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第44話 君と体力測定

 突然だが、今日の小鳥遊学園は全生徒「ジャージ登校の日」である。


 何故なら理由は簡単。

 今日は1日どの学年も全員体力測定があるからである。


「体力測定なんてくそくらえ」


 遥はグラウンドで小石を蹴りながら嘆いていた。


「ユウちゃん、もしかしてルカちゃんって運動苦手なの?」

「苦手なんてもんじゃない。あいつは超がつくほどの運動音痴だぞ」


 ハルがこっそりとユウに尋ねると、ユウは平然とそう答えた。




「位置についてーよーい……ドン!」


 体育教師の掛け声に合わせて遥は50メートル走を走り出した。


 結果は……。


「葵、9秒80!」


「おっそ!」


 遥の走りにハルはつい驚いて声を出した。


「うるさいなー!

 そう言うハルこそ何秒だったのさー!」

「私ですら9秒26なのにー」


 そう笑うハルに遥は悔しそうに話す。


「じゃあ次はハンドボール投げで勝負しよ!」

「のぞむところだよ!」


「天江、10.2メートル」

「葵、7.2メートル」


「くっそー! じゃあ次は握力で勝負!」

「オッケー!」


「天江右20.6、左19.8」

「葵右12.5左12.2」


「ルカちゃん本当にひどいね」

「勝負にならんだろそれ」


 遥の壊滅的な数値を見てハルとユウが同情の目で遥を見た。


「うう!

 あーそうですよー! どうせクラス1運動音痴ですよー!」


 そして遥はとうとう開き直った。


「葵ー」


 そんな遥の元へと体育教師がやって来た。


「お前ふざけてないでもう少し真面目にやりなさい」

「……先生、これでも私ふざけずにやってるんですけど」


 体育教師からの注意に遥は更に傷ついた。


「ユウちゃんは因みにどのくらいだった?」


「私? 握力なら右が45の左40」

「え? ゴリラじゃん」

「失礼だなお前」


 ユウの握力の強さにハルはドン引いていた。





 一方男子はと言うと……。


「鈴木ー、5秒97。

 東ー、6秒23」


「よっしゃ勝ったー!

 自己新記録更新ー!」


 徹人が喜んでる中、静夜は息を整えながら話しかけた。


「はぁはぁ……鈴木お前ガチで速いな?」

「まあな!」


 そんな2人のやり取りを見て明宏と太一が唖然とする。


「いやいや鈴木は想像通りとは言え、東お前も十分速い部類じゃん!」

「本当だよ! お前そんなに運動出来たん!?」


 驚いている2人に静夜は涼しげに返した。


「そりゃあまあ、ガキの頃は山とか川とかで遊んだりもしてたからな」

「あー田舎もんだからか」


 太一の言葉に静夜はキレ気味に返した。


「はぁ? 確かに田舎なのは認めるけど、どっちかつーと愛知に近いし、北海道よりは田舎じゃねーよ」

「はあ? 札幌は都会ですー!

 5大ドームもあるしな!」

「4大ドームにしたら抜けるくせに」

「つーかお前そもそも愛知県民じゃねーだろが!」


「まあまあ、ここは大人しく俺の出身の埼玉が1番都会と言う事で1つ」


 仲裁に入った明宏の言葉に静夜と太一は言葉を被せた。


「「それはない」」


「なんだと!?」


「おーい次の種目行こうぜー」


 お互いそれぞれの出身地で争ってる中、稚内出身の徹人は我関せずとさっさと次の種目へと移動した。






 それからしばらくして前半が終わり、各々休憩に入った頃。


「はぁ……疲……れた……」


 遥はぐったりと木陰でダウンしていた。


「正直、私はルカちゃんめっちゃ運動出来ると思ってたよ。

 普段の行動力見てるとパワフルだしさ」

「まあ、東関連の事では謎パワーが発揮されるからな……」


 ユウの言葉に遥は飲み物を飲み干しながら答える。


「ゴクゴク……ぷはぁ!

 な、謎パワーじゃなくて……愛のパワーだよ……はぁ、はぁ」


「お、男子達も休憩来たぞ」


 ユウの言葉に遥は飛び起きた。


「東くーん! 記録見せてー!」


「わあ、さっきまでぐったりしてたのが嘘の様に回復したね!」

「あれが謎パワー改め愛のパワーか……」


 遥の変貌ぶりをハルとユウは冷めた目で眺めていた。


「記録? 良いけど別に」


 静夜が記録用紙を遥に渡すと、遥は笑顔で受け取った。


「ありがとー! 


