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第75話 君思う買い物

 遥たちが夏休みにみんなで海へ遊びに行く事が決まった後日。


 夏休み前の最後の日曜日。


「うーん、どっちにしよう?」


 遥とハルとユウは水着を買いに大型ショッピングセンターへとやって来ていた。


 遥は様々な水着を見て悩んでいる。


「可愛い系にするか、セクシー系にするか、カジュアルにするか、大人系か……静夜くんを落とすにはどれが1番最適なのか……」


 ぶつぶつと呟きながら物色する遥にユウは面倒そうにアドバイスした。


「そんなに悩むなら本人に聞いてみりゃいいんじゃねーの?」

「そ、そんな! 直接好みのタイプを聞くなんて私が静夜くんを好きな事バレちゃわない!?」

「いやもうすでにバレてるだろ」


 冷静にユウに突っ込まれ遥はハッとする。


「そっか、もうバレてるんだった……! でも本人に直接聞いて、全然私と正反対のタイプを言われたりでもしたら……」

「言われたりでもしたら?」


 ユウに続きを聞かれた遥は真顔でユウへと問いかけた。


「ユウちゃん、洗脳や催眠って素人でも出来るようになるかな?」

「恐ろしい事言うなよ」


 遥の本気の据わってる瞳にユウが突っ込むと、後ろからハルが声をかけてきた。


「見て見てユウちゃんルカちゃん! この水着可愛くない?」


 ハルはそう言ってリボンやフリルの付いた可愛らしい水着を持ってやって来た。


「あ、下はスカートっぽくなってるんだー、可愛いね」

「でしょ!? あ、そう言えば2人はもう選んだ?」


 ハルに問われてユウはいいや、と首を振る。


「スカートとかフリルとか私は好きじゃないから、シンプルに動きやすい奴にしようかとは考えてるけど」

「あー確かにユウちゃん私服もかっこいい寄りだもんね。ルカちゃんは?」


 遥はハルへの問いに力無く首を横に振った。


「静夜くんが気に入りそうな水着がどれなのか分からなくて何にも決まってない……」

「ルカちゃん、一旦東くんから思考を切り離して自分に似合ってるものを選べば良いんじゃない?」


 ハルの言葉に遥はカッと目を見開く。


「静夜くんを思考から切り離すなんてそんな事出来るわけないじゃん!!」

「まあ、実際切り離さなくても良いけど、その人の好みが分からないなら自分らしさで勝負するのも大切だと思うけどな~」


「自分らしさ……」


 ハルの言葉を遥は反芻(はんすう)した。


「そう! 変に相手に合わせて似合わない格好するより自分に合った格好をするのも大事だよ! という事で是非ともルカちゃんの水着コーデをしたいんだけど!」


 手をワキワキとさせながら目を輝かせるハルに遥は気づかず首を縦に振った。


「それじゃあハルにお願いしようかな」

「よっしゃあ! ルカちゃんほど美人なら何着ても似合うから一度は色々と試したかったんだよ! それじゃあまずこれ着て、次にこれとこれも! あ、後これも合いそうだしこういうのも……」


 次々と水着を持ってくるハルに遥はやや圧倒される。


「え? こ、こんなに?」

「試着だけならタダなんだし、どんどん着てこう! ほらルカちゃん、更衣室へGO~!」

「え? ま、待っ……!」


 有無を言わさず遥を連行していくハルをユウは横目で眺めていた。


(やっぱりこうなったか……ハルは前々から遥のコーデをしたいって言ってたからな……。とは言え遥のセンスも人とズレてるしあっちはあっちで任せて私も自分の水着選ぶか)


 こうして遥の水着は最終的にハルが決め、各々水着を買った後3人はお昼を食べにカフェへと立ち寄った。


「いやールカちゃんの水着選び楽しかった~」

「私は試着し過ぎて疲れたよ……」


 さも満足そうなハルとは対照的に遥の表情は疲れ切っていた。


「とは言えお前1人だと水着を選ぶ事すら出来なかっただろ?」

「まあねー、そこに関してはマジでハルありがとうなんだけどさー」

「もうルカちゃんってばもっと褒め称えてくれて良いんだよ?」


 すぐ調子に乗るハルに遥は呆れながら話す。


「ハルのセンスの良さは認めるけどさ……人を着せ替え人形にするのはどうかと思うよ?」

「それは良い水着を選ぶ為に必要な工程じゃん!」


 ハルの答えに遥は納得していない表情で呟く。


「いやいや、最終的に水着とは関係ない普通の服まで持ってきてたじゃん」

「あれはついでだよついで! せっかく試着してるんだから水着以外も着てみないとさ!」

「店員さん何も言わなかったけど絶対早く試着終われって思ってたと思うよ?」

「まあまあ! 何も言われなかったんだし、済んだ事は気にしない気にしない!」


 全くもって何を言っても刺さらないハルに遥は諦めた様にため息をついた。


「はあ、まあいいや。とりあえずハルのお陰で良い水着を買えたのも事実だし」


 遥がぼやいていると、店員さんがそれぞれの料理を運んできた。


「お待たせしましたーデミグラスオムライスとたっぷりチョコのパンケーキとフルーツ乗せ山盛りパンケーキです」


 遥は運ばれてきた大盛りのパンケーキにさっきまでの疲れが吹っ飛んだかのように満面の笑顔になった。


「美味しそう~! てか可愛い~! このフルーツとホイップの絶妙なバランスマジでヤバい神!! 写真写真っと♪」


 パンケーキをカシャカシャと取っていく遥に今度はハルが圧倒される。


「メニュー表見てヤバそうだなって思ったけど、量多くない? ルカちゃん本当にそれ食べ切れるの?」

「え? 甘いものなら無限に食べられるじゃん!」


 当たり前の様に答える遥の横から慣れきっているユウが質問した。


「ああ、そういやハルは初めて見るのか。それはそうと遥、前みんなで食べに行った時お前ずいぶん控えめにしてたよな?」

「あの時は静夜くんが居たから……でも今考えてみたら最初のケーキバイキングの時から沢山食べてるとこ見られてたから時すでに遅しだったね……」


 パンケーキを切り分けながら答える遥にハルも自身のパンケーキを食べながら質問する。


「よくそんなに食べて太らないよね? 私なんてこの量でも割と怖いのに……」

「うーん、体質かな? 食べても身にならないって言うか」

「なんて羨ましい体質……!」


 涼しい表情で答える遥を羨ましがるハルに、ユウは優しく声をかける。


「まあそう(ひが)むなよ。太らなくても病気にならないとは限らないからな」


 ユウの一言に遥は冷や汗を流した。


「もうユウちゃん! 私たちまだ10代だよ! 超健康体だし大丈夫だって!」

「しかしその食生活が板につけば大人になった頃には……」

「大丈夫大丈夫! 運動とかすれば良いもんね?」

「お前運動嫌いだろ」


 ユウに図星を突かれ遥は一瞬言い淀む。


「う……。

 で、でも! これから海に遊びに行くし! 何かと運動になるよ! 多分!」


「わ〜ルカちゃんの前向き思考凄いね〜」

「駄目だなこりゃ」


 こうして2人に将来を心配されつつも大盛りパンケーキを幸せそうに完食する遥なのであった。

次回海編! リアルな夏が終わってしまう! 更新遅くてごめんなさい! それもこれも全部夏にソシャゲコラボがくるせいだ! (八つ当たり)

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