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第83話 君と海 8

「そろそろコート返す時間だから片付けするぞー」


 明宏の掛け声にみんなビーチバレーの片付けを始めた。


「私も手伝うよー!」


 荷物置き場で休んでいた遥がみんなの元へと駆け寄る。


「葵さん、もう休んでなくて大丈夫?」


 静夜に訊かれて遥は満面の笑みで答える。


「しっかり冷やしたから大丈夫! 私ドジだし怪我するのは慣れてるから!」


「いや、怪我するのに慣れるのは駄目だろ」


 静夜に突っ込まれた遥はやや落ち込みながら訳を話す。


「空間把握能力と反射神経がゴミすぎる運動音痴なもので即座に反応出来ずに怪我しちゃうし何度繰り返しても結局何も上達しない上その度に怪我してたら怪我に慣れちゃうのは仕方ないじゃん……」


「その……なんかごめん」


 哀愁漂う遥に今度は静夜が気まずそうに謝った。


「ううん、良いの。ここまで自己分析して私は改めて運動向いてない事は分かったし。出来ない事は出来ない! だから今後力仕事とか何かあったら静夜くんに頼るね♡」

「いや、俺に頼られても……」


 静夜の言葉に遥は駄々をこねる様に返す。


「ええー! 何かあったら俺に頼れって言ってくれたじゃん!」

「俺に頼れなんて一言も言ってないが?」

「でもそんな感じの事言ってたじゃん!」

「意味を曲解し過ぎだろ」

「ええー! でもさー」


 ビーチバレーのコートの砂を整地しながら言い合う遥と静夜を遠巻きに見ていた太一が明宏へと声をかけた。


「なーなー、あの2人前より仲良くなってね?」

「お、良い感じになってるなら良い事じゃん」


 明宏の言葉に太一は声を荒げて否定する。


「良いわけないだろ!! もし静夜が葵さんと付き合ったら4人の中で彼女出来た事ないのが俺だけになっちまう!」

「それならお前も誰かと仲良くなって付き合えば良いだけだろ?」


 明宏に簡単に言われ太一は更に激昂した。


「そんな簡単に彼女作れるならもうとっくの昔に作ってるわ!」


 荒ぶる太一に明宏は宥める様に肩に手を置く。


「まあまあそう荒ぶるなって。まずは身近にいる女子と仲良くなれよ。天江さんと河合さんとかさ」


 明宏に言われ太一はハルとユウを見ながら答える。


「いや、天江さんは零一筋だし、河合さんはぶっちゃけ俺よりカッコ良すぎて恐縮するというか……」

「ほーらそうやってお前からは全然女子と会話しにいかないだろ? 女子にモテたいならある程度女子と会話出来ないと。

ほら、今ちょうど河合さんが荷物持ってるし「俺が持つよ」とか言って来いよ」


 そう言われて太一は明宏に背中を押された。


「うわ! ……たく、仕方ねー」


 それから太一は内心ドキドキしながらも冷静を装ってハルとユウの元へ近づいた。


「河合さん、良かったら荷物持つよ」


 太一にそう言われてユウは涼しい顔で答える。


「ん? これくらい大丈夫だから気を遣わなくてもいいぞ」

「……そっか、分かった」


 あっさりとユウに断られた太一はすごすごと明宏の元へと帰って来た。


「ヒロ~断られた〜」

「断られた~、じゃねーよ!

そこは半ば無理矢理荷物取ってでも持ってやれよ!」

「そんなドラマみたいな事出来る訳ねーだろ!?」

「スマートさが足りないんだよお前は」


 明宏はやれやれと言わんばかりに太一の元を離れてクーラーボックスを持っている美菜の元へと向かった。


「飲み物重たいだろ? 俺持つから」

「わ、アキくんありがと〜」


 サラッと美菜からクーラーボックスを受け取った明宏は太一にチラッと視線を送る。


「ヒロの奴、結局リア充見せつけたいだけじゃんかよ〜くっそ〜……」


 太一の苦悩はまだまだ続きそうなのであった。

久々の更新。完結まで頑張りたい。

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