〖承-3〗シモンズ/パパンドレウ義勇団(241214改稿 β)
〘履歴〙
・241214改稿
①シモンズとガンズの会話の微修正。
②パパンドレウ義勇団員の描写を修正。ボスと団員の会話を修正。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【宇宙空間】
・高さ10km幅10kmの小惑星《1998 VF31》が、エウレカの太陽側(ハヤブサの方角的には南。エウレカを猪に例えると右腰)に出島のように接続固定されている。元々の小惑星を金属製の外壁で覆い、ピラミッドが上下に合わさったような外見をしている。金属壁には点々と窓が切られていて、中から光を放っている。
・《1998 VF31》の頂上近くの窓が光っている。頂上の三角錐に近づいていくと、人影が薄っすらと見える。
【1998 VF31 執務室の中】
・1998 VF31頂上近くの窓際に立っていた人物が、役員机の後ろにまわり、レザー製の役員関に座る。
・クラッシックな様式の部屋で、深い毛足の絨毯が敷き詰められている。チーク材の役員机と、レザー製の役員椅子。役員机の後ろの壁には、背の高さ程の旗3つ、ファイブスターの社旗が中央に、地球連邦の旗とルナシティの旗がその両脇に置かれている。その周りを固めるように、一目で高級と判る様々な調度品・美術品が、所狭しと並んでいる。ギリシャ風のブロンズ像、エジプトの神の胸像、中華風の大きな壺、など。良く言えば豪華、悪く言えば雑多に見える。
・役員席には、小柄で神経質そうな40代中盤の男性が、仕立ての良いスーツを身に着けて、机の上で指を組んで座っている。指を神経質に動かしている。何か連絡でも待っている表情。イライラした表情。
・額が広く、鼻と頬骨が高く、眉と眼が細く唇が薄い。頬がこけ気味で顔色が悪い。
・ドアのノック音。
ガンズ:「シモンズ様。ガンズでございます」
シモンズ:「入れ」
・役員室の奥の大きな木製のドアが開き、50代後半の細見の執事の姿をした男が部屋の中に入ってくる。目の下の隈が目立つ、頭は天辺が剥げていて頭の両脇は軽い天然パーマ。無表情のまま、顔を主に近づけて話しかける。
ガンズ:「例の生まれ変わりの件で動きがございました」
・シモンズが、静かに頷いて、話の先を促す。
ガンズ:「ご報告致します。ロゼッタ・ナイトウェイの乗った定期輸送船がプラットフォームを出航致しました」
シモンズ:「木星音階は?」
・ガンズが、無表情のまま口の端だけ上げる。
ガンズ:「出発前の検査結果があがって参りました。英雄の生まれ変わりと言われるだけの事はあるかと」
・シモンズが軽く頷いて、話の先を促す。
ガンズ:「確実なところは、実際にイジッてみなければ言えません。ただ、fMRIの結果を見る限り、脳に存在する宝珠の範囲が、今までの治験者達と明らかに違います」
シモンズ:「誰と比べたのだ?」
ガンズ:「我々の作品シックス・チルドレン全員と。宝珠の大きさが倍以上大きいのです」
シモンズ:「レイラ・サカモト並みか…」
ガンズ:「彼女の記録の3分の2の大きさと言ったところかと」
シモンズ:「良く正気を保っていられるものだ」
ガンズ;「現地の情報によると、シックス・チルドレンが聞こえない音階が聞こえているようです」
シモンズ:「全て合わせれば、レイラ・サカモトなみに木星音階を再現できるのか…」
ガンズ:「データ通りなら」
シモンズ:「手に入れる必要があるのは理解した。で、どうするのだ? 他の子供達のように、ただ攫ってくる訳にも行くまい?」
ガンズ:「何分、ロゼッタ・ナイトウェイの名は、英雄の生まれ変わりとして、世間に知られております。そして、わが社の輸送船に乗せていることも記録に残っております。さすがに素直に攫うことは出来ません」
シモンズ:「それで?」
ガンズ:「我らが直接手を下さず攫えば良いかと」
・ガンズがニヤリと悪い顔をする。
ガンズ:「我らの輸送船は、航路の途中で、宙族の襲撃を受けます。宙族連中の目的は、勿論我が社のレアメタル。ただ、その作業中に何人か乗客を殺してしまいます。不幸な事に、その中にロゼッタ・ナイトウェイが含まれてしまう予定です」
・シモンズが、疑わし気な顔で答える。
シモンズ:「せいぜい上手くやることだ」
ガンズ:「お任せ下さい」
・ガンズが、シモンズに一礼すると、3歩後ずさり、それから向きを変えて部屋を出るべくドアに向けて歩きだす。
・ガンズがドアを開けようとした時、シモンズがガンズの背に向けて声を掛ける。
シモンズ;「そういえば。なんだ…、あの東洋人の刑事はどうした? 確かヤツの妹が、フィフスだったか。確か、フィフスを攫うときにヤツが現れて、陰の者が2人殺られ、死体を回収されたのだったか」
・ガンズはシモンズの方を振り返らない。ガンズの表情が、憎々し気に歪む。低い声で答える。
ガンズ:「その際は、ご心配をおかけしました。行政府のトップに指示を出して、彼の人間は、刑事部捜査課から異動しております。確か今は脱税者を追う税務官をしているとか…」
・シモンズが椅子を回転させて、ガンズに背を向ける。そして、明らかに今までとは異なる口調で喋る。
