第40話『ベルンハルト近衛騎士団長来訪』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
現在、異世界を彷徨い中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
◎ララ
女性 年齢不詳(20歳前後の見た目)
リーセロット配下のダークエルフの女性
身長165cm スリム体型 巨乳
黒髪ショートワンレングス ダークブラウンの瞳
クールだが、大のスイーツ好き
影の魔法を使う。
◎ウェイデン侯爵
男性 35歳 名はクンラート
ラウムテ帝国の貴族中、最も広い所領地を有する。
初代皇帝の三男を祖とし、初代皇帝の男系の血筋を継承している。
女帝ヨゼフィーネの異母妹を娶り、その間に生まれた息子のヤスペルが皇帝となる。
身長175cm 中肉
黒いクセのある髪 口ひげ
◎ベルンハルト
男性 25歳 姓はレーデン
ラウムテ帝国近衛騎士団長
身長185cm 一見細身に見えるが、脱ぐと筋肉バキバキ
金髪の短髪 アイスブルーの瞳
超イケメン
◎ヨゼフィーネ
女性 56歳
ラウムテ帝国第9代皇帝 帝国唯一の女帝
身長175cm 女性的な体型ではあるが、ガッチリ型
帝国中興の祖
マイカが転生してくる約1ヶ月前に他界
◎ドラーク公爵
男性 56歳
女帝ヨゼフィーネの夫 名はアルフレット
初代皇帝の次男を祖とし、初代皇帝からの男系血統を受け継いでいる。
身長190cm どっしり体型
白髪 白髯〈かつては灰色髪、灰色のひげ〉灰色の瞳
女帝である妻を精神的に支えてきた、実は豪の者
ヨゼフィーネが他界する約半年前に他界
◎ヤスペル
男性 5歳
ラウムテ帝国第10代皇帝
身長約100cm やせ型 金色短髪 濃い青色の瞳
ウェイデン侯爵と第9代皇帝ヨゼフィーネの異母妹であるシルフィアとの間に長子として生まれた。
従姉のエフェリーネのことが大好き
◎ハンナ
女性 19歳
皇宮侍女セシリア付きの女中として皇宮内で働く女性。
身長約165cm 中肉
ウェーブが少しかかった栗色セミロングの髪
栗色の瞳 やや下ぶくれな癒し系の見た目
◎マフダレーナ
女性 58歳
ラウムテ帝国皇宮侍女長
身長174cm 細身
白髪混じりのグレーの長髪(巻き上げてお団子ヘアーにしていることが多い)
かつて近衛騎士団員で、軽業師の異名を持っていた。
◎ノーラ
女性 10歳
圧政下にあるコロネル男爵領クライン村に住む少女
身長130cm弱 痩せ型
茶色い髪のオカッパ
青い瞳
厳しい状況下に置かれながらも夢を諦めない、明るく活発な少女
◎コロネル男爵
男性 44歳
ラウムテ帝国創立以来の名門貴族の当主
現当主で8代目
領民に重税を課し、圧政を敷くクソ野郎
◎セバスティアーン
男性 61歳
身長195cmの大柄
先代から仕える、コロネル男爵家の執事
「マイカ、お前さんは本当にビールが好きだなあ。」
「おうよ!ハンデル。世界中の飲み物の中でも、私はビールが一番好きなのさ!」
皇宮における御物窃盗事件を解決したその日の夜、ヘルト商会帝都本部では酒宴が開かれていた。
これは、昨日の商いの大成功を祝うためのもので、本来なら昨夜に執り行われる予定であったが、昨夜は皇宮侍女付きの女中ハンナの訪問・相談のため延期になっていた。
「しかし、カラスが犯人だなんて、よく判ったな。」
「偶然だよ。たまたまカラスが威嚇してきたから判ったんだ。カラスがキラキラ光る物を好むのは知っていたけど。」
「へえー…そいつは知らなかったな、カラスが光る物を好むなんて。」
「あと、私が実際に取り扱ったものでは、カラスが花を集めていたな。それも、同じ種類の同じ色の花だけを集めていた。」
「ふーん、面白いな。
でも、カラスが犯人と判ったんなら、ケルンじゃなくてブラムの方が良くなかったか?