 って、ええ!?」


 静夜の記録に遥は驚いて静夜と記録用紙を何度も見返した。


「え? これ、東くんの記録……?

 えぇ!? あ、東くんって、そっち側の人だったの!?」

「何そっち側の人って」


 何だか聞き覚えのある単語だなと思いつつ静夜が尋ねると、遥は悔しそうな表情で答える。


「運動出来る人って事!

 うぅ! 私てっきり東くんはそんなに運動出来ない方かと思ってたのに、むしろ全部上位じゃん!」


 驚いている遥に後ろから太一がニヤニヤと答えた。


「それは東が田舎出身だからだもんな?」

「うるせー全部俺に勝てなかったくせに」


 そう突っ込まれ太一は怒りながら口を開く。


「うるせー! つーかよくよく考えたら勉強も出来て運動も出来るとかお前何もんなんだよ!? 弱点無しとかおかしくねー!?」

「何もんも何も、ただの岐阜県民だけど……」

「おかしいだろ岐阜県民の概念が!!」


 怒っている太一の横で遥も考える。


「勉強も出来て運動も出来る……もしかして東くん実はモテモテなのでは!?」


 遥の問いに静夜は冷めた様に笑いながら答えた。


「いや、双子の兄が強すぎて俺がモテた事は一度もないよ」


「あー……」


 静夜の言葉に一同は静夜に同情の眼差しを向けた。


「え? 何で? 小学生とかむしろ足速いだけで告られたりするじゃん!」


 一方遥だけ納得していなかった。


「まあ俺の話は置いといて、葵さんは記録どんななの?」


 遥から記録用紙を返された静夜が話題を逸らす様に尋ねると、遥は冷や汗を流した。


「わ、私は~まあ別に? 平均くらいかな~?」

「お前何今後バレる嘘ついてんだ。

 見せてもらったんならお前も見せろよ」


 そう言ってユウは遥から奪い取った記録用紙を静夜に渡した。


「ああ! ユウちゃん何するの!?」

「どうせ今後3年間でお前の運動音痴は嫌でもバレるんだから、バレるなら早い方がいいだろ?」

「い、今から特訓すればバレないかもしれないじゃん!」

「お前が特訓とか無理だろ。つーか特訓して変わるレベルでもないだろ」


 ユウと遥が言い合う中、静夜は遥の記録用紙を見てドン引いていた。


「うわぁ……小学生の記録?」

「酷いな東くん! れっきとした女子高生の記録だよ!!」


 静夜から記録用紙を奪い取り遥は顔を赤くしながら抗議した。


「ごめんごめん。流石に言い過ぎた」


 本気で恥ずかしがっている遥に静夜は割と真面目に謝罪する。


「はぁ……でも東くんがそんなに運動出来るなら、活躍してるところ見てみたかったなぁ……男女それぞれ別の場所でやるから全然男子のところ見えなかったし」


 そう落ち込む遥に静夜は意地悪く口を開いた。


「俺も葵さんがそんな記録を叩き出すんなら測定してるところ見てみたかったな」


 静夜にそう言われて遥は恥ずかしそうに静夜を睨みながら答えた。


「やっぱり別々で良かった! 見られるのは嫌だ恥ずかしい!!」

「葵さんにも羞恥心はあったんだね……」


 遥の言葉に静夜は本気で感心していた。


「東くん私を一体何だと思ってるの!?」


 そう遥に問われて静夜は戸惑いながら返す。


「何って……ちょっと、いや大分変わってる人?」

「まあ大方合ってるから否定出来ない!」

「あ、自分で自覚はしてるんだ」


 遥が自分の変人さ加減を知っている事に今日1番で驚く静夜なのであった。



 そんなこんなで午後の測定の時間になり、その後何事もなく体力測定は幕を閉じた。



「いたたたた……」

「ばあちゃんかお前は」


 遥は普段運動をしていなかったせいで1人筋肉痛に悩まされていた。

 遥の記録は大体私の学生の頃の記憶を元にしてます。

 先生に言われたセリフもガチです。今でもトラウマです。

 ユウの握力は友達(女)の中学生の頃の本当の記録です。

 男子達がドン引いていたのを今でも忘れません。

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