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第43話 君と席替え

「せんせー。 5月になったし席替えしようよー」


 次の日の朝。

 ホームルームの途中で1人の女子生徒が教師へと声をかけた。


「!?」


 その言葉に遥は驚く。


「あー席替えね、はいはい。

 それじゃ俺から連絡はもう特にないし、お前らで勝手にやってくれ」


 それから教師はやる気なさそうに教卓の隣にパイプ椅子を持って来て座り始めた。


「やったー! くじ作ろー♪」

「目が悪い人、前がいい人は声かけてー」


 一部女子がくじ作りに盛り上がっている中、遥は後ろの席の静夜に声をかけた。


「東くん、席替えだって……」

「そうみたいだね」


「ぶっちゃけ……嬉しい? 嬉しくない?」


 遥の問いに静夜は当たり前の様に答える。


「まあ楽しみかな」


「うわああん! どうせそう言うと思ったよ! 私と離れるより楽しみの方が強いんだぁ!」


 そうおいおいと嘆く遥に静夜は笑いながら答える。


「そりゃあまあ昨日あんな事があったばっかりだしね?」

「その節は本当に申し訳ございません」


 遥が平謝りする中、静夜の後ろの席のハルが静夜に声をかけた。


「東くん結局許したんだ……。

 別に無理して許さなくても良かったのに~」

「まあ次はないって釘は刺してるからもう良いかなって」


「はい! 葵遥天に誓ってもう2度と誤解を招く様な事は致しません!!」


 遥の言葉に静夜とハルはお互い呆れながら苦笑した。


「うちのルカちゃんがごめんね本当に……」

「いやいや、別に天江さんが悪い訳じゃないから」


「うぅ、本当にごめんなさい……」


 遥がまだ謝罪をしている中、ノートの切れ端で作られたくじが完成したらしくみんなそれぞれくじを引いた。


 そして教室のホワイトボードにそれぞれの席の数字が割り振られ、各々手持ちの数字を確認する。


「東くん何処だった!?」


 遥の問いに静夜は淡々と答える。


「真ん中の前から2番目」

「うっそ!? 私窓際の1番奥……」


 悲しみながら答える遥に静夜はガチトーンで口を開いた。


「普通はかなりの大当たりの席だろそこ」


「確かにそうだけど!

 でも「何処の席か」より「誰と近くか」の方が重要じゃない!?」


「なら聞いて喜べ遥。私がお前の前の席だから」


 遥の肩に手をポンと乗せながらユウが口を開いた。


「ユウちゃ〜ん! 良かったよーユウちゃんだけでも側に居てくれて〜!!

 これで私独りぼっちだったらどうしようかと……」


「葵さん、俺も葵さんの隣だったぜー」


 更に遥の元に徹人もやって来た。


「本当に!? 良かったー。これで取り敢えず席で話せる人がいる……」


「東くん隣の席だね。よろしくね」

「あ、隅田さんよろしく」


 静夜にそう声をかける真央に遥は即座に駆け寄ろうとした。


「隅田さーん私と席交換しない!?

 何なら1万円包むから!!」

「おいこら不正に賄賂(わいろ)しようとするんじゃない。

 さっきまで喜んでたんじゃなかったのかよ」


 遥が真央の側に行くのを止めたユウは呆れながらそう話した。


「そ、それは確かにユウちゃんや鈴木くんが近くの席は嬉しいよ……!

 でもそれはそれとして東くんとは常に近くの席がいい!!」

「そんな欲望漏らされてもこればかりはどうにもならんだろ。

 次の席替えの時神にでも祈るんだな」

「うわぁーん!」


 その後席替えは無事終わり、各々移動を始めた。


「うぅ……」

「まだ悲しんでんのかお前は」

「1番後ろラッキーじゃんか。な!」


 落ち込む遥にユウと徹人がそれぞれ声をかけていた。


「わーまた東くん私の前なんだね〜。

 改めてよろしく〜」

「よろしく天江さん」

「東席近くだな!」


 静夜の右隣に来た明宏に声をかけられ静夜は嬉しそうに答える。


「山本が近くで良かった……また女子に囲まれたらどうしようかと」


 静夜の本音に後ろからハルが反応した。


「まあ前の東くんの席軽く地獄だったしねー」

「うん、まあ」


 ハルと静夜が話しているのを遥は後ろから羨ましそうに眺めていた。


「うぅ……ハルだけ東くんとそのまま近くキープしててズルい……私だってくじ運さえあれば……」


「十分いい席なんだけどな」


 遥の嘆きにユウが素っ気なく答える。


「でも実際この席に来て1つ分かった事がある!

 前の席と違って今度は後ろから東くんの背中が眺め放題!!」


 そう言って静夜の背中を遠くから遥は食い入る様に眺めた。


「おー良かったな」


 ユウは突っ込むのが面倒臭くなりそんな遥を投げやりに放置した。


「確かに! 良かったじゃん葵さん!」


 徹人は笑顔で遥を応援した。



(……何か後ろから凄まじい視線を感じる……)


 一方静夜は大方視線の理由が分かっていた為振り向かずにスルーする事にした。



(……俺だけ周りに話せる奴がいねえ!!)


 一方右端の奥の席で太一は1人絶望していた。

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