スネル鳥のブラムの方が、飛べることだし。」
「いや、ブラムなら直ぐにカラスに追いついて捕まえてしまうじゃん。
それだと、先に盗まれた物の在処が判らないし、その物が見付けられなければ、カラスが犯人だと特定出来ないからね。」
「なるほど。そういや、お前さん、前の世界では色んな事件やら何やらを捜査するのが仕事って言ってたけど、具体的にどんな職業だったんだい?聞かせてくれないか?」
「うん、いいよ。私は前世では、けい…」
「頼もう!!」
マイカがハンデルの質問に答えようとした声を遮るようにドアの外から、男の叫ぶ声が聞こえた。
「はい、ただいま。」
ヘルト商会副会長のロヴィーがドアを開けると、そこには背の高い、金髪碧眼の美男子が立っていた。
金色の肩章やモールの付いた純白の上下服に真紅のマントを纏い、腰に佩刀している。
「不意の訪問、平に容赦。
帝国近衛騎士団団長のベルンハルト・レーデンと申す。
エルフのマイカ殿の居所はこちらと聞き、罷り越した。マイカ殿はおられるか?」
「はい、私です。」
マイカが奥から玄関先まで出てきて、ベルンハルト騎士団長と対面した。
「こ、これは……」
ベルンハルトは一瞬、絶句し
「美しいとは聞いていたが、聞きしに勝る美しさだ…」
と、マイカの瞳を真正面に見据えて言った。
これにはマイカも
(インハングの街で遠目に見たけど、この近衛騎士団長さん、本っ当に美形だな。
こんな美形の人に「美しい」なんて言われたら、さすがに照れてしまうわ。)
と思って頬を赤くし、モジモジとしてしまった。
ベルンハルトとマイカが暫く黙って見つめ合っていたため、業を煮やしたようにハンデルが横から
「ところで騎士団長閣下、ウチのマイカにどういった御用件でしょうか?」
と、ベルンハルトに問いかけた。
「あ、失礼した…」
ベルンハルトはハンデルの質問で我に返り、これまた、頬を赤くした。
そして一つ咳払いをした後
「マイカ殿、皇宮内での事件を解決し、我が騎士団員エリアン騎士の無実を証明してくれたことに対して礼を言いに参った。
エリアンの命を救ってくれたこと、誠に忝ない。いくら感謝しても感謝し切れぬ。」
と、マイカに向かって言った。
さらにハンデルに対しても
「そなたがハンデル氏であるな。
そなたも協力してくれたことを聞いている。闘商としての名声もな。感謝いたす。」
と、礼を言った。
(貴族の、騎士団長ともあろう者が、わざわざ庶民の元へ出向いて礼を言いに来るとは…
しかも、騎士団の名誉云々とか言わずに、まず、部下の身を救ったことに対しての感謝を述べるとは…
正しい心を持った良い性格の若者のようだ。)
と、マイカは感心した。
「いえ、恐縮です閣下。
良い偶然が起こり、うまく事が進んだだけに過ぎません。
でも、エリアン様が助かって良かったです。」
と、マイカはニコッと含羞んだような笑顔を見せてベルンハルトに言った。
マイカの笑顔を受けてベルンハルトも笑顔となり、そして
「見事、事件を解決なされたのに、直ぐに立ち去られたとマフダレーナ侍女長殿より聞いた。 マフダレーナ侍女長は、当然、恩賞についての話を其許にしようと思っておいでであったが。」
「部外者である私が差し出がましいことを致しましたので、長居をしてはマフダレーナ様に御迷惑が掛かると思いまして…
あと、人を助けることが出来たのなら、別に恩賞なんていらないです。」
「何と、奥ゆかしい…」
と、今度はベルンハルトがマイカに感心したようだ。
「先の旧コロネル領での事件も、マイカ殿が解決したものと聞き及んでいる。
今回の件と合わせての恩賞について、私からも上申することに致す。」
「旧……コロネル領?
