むから会ってやってくれないか」


・レイラが、マヌエルの前で弾けている黒い炎を顎で指して言う。


レイラ:「俺はバケモノだ。怖いと思わないのか?」


・マヌエルが、ん?という表情をして、ぶらんと袖が垂れ下がった左腕を見せる。


マヌエル:「左腕の肘から先が無かろうが、俺は人間だ。その力があったって、レイも人間だろう?」


・レイが、不思議な生き物を見るように、マヌエルを見つめる。


マヌエル:「俺の親友と会ってソイツを気に入ってくれたら、俺も嬉しい。ついでと言っちゃぁなんだが、今度火星に行く用事があってな。火星は物騒だから、俺のボディーガードやってくれないか。金は払うし、まずは前金を持ってきた。俺は両手を上げてるから、後ろの山に隠れているお仲間に、俺のジャケットのポケットを探らせてくれ」


レイラ:「・・・」


・マヌエルの後ろの廃プラスチックの山の陰から10才くらいの少年がぴょこんと顔を出した後、走り出してくる。両手を上げたマヌエルのジャケットのポケットを探り、小袋を取り出し中を確認する。


少年:「レイ、ポイントシートです。残額はざっと30万はありそう」


マヌエル:「50万ポイント入ってる。後金で100万ポイント払う。レイが面倒見ている子供達にもやってもらう仕事はある。話だけでも聞いてくれよ」


レイラ;「…施しならいらない」


マヌエル;「そんなこと言い出したら、世の中施し受けてる奴ばかりになっちまうよ。俺たちは対等だ。そして、俺は仕事を頼みに来たんだ」


・マヌエルが、肘から先の無い左腕を振ってみせる。マヌエルの後ろの廃プラスチックの山から、子供の顔がぴょこん、ぴょこんと10人ほど顔を出す。


◇ ◇ ◇


【竜の背から通じる建設資材運搬用大エレベーターの中】

・30m四方の巨大エレベーターに、ポツンとマヌエルとレイラが乗っている。


マヌエル:「それにしても、あそこを根城にしようと思ったな」


レイラ:「もう太陽電池パネルの設置工事も終わったし、定期点検しか人来ない・・・」


マヌエル:「眼の付け所は悪くないが、下手したら空気抜かれるぞ」


・エレベーターが止まり、巨大な扉が開くと、薄暗い通路。


レイラ:「こんな途中に階があるなって・・・」


マヌエル:「この階は施設管理権限が無いと降りられないんだ。こっちだ」



◇ ◇ ◇


・何の変哲もない廊下に両開きのドア。ドアには「制御室」の表示。

 マヌエルが、ドア横のセキュリティに立ち、顔認証でロック解除をして、部屋の中に入る。レイラも続く。


・部屋の中は暗く、壁一面の各種ステータス表示ランプや、操作ボタンが、星の瞬きのように点滅している。


マヌエル:「よぉ、親友。起きてるか? 新しい友達を連れてきたぞ」


・壁一面の各種ステータス表示ランプや、操作ボタンが、一旦消灯し、次の瞬間、激しく点滅し、絵文字のような笑顔の表情を作る。


親友:「久しぶり。やっと来てくれたね。マニー。そして、レイ・・・貴方が私とお友達になってくれる方ですね」


・レイラが、状況に付いていけなくて、ゴクリと喉を鳴らす。


レイラ:「誰? 何なの?」


・絵文字のような表情が1回大きく頷き微笑み掛ける。


親友:「自己紹介が未だでしたね。私の名前は、マヌエルが付けてくれたんです、マイクロ・・・」



◇ ◇ ◇


【エウレカ 応接会議室】

・少し薄暗い応接室。奥の壁に100インチ程度のモニター。モニターの前に、8人掛けのテーブル。そこに、スーツを着た50代の男性が3人。マヌエルがその対面に座る。マヌエルから1m程度離れた後ろに、レイラが立っている。


・壁のモニターには、地球連邦評議会の会場が映り、100名を超える議員が威圧的にこちらを見ている。


・座卓を挟んだ3人の男性。中央の人物が、上から口調でマヌエルに話しかける。


男性:「かつての英雄、墜ちた英雄とも言いますな。マヌエル・デイビス。何度負ければ気が済むのです。貴方はかつて罪のないルナシティ人民を巻き込んで、地球に牙を向いて最終的に負けた。ルナシティに居場所が無くなり、このエウレカに行き着いた」


