第44話『エルフのマイカ』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
ハンデルの営むヘルト商会にて稼働中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
◎ベレイド子爵
男性 33歳 名はダニエル
ラウムテ帝国副宰相
身長175cm 痩せ型 黒髪 黒い瞳 口と顎にひげを生やしている
政治的手腕に優れ、摂政エフェリーネの良き補佐役。
◎レフィ
男性 5歳
ベレイド子爵の長男
身長約100cm 中肉 黒髪坊っちゃん刈り 灰色の瞳
海で溺れたところをマイカに助けられ、かつ、心肺停止の状態から、マイカの救急法によって蘇生した。
◎ソフィー
女性 27歳
ベレイド子爵夫人 レフィの母親
身長165cm 中肉 茶色の長髪ポニーテール 茶色の瞳
二人目の子を懐妊中
◎ベルンハルト
男性 25歳 姓はレーデン
ラウムテ帝国近衛騎士団長
身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ
金髪の短髪 アイスブルーの瞳
超イケメン
◎ヨゼフィーネ
女性 56歳
ラウムテ帝国第9代皇帝 帝国唯一の女帝
身長175cm 女性的な体型ではあるが、ガッチリ型
帝国中興の祖
マイカが転生してくる約1ヶ月前に他界
◎ドラーク公爵
男性 56歳
女帝ヨゼフィーネの夫 名はアルフレット
初代皇帝の次男を祖とし、初代皇帝からの男系血統を受け継いでいる。
身長190cm どっしり体型
白髪 白髯〈かつては灰色髪、灰色のひげ〉灰色の瞳
女帝である妻を精神的に支えてきた、実は豪の者
ヨゼフィーネが他界する約半年前に他界
◎ヤスペル
男性 5歳
ラウムテ帝国第10代皇帝
身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳
ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。
従姉のエフェリーネのことが大好き
「マイカ…お前…」
砂浜の上に座り込んでいたマイカにハンデルが声を掛けてきた。
マイカは、そのハンデルの言葉が、自分がレフィの吐瀉物で汚れていることを差していると捉え
「ん?…あ、随分と汚れてしまったな。
私は、もう一度海に入って汚れを落としてくるから、ハンデル、アンタは着替えを用意しておいてくれ。」
と、ハンデルに言った。
そしてマイカは立ち上がり、立ち上がると同時に海へ向かって走り出した。
「あのエルフ、名はマイカというのか。」
「マイカか…今日見たことは忘れぬぞ。」
「エルフのマイカ…彼女は誠の女神なるや?」
「エルフのマイカ…」
「エルフのマイカ……」
海で泳いでいるマイカの姿を見ながら、人々は皆、思い思いの言葉を口に出した。
皆の声に感動の心が乗っている。
そして泳ぐのをやめ、水面にキラキラと反射する太陽の光に照らし出されながら砂浜に戻ってくるマイカの姿は、見ていた者達の目に神々しく映り、手を合わせて拝む者が続出した。
「何事!?何事が起こった!?」
ベルンハルト近衛騎士団長が戻ってきて、その異様な光景に驚愕の言葉を発した。
ベルンハルトの後ろに、茶色ストレート髪の女性と褐色肌の女性、摂政エフェリーネと、その秘書官リーセロットの姿があった。
「おお、レーデン卿、あのエルフのマイカ殿が溺れていたベレイド子爵の御子息を助けまいらせたのだ。」
一人の太った、禿げ頭の老紳士がベルンハルトに話しかけた。
「しかも既に溺れ死んでしまっていたのを、なんと生き返らせたのだよ、かのエルフのマイカ殿は!」
次に痩せた、尖った口ひげを持つ中年紳士も、そうベルンハルトに語った。
「何と!?」
ベルンハルトが振り返ると、エフェリーネとリーセロットも驚きのあまり、目を丸くしていた。
その、当のマイカはベルンハルトから数十メートル離れた場所において
「あ、どもども…」
「いや、そんな事は…」
「運が良かっただけで…」
「大した事では…」
等と、周りの人達から浴びせられる称賛の声に照れながら応えていた。
「マイカ!お前さん、そんな格好のままで何やってるんだ?」
ハンデルが戻ってくるなり、マイカを指差して言った。
マイカは安堵のため気が抜けた状態となり、自分が下着姿のままであることを失念していたのだ。
「あ…っ、あーーーっっっ!!」
ハンデルの言葉で、ようやく下着姿のままだったことに気付いたマイカは羞恥のあまり、その場でしゃがみこんだ。
ハンデルが、そのマイカの背から大きな白い布を覆い被せ
「ったく、まだ海中にいるものと思っていたぜ。
さ、一旦馬車まで戻るぞ。馬車の中で着替えな。」
と、マイカに向かって言った。
「はっ!…」
その場に現れたハンデルの姿を、やや離れた場所から見ていたエフェリーネは小さく声を上げ、そのまま固まったように立ち尽くしてしまった。
「殿下…殿下、いかがなさいました?」
エフェリーネの左横に立っていたリーセロットが異変に気付き、心配そうにエフェリーネに尋ねた。
「痛いっ!」
エフェリーネが黙ったまま、左手でリーセロットの左上腕辺りを掴んだのだが、猛者である筈のリーセロットが声を上げる程に強い力が込もっていた。