シモンズ:「フィフスは今どうしているの?」
ガンズ:「受信感度を上げる手術を行いましたが、木星音階との相性が悪かったのか、手術をしてから意識が戻りません」
・無表情なガンズが、扉を開けて通路に出てくる。ガンズの後ろで、扉が閉まる。
ガンズ:「身体側の意識がまだらに出てくるな。あの身体に乗り換えて…30年。そろそろ次の受け皿を探さねば」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【宇宙空間】
・全長50m位の中型宇宙船が運航している。飛行船のようシルエットで、船体のそこかしこに砲台が備えられている。くすんだ金属色の船体、継ぎはぎ跡のような修理痕。船体後部にエンブレムが描かれている。エンブレムは、ごみ箱に入れられた山盛りの金貨と、獣の牙を向いた横顔がモチーフになってる。エンブレムの下に、「Papandreou」のロゴ。
【パパンドレウ号 操縦室】
・古びた操縦室。ボスが中央の船長席に座り、4人の団員が忙しく働いている。彼らは、旧式の操作盤を力任せに叩いたり、ヘッドセットのマイクに怒鳴りつけながら、懸命に働いている。
・船長席に座るボスは180cmを超える身長。団員は全員140cm前後と小柄。全員揃いの古ぼけた飛行帽を被り、ゴーグルを掛けている。服は、ヨレヨレしてボロっぽい宇宙服で、ダボダボしていて体形が判りにくい。
・ボスは犬族だと一目で判る。団員は全員飛行帽とゴーグルを付け、ダボダボの宇宙服を着ているので、一見皆同じに見える。ただ、ゴーグルの下には素顔が露出していて、犬のぬいぐるみが直立して、宇宙服を着ているような風体になっている。
・団員が、ボスに話しかける。口を開くと、小さな犬歯が見える。
団員A;「ボス!、結成以来最大の危機です」
ボス:「船長って呼べって言ってるだろ? んで、どうした?」
団員A:「ガスが足りません。酸素も食い物も足りません。団の財布は、ローン地獄でスッカラカン。年季ものの船体で故障ばかりするのに補修部品も買えません。このままじゃ、俺ら、宇宙空間で皆ミイラみたいに干乾びちゃいますぜ」
・団員Bが、船の操縦桿を握りながら、チラチラとボスと団員Aのやり取りを盗み見している。他の団員も、同様に2人の会話を気にしてチラ見している。
・ボスが、キッと、周囲を見回すと、全員背筋をピンとして、慌てて自分の仕事に集中している振りをする。けど、風防に隠れた犬の耳がピクリピクリと動いているのが判る。
ボス:「んなことは、判っている。武器弾薬は未だあんだろ?」
団員A:「ボス…、船長が武器弾薬に金注ぎ込んじゃったから、ありますけど。いくら、俺らが何でも食うって言っても、武器は食えねえっしょ」
ボス:「誰が武器を食うって言った? 武器は戦うのに使うんだよ。俺たちの名前は?」
団員A~D:「俺たちは、パパンドレウ義勇団。自由の旗の下に生きる犬族。共に戦い飯を食い歌を歌う仲間達。俺たちが進む道に立ちはだかる奴らは、断固としてぶっ潰す!」
ボス:「そうだ。それに、俺はちゃ~んと見つけてんだ。ガッポリ稼ぐ相手をな」
団員B:「さすがボス!」
団員C:「けど、ボス。俺たちは、罪の無い人たちから物を奪うのは止めようって、隊規で決めました!」
ボス:「そんなの、判ってるよ。判って、それを守ってるから、ローン地獄で、食う飯に困っているんじゃねぇか」
団員A:「ボス、それならどうするんだ?」
ボス:「俺達は義勇団だ。悪いヤツから、ガッポリ奪えば良いのよ。良い獲物がある。火星の情報屋に高い情報料払って買った情報だ」
団員A~D:「ほ~ぉぅ」(棒読み)
団員D:「あ~、火星の情報屋って、ボスが1人で飲みつぶれて朝帰りした日だ。俺だって吞みたかったのに、ボス1人で…」
・ボスが、両手でモノを挟んで、それを横にずらして置くジェスチャーをする。
ボス:「…それは横に置いといて」
・団員達の頭が、ボスの手の動きにシンクロして横に動く。
団員A~D:「ほ~ぉぅ」(棒読み)
ボス:「次のターゲットは輸送艦だ。これが捕れたら、全員で飲み放題行くぞ!」
団員B:「さすがボス!」
団員A・C:「それ本気っすか? スゲーッ」(棒読み)
団員D:「…俺、飲み放題じゃない酒が呑みたい…。」
[記号凡例]
①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。
②〘〙 投稿・改稿履歴の表示。神沢メモ他を記載。
③【】 主に、場所を記載する。
④〈〉 固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。
⑤《》 固有名詞・用語。巻末に説明あり。
⑥ [ ] 固有名詞・用語。既出のもの。説明ないもの。
⑦ ・ 登場人物の動きや表情の説明。背景セットの説明。
⑧名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」
⑨ モノローグ:状況を説明する。
⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ シーンとしての区切り。
次回:土曜日21時に投稿予定




