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第41話 君と誤解

「おっはよー東くん!!」


 翌日の朝、遥は満面の笑みでマスク姿の静夜へと挨拶をしていた。


「おはよう葵さん」


「東ー風邪治ったんかー?」


 横から徹人に尋ねられて静夜は頷く。


「うん。もう熱も下がったし大丈夫」

「1日で治って良かったな!」


 徹人は笑いながら静夜へと声をかけた後、今度はすぐ様遥の方へと振り向いた。


「な! 葵さん!」

「うん! 本当に良かったよ~!」


 涙を流して喜ぶ遥の姿に静夜は呆れながら口を開く。


「いや、そんな1日休んだだけで大袈裟な……」

「連休もあったから私にとっては1日じゃないもの!

 まあでも昨日私と一緒に寝た効果もあって治ったんなら良かった良かった!」


 そう大声で話す遥の言葉に全男子が静夜を睨んだ。


「あ、葵さん何言って……!?」

「おーい東ちょっとこっち来い?」


 静夜が遥の台詞に青ざめながら訂正しようとするが、しかしクラスの男子に肩を掴まれてそのまま連行されてしまった。


「東くーん、ちょっと聞きたいんだけどさぁ」

「何? 葵さんと寝たってどういう事?」

「俺達の仲だろ? 包み隠さず話せよ?」

「いや、それは誤解で……」


 静夜が一生懸命男子達に誤解を解く為に説明している中、徹人が遥に質問した。


「何? 葵さん、静夜と寝たの?」

「いやぁ正確には風邪でダウンしてた東くんの横に座って寄りかかられてただけなんだけどね?」


 静夜の説明と遥の言葉で、男子達は白けた様に静夜を解放した。


「なーんだ。何もなかったのかよ」

「てっきりそこまでいっちゃったのかと思ったぜ」

「でも葵さんに寄りかかれるとか羨ましいなー」


(し、死ぬかと思った……!)


 無事解放された静夜は激しく打つ心臓を抑えて遥の後ろの席へと戻った。


「あ、東くん何かごめんね?

 私の言い方のせいでみんな誤解させちゃったみたいでー」


 そう謝りつつあまり悪びれずにこにことしている遥に静夜は違和感を覚えた。


「あのさ葵さん……もしかしてわざとああやって言った?」


 静夜の問いに遥は一瞬固まった後、視線を静夜から逸らしながら口を開く。


「え、えぇ~? 東くんの言ってる事私よく分かんな~い」


「正直に答えて欲しいんだけど」


 静夜からの追撃に遥は目を泳がせながら答えた。


「ああ言えば、クラスのみんなが私達が付き合ってると勘違いして勝手に外堀を埋めれるかな~? とか思ったり思わなかったり……?」


「マジでそう言うの本当にやめてくれ。

 冗談抜きでガチで」


 割とガチギレ気味の静夜に遥はビビりながら謝った。


「ご、御免なさい……」


 しゅんと落ち込む遥の横からユウとハルが口を挟む。


「遥、今回のは完全にお前が悪い」

「ルカちゃん流石にやり過ぎだよ~?」


「うぅ……」


 2人からも怒られ、遥は更に縮こまる。


「はぁ、せっかくお土産持って来たのに……」


「!?」


 静夜の言葉に遥がすかさず反応した。


「それに前に約束してた本だって持って来てたのになー」


 ため息混じりに残念そうに話す静夜に遥は口を開いた。


「あ、東くん……本当に御免なさい。

 だ、だから……その……」


 遥が歯切れ悪く話している横からユウとハルが口を挟む。


「東、別に遥にお土産なんて渡さんでもいいぞ。ぶっちゃけ友情にヒビが割れてもおかしくない事されたんだから」

「そうだよ東くん。これ以上ルカちゃんを甘やかさなくてもいいんだよ?」


「2人とも殺生なっ!!?」


 2人の意見に遥は絶望しながら叫んだ。


「東ーはいこれお土産!」

「お、サンキュー。

 これお土産、手羽先にしたけど良かったか?」

「おお! 美味そーじゃん!