「摂政殿下!!」
リーセロットが上げた声に気付いたベルンハルトが振り返ったところ、エフェリーネがリーセロットの腕を掴んだまま、崩れるように地に膝をつく姿が目に入った。
「殿下!大丈夫で……」
リーセロットも驚き、エフェリーネに声を掛けようとしたところ
「生きて…生きていた……にぃ…さん……」
と、エフェリーネは、リーセロットにのみ聞こえる小さな声で呟いた。
「じじじ、侍医は!?コココ、コーバス侍医は何処!?」
ベルンハルトが、勇士らしからぬ慌てぶりを見せてそう叫んだ。
「コーバス侍医は離宮建物内におられます。そこで、溺れていたベレイド子爵の御子息を診ておいでです。」
傍らにいた若い侍女がそう答えた。
「コーバス侍医を早く呼んでまいれ!」
と叫んだベルンハルトに
「いえ、大丈夫です。妾には必要ありません。
コーバス侍医はその場に留まらせて、ベレイド子爵の御子息への処置を続けさせるように。」
「し、しかし…」
と、「大丈夫」と言ったものの、青い顔色をして、顔面を引きつらせているエフェリーネは、ベルンハルトの目には大丈夫そうには見えなかった。
エフェリーネは、リーセロットのウシャンカ帽に隠れている耳元に口を寄せ
「ごめんなさい…今日はもう無理…」
と、リーセロットにだけ聞こえるように呟いた。
「お集まりの皆様、そしてレーデン卿、摂政殿下は急にお身体の具合が悪くなられたようです。
遺憾ながら、このまま帝都へお戻りになられますが、皆様にあっては、お時間の許す限りお楽しみ下さいませ。」
と、リーセロットがその場にいた人々に聞こえるように通った声で言った。
「ほ、本当に大丈夫にございましょうか?摂政殿下、リーセロット殿…」
相変わらず、勇士らしからぬオロオロとした態度で話しかけてくるベルンハルトに対し、エフェリーネは
「本当に大丈夫です、レーデン卿。心配をおかけして申し訳ありません。
あと、あちらに見えるエルフのマイカ殿とハンデルなる者には、また、後程に沙汰する旨を申し伝えて下さい。」
と返事をし、併せてマイカとハンデルへの伝言を依頼した。
「では殿下、さあ。」
「ええ、リーセロット…
お集まりの皆さん、申し訳ありませんが、妾は、これにて…」
エフェリーネとリーセロットは園遊会会場から去っていった。
「どうかされたのですか?ベルンハルト閣下。先程お見えになられた方が、もしかして摂政様ですか?」
マイカが自分の方に近づいてきたベルンハルトに問いかけた。
「うむマイカ殿、相すまぬことだが、摂政殿下は体調御不良のため、お帰りになられた。
謁見の件については、また後程に沙汰する旨を申されておいでだ。」
「…あの…閣下、誠に失礼なのですが、先程お見えになられた二人の女性の内、どちらが摂政様だったのでしょうか…?」
(あの茶髪ストレートの女性も綺麗だったが、褐色肌の女性、すげえボインちゃんだったな!所謂、爆乳ってヤツ!?もっと近くで拝みたかった…)
ベルンハルトに神妙な面持ちで尋ねたマイカだったが、心の中ではオッサンくさいスケベ心で溢れていた。
「茶色い髪の、清楚な御方がエフェリーネ摂政殿下だ。
あ、いや何も、リーセロット殿が清楚でないと申しているのではないぞ!より清らかというか、可憐というか…」
と、マイカが聞いた訳でもないことを加え、しどろもどろになって答えたベルンハルトの顔は真っ赤だった。
(あれ?もしかして、ベルンハルト君は摂政さんのこと好きなんかな…?
えーっ、姫に恋する騎士!超イケメンの顔に似合わず、結構、ベタ!!)
「…マイカ殿、何をニヤついておられる?」
知らず知らずの内に、マイカはニヤニヤしていたらしい。
「え?いや、あ、閣下、そういう事であれば、私も帰ろうかと思います。
ここに居るのが気恥ずかしくなったというか、なんか居たたまれないというか…」
そう答えたマイカが、その場に居た人々の注目を一身に浴びていることにベルンハルトも気が付いた。
「うむ…そうだな。であれば、停車場まで送ろう。」
そう言ってベルンハルトは、羽織っていた紅いマントを取り、マイカの背に羽織らせた。
「あっ、閣下、マントが汚れてしまいます。ハンデルが用意した布だけで充分に身体を隠せますので…」
「構わぬ。さ、参ろう。」
マイカが歩きだすと、辺りに居た人々はマイカの為に左右に別れて道を開けた。
そして、人々から自然に拍手と歓声が沸き起こり、その中をマイカはベルンハルトにエスコートされて歩いていく。
(何か…凄く恥ずかしい……)
羞恥心に顔を赤らめながらマイカが振り返ると、後ろから尾いてきているハンデルが、その辺りの人達に名刺を配っていた。
(ハンデル…あいつめ、抜け目ないな…)
人々の拍手と歓声は、マイカが去ってからも暫く鳴り止まなかった。
第44話(終)
※エルデカ捜査メモ㊹
溺れた子供、レフィの父親であるベレイド子爵はラウムテ帝国副宰相を務めている。
現在、宰相は空位であるが、摂政のエフェリーネが事実上、宰相を兼ねているため、エフェリーネの政務を補佐する立場にある。
政治的手腕に優れ、また、若い頃から政治学、法律学の学習に勤しみ、その研究者としての顔を持つ。
子は、長男のレフィの一人だけだが、妻が二人目を懐妊中。