・男性の顔が陰影の中で、ニヤリと残忍な笑顔を浮かべる。


男性:「165人もの入植者を連れて、エウレカまで辿り着き、人類の新たな拠点を作った。素晴らしいことです。貴方以外には成しえなかった偉業でしょう」


・男性が、急に表情をなくし、つまらなそうに鼻を鳴らす。


男性:「しかし、もう貴方の役割は終わったのです。エウレカはルナシティ・地球連邦のモノです。それなのに、今度はエウレカ住民を巻き込んで、同じ過ちを繰り返そうとしている」


・男性の表情が再び悪辣な表情に戻り、指を立てて振りながら、マヌエルに囁く。


男性:「もう十分でしょう。貴方はもう立ち上がらなくて良いのです。誰も貴方が逃げたなんて言いません。貴方はもう倒れたままで良いのです」


・部屋を沈黙が覆う。


・レイラが、マヌエルの背中を見ている。レイラが、悔しさに眼を剥き、歯を喰いしばり、何かを叫ぶように口を開きかける。


・ポツンと、独り言のようにマヌエルが喋る。


マヌエル:「地球の人間には解らねぇか」


・モニターに映る地球評議会の議員達がざわめく。


男性:「何のことです」


・マヌエルは怒るでもなく、相手を呷る訳でもなく、淡々と言葉を発する。


マヌエル:「地球に住むお前らには解るまい。逃げろとか、立ち上がるなとか。俺らには、関係ないんだ」


男性:「だから何のことです?」


マヌエル:「お前らには、地球がある。月がある。けれど、俺らが生きていける場所は、もう此処にしかない。俺たちの背中には、深宇宙が広がっている。逃げ場がないんだ。たとえ、逃げたところで、酸素がなくなり、食べ物もなくなり、ガスも無くなり…死ぬだけだ」


・男性が、キツい目線で、マヌエルを睨み付ける。


マヌエル:「だからな。逃げるとか、立ち上がるとかじゃない。ここは俺たちが作った生きる場所だ。後からノコノコ出てきたお前達にくれてやる道理は無い。ここを俺たちから奪うというなら・・・」


・レイラが、マヌエルの背中を見ている。何か、探していたものを見つけたような、嬉しいような、泣きそうな、そんな表情。


・マヌエルの声が響く。


マヌエル:「お前らも殺される覚悟で来い」


・レイラの表情が、晴れやかに、嬉しそうに、満面の微笑みを浮かべる。


◇ ◇ ◇


【ガンシティ 第3ショッピングモール】


・マヌエルとレイラが、連れだって歩いている。

 マヌエルは淡々と、レイラはマヌエルの少し前を踊るようにスキップするように歩いている。レイラの肩の上で、黒猫がバランスを取っている。


マヌエル:「レイ・・・、ご機嫌だな」


・レイラが、マヌエルを振り返って、ニヤリと笑う。


レイラ:「うん」


・マヌエルが額に手を当ててため息をつく。


マヌエル:「いい年になっても、バカと短気は直らねえなぁ?」


・レイラが、口元を押さえてフフフと笑う。マヌエルの顔がクシャっと歪む。


レイラ:「恰好良かったよ?」


マヌエル:「お前なぁ…」


・マヌエルが、前を歩くレイラを眺めている。

 レイラの髪が、肩まで伸びているのに今気が付いたよう。


マヌエル:「なあ・・・、レイ?」


レイラ:「ん?」


マヌエル:「お前さん、もう男の子のフリしなくて良いのか?」


・レイラが、きょとんとして、自分の肩まで伸びた髪を見て、それからイタズラが見つかった悪ガキのような笑顔を浮かべる。マヌエルが、その笑顔にびびって、身を仰け反らす。


レイラ:「うん!」


マヌエル:「・・・そうか、そりゃ良かったな・・・」


・レイラが、鼻の下を人差し指でこすりながら、エヘヘと笑う。マヌエルが、びびって表情を強張らせる。


レイラ:「レイラ」


マヌエル:「ん?」


レイラ:「私の名前はレイラ」


マヌエル:「レイラ?」


レイラ:「うん!」


・レイラが、マヌエルに向かって華が咲いたように微笑む。



240630 投稿



[記号凡例]

 ①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。

 ②〘〙 投稿・改稿履歴の表示。神沢メモ他を記載。

 ③【】 主に、場所を記載する。

 ④〈〉 固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。

 ⑤《》 固有名詞・用語。巻末に説明あり。

 ⑥ [ ] 固有名詞・用語。既出のもの。説明ないもの。

 ⑦ ・  登場人物の動きや表情の説明。背景セットの説明。

 ⑧名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」

 ⑨ モノローグ:状況を説明する。

 ⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ シーンとしての区切り。

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