 ありがとな!」


 一方徹人と静夜は各々勝手にお土産を渡し合っていた。


 そこに他の男子も入ってくる。


「渡辺が味噌煮込みうどんで山本がえびせんだっけ? はいこれ」

「お、サンキュー! あ、これこっちの土産の白恋な」

「ありがとう」

「ありがとな、俺特にどこも行ってないから土産とかないけど」

「別にいいよ気にしなくて」


 そんな光景を遥はただ眺めていた。


「うぅ……私も混じりたい……」


「まあ自業自得だわな」


 嘆いている遥にユウは呆れた様に突っ込む。


「後これ河合さんと天江さんの分。

 天江さん何が良いか分かんなくて河合さんと同じのにしちゃったけど良かった?」


 そう言って静夜はユウとハルにそれぞれ小倉トーストのラングドシャを渡した。


「お、サンキュー東」

「わー東くんありがとう!

 LINE気付けなくてごめんね~」

「いやいいよ別に」


 それから静夜はチラリと遥の方を見やると、静夜の方を見ていた遥と目が合った。


 が、しかし静夜はすぐにそっぽを向いた。


「!!?」


 遥は静夜のその態度にショックを受けていた。


「あ、あぅ……どうしよう……もしかして私き、嫌われちゃった……?」


「まあそりゃ嫌われても仕方ないんじゃないか?」

「どんまいルカちゃん」


 遥の問いにユウとハルがそれぞれ無慈悲に答えた。


 その後、授業が始まっても意気消沈し続ける遥の背中を静夜は呆れながら見ていた。


(全く葵さんのやつ……。昨日は感謝した部分もあるけど、流石に超えちゃいけない一線があるだろ……)


 しかしその後遥は本気で反省していた様で、静夜へと話しかけずずっと静かに落ち込み続けていた。




「なーなー東。

 このまま葵さん許さないつもりなん?」


 お昼の学食を食べている途中、太一が静夜へと質問した。


「んー……悩み中」


 太一の言葉に静夜は曖昧に答える。


「葵さんめちゃくちゃ落ち込んでるぞ?

 昨日の比じゃないくらいには」

「昨日も東休みって聞いてショック受けてたけど、今日のがもっとヤバいな。

 魂抜けてるレベルじゃん」


 明宏と太一にそれぞれ言われる中、静夜はやや怒り気味に答えた。


「でも今日の朝は俺マジで死ぬかと思ったんだぞ」

「まああれは確かにやばかった」

「あんなん生きた心地しないよな」


 静夜の言葉に明宏と太一が同意する。


「それなのにあんま簡単に許しちゃったらさ、今後また同じ事起こったら嫌だし」


 そう話す静夜にカレーを食べていた徹人が口を挟んだ。


「じゃあさー東は葵さんと友達やめるのか?」


「それは……」


 徹人に尋ねられ静夜は持っていた箸を止めて考えた。


(確かに朝の件は酷かったけど、かと言って絶交する程かと聞かれるとどうだろ……いや人によってはそのレベルかもしれないけど、一応ちゃんと反省? はしてるみたいだし友達やめる程でもなくはない……?)


「何何? つまり超可愛い美少女とせっかく友達になれたチャンスを逃したくはないって?」


 静夜が悩んでる横から太一が静夜の考えを代弁するかの様にみんなに話し出した。


「誰もんな事言ってない!」


 その太一の言葉に静夜は怒りながら答える。


「まあまあ、落ち着けって東。


 ぶっちゃけ許すも許さないも東次第だしさ。俺らにはあんま関係ない事だしな」


「それもそうだな。東と葵さんが仲悪くなったところで俺達も葵さんと疎遠になるだけだし。

 なんなら俺達は葵さんの眼中にもないしな」


 明宏と太一の言葉に、横から徹人が茶々を入れた。


「えー!? 俺は葵さんと話せて面白かったけどな」

「まあ面白いではあるけど……」


 徹人の言葉に静夜はやや肯定しながら答える。


「まあ別に鈴木は鈴木で仲良く話せば良いだけじゃん?」

「えー? でも俺葵さんとは東関連くらいしか話さないからなー」


 明宏の提案に徹人は不貞腐れつつもそう答えた。


 その後静夜が答えを出す前にお昼の時間は終わってしまった。


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