あの、先日インハングの街で閣下をお見かけしました。閣下が馬車の中の人と会話されているお姿を。
あの声はコロネル男爵でした。今、旧コロネル領と申されましたが、コロネル男爵に何かあったのでしょうか?」
「ふむ…直に公表する事実ゆえ、マイカ殿には話してよかろう。
コロネルは、爵位や領地、財産を没収され追放されることになった。コロネルだけではなく、家族や親類、主だった家人も同様にだ。
コロネルの執事であった者が、圧政の事実を証拠付ける書面その他を持って訴えてきたのだ。」
「執事…確かセバスティアーンと言った…」
「そう、そのセバスティアーンという者だ。
その者、マイカ殿の言動に感銘を受けて訴え出るに至った旨も聞き及んでいる。
さすれば、コロネルの悪行を暴いたのも、マイカ殿の功績ということになるな。」
「では…クライン村は?コロネル男爵領の村々は?」
「直に解放する。そう、今回の当事者であるエリアンは、私と共に礼を言いに参上すべきであったが、旧コロネル領への支援物資運搬の任のため、明朝早く帝都を発たねばならぬため置いてまいったのだ。
後日、必ず参上させる。」
「解放…支援物資…ああ、クライン村は助かるのですね…
騎士団長閣下、閣下も向かわれるのですか?」
「いや、私は別の任務がある故、直率する1番隊と共に残る。旧コロネル領へは2番隊が向かう。エリアンも2番隊所属なのだ。
そのクライン村とは、マイカ殿と何か所縁が?」
「はい。そこのノーラという10歳の少女と、その家族に凄くお世話になったんです。その御礼の品を送ろうと思っていたところで…」
マイカは、前にハンデルと話していたように、ブラムに頼んで一飛びしてもらって届けるつもりだったが、旧コロネル領に滞留している近衛騎士団の一隊が無断で出入りする者の監視を強化している旨の話が伝わってきて、そんな中、ブラムを飛ばすと射落とされる可能性が出てきたため、未だに送れずにいたのだ。
「うむ、引き受けた!2番隊隊長に届けてもらおう。その旨、申し伝えておく。」
「え…?いえ、そんな…このような事を身分がおありの方に頼むなんて、とんでもありません。失礼致しました。」
「なに、造作ない。マイカ殿より受けた恩と比ぶれば万分の一にも満たぬ事だ。
さ、品物を私に預けられよ。」
「それでは御言葉に甘えまして…」
マイカは一旦その場を離れ直ぐに戻ってきた。茶色い手の平サイズの小袋を持っている。
「これなのですが…本当によろしいのですか、閣下?」
「うむ!…失礼ではあるが、一応、中身を見ても…」
「はい、勿論です。どうぞ中をお改め下さい。」
と、マイカは自ら袋の口を開き、中身をベルンハルトに見せた。
金貨5枚と折り畳んだ紙片が入っていた。
「ふむ、金貨が5枚と…それは手紙だな?手紙は開かなくてもよい。
よし!しかと承った。この品はクライン村のノーラ少女に確実に届くよう手配しよう。」
「ありがとうございます、騎士団長閣下。」
第40話(終)
※エルデカ捜査メモ㊵
ベルンハルト近衛騎士団長の貴族としての位は上騎士。ラウムテ帝国の貴族制度においては五爵に次ぐ地位にあり、上級貴族と言っても差し支えない。
そのような高位の貴族が、恩があるとはいえ、庶民の元へ出向くなどとは、普通は有り得ないことである。
これは、ベルンハルト自身の律儀さもさることながら、彼の母親が庶民出身であることも大きく関係している。




