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第32話 君と気まずさ

 ゴールデンウィーク前半が終わり、平日の登校日。



「おはよ~東くん」

「お、おはよう葵さん」


「…………」


(気まずっ……!!)


 遥と静夜はお互いに気まずい時間を過ごしていた。


「ユウちゃ~ん、ハル~、助けてよー!」


 昼休み、遥はユウの席へとやって来て泣きついていた。


「助けてって言われてもなー」

「東くんにバレちゃったんだって?」


「そうなんだよ~」


 1人嘆く遥に、ハルは冷ややかな目で答える。


「まあ東くんどころかクラスの大半がほぼ周知の事実みたいなもんだったけどね」

「つーかみんなにバレてるのを気付いてない遥の方が重症だろ」


 ハルとユウにそう言われて遥は驚きの声をあげた。


「私そんなに分かりやすくバレてたの!?」

「逆にあれだけ騒いでよくバレてないと思ってたよな?」


 ユウにそう言われて遥は項垂れる。


「うぅ……あれでも控えめなアピールだったんだけどな……」

「あれで控えめだったのかよ」


 3人で話している中、徹人が唐突に話しかけて来た。


「天江さーん!」

「何? 鈴木くん」

 

 それから徹人はおもむろにネコがぶら下がっている小さいキーホルダーをハルに手渡した。


「これコンビニでお菓子買ったら貰えたからさ、確か天江さん好きなキャラだろ?」

「あ、ゆるネコだ~! 貰ってもいいの?」

「俺別に興味ないしやるよ!」

「わあい! ありがとう鈴木くん!」

「それじゃあ!」


 キーホルダーを渡した徹人はさっさと席に戻って行った。


 ゆるネコのキーホルダーを受け取りほくほくとしているハルに遥は真顔で質問する。


「ねえハル」

「何? ルカちゃん」

「もし鈴木くんがハルの事が好きでさ、それをお互いバレてたとしたら、ハルはどう声かける?」

「えー? そもそも私零様一筋だから別に何とも思わないかなー。

 というか鈴木くんもYukaのファンって言ってたしまず私の事好きにならないでしょ」


 ハルが当たり前の様にそう答えると、遥はため息をついた。


「はぁ……そうだよなぁ、ハルならそう言うよな……」

「というかもうそこまでバレてるなら告れば?」


 ユウの言葉に遥は拳を机に叩きつけながら抗議した。


「そんなまだ成功率低い状態で告白なんて出来る訳ないじゃん!

 今乙女ゲームで例えるならまだ好感度60%くらいだよ!?」

「いやそんな60%もいってるか?

 10%の間違いじゃね?」


 遥の言葉にユウが辛辣に答える。


「えー!? 60%はいってて欲しい!」

「それはお前の願望だろ?」


「でもさ、どれだけ相手にバレてても東くんから拒否られない限りは告らなければ現状維持でしょ?

 別にこれまで通りにしてればいいんじゃないの?」


 ハルの言葉に遥はハッとする。


「確かに! どれだけバレてても告らなければ振られないしむしろもう開き直って堂々とアタック出来るという訳だね!

 失うものがない状態が1番最強って事か!!」

「なんだその無敵の人みたいな考え方」


 遥の気付きにユウは一抹の不安を感じた。


「よっしゃあそれじゃあ堂々とアタックしてくる!」


 そう言い残し遥は2人の元を去って行った。


「東くんに嫌われる可能性もゼロではないって分かってるのかな?

 普通に好感度失う事もあるよね?」

「さあな。まあ東はなんだかんだ優しいし多分大丈夫だろ」


 ハルの心配にユウは投げやりに答えるのだった。



 そして遥は早速静夜に話しかけていた。


「東くん!!」

「え? な、何? 葵さん」


 唐突な遥の質問に読書中の静夜は身構えながらも聞き返す。


「あの! えーと……」


 しかし遥は固まってしまった。


(つい勢いで話しかけちゃったけど、特に話す話題なかったーー!)


「き、今日は天気がいいね!」


 そして遥が精一杯振り絞って出した話題はしょうもない天気の話だった。


「あ、うん。そうだね……」


「……」


(……やっぱり気まずっ!)




「何か悪い事しちゃったな、俺ら」

「ああ、そうだな」


 事情を知っている(というか戦犯である)太一と明宏は2人をヒヤヒヤしながら見守っていた。


 一方遥と静夜の気まずい雰囲気に、クラスの同級生達も徐々に気付きざわめきだしていた。


「何か今日の葵さん変じゃねー?」

「まあいつも変だったけど」

「てか東と何かあったのかな?」


 こそこそと話す遥狙いの男子達はとある結論に至った。


「もしかして……葵さん東に振られたとか?」

「えー? 葵さんが振られるとかあるか?」

「でも付き合ってる様にも見えないし、何か気まずそうだし」


「て事は、俺にもチャンスあるって事?

 よーし!」


 そう言って1人の男子が遥に声をかけてきた。


「ねえ葵さん」


 静夜と気まずい空気が漂う中、突然横から入ってきた男子に遥は驚く。


「え? 何?」

「あのさー、もし良かったら、俺と今度2人で遊びに行かない?」


 笑顔で爽やかに尋ねてくる男子に遥は真顔で返した。


「え? 何で? 普通に嫌だけど」


 当たり前の様に断られ、男子は意気消沈しながらすごすごと去って行った。


(わぁ……バッサリ断ったな……)


 静夜が目の前で散っていった男子に同情の目を向けていると、遥が怒り気味に静夜に話しかけてきた。


「東くんも目の前に居るのに急に割って入ってきて私だけ誘うとか失礼しちゃうよね!」

「あ、それで怒ってたの?

 別に俺そんなに気にしてなかったのに」


 静夜がハブられた事に怒る遥に対して静夜がそう言うと遥は更に怒り出した。


「東くんが気にしなくても私が嫌なの!」


「ふーん、そっか」


「大体東くんは優しすぎるんだよ!

 まあそういうところも好きなん……だけど……」


 遥は言いながら自分が好きだと言っている事に気付きどんどん言葉が小さくなっていく。

 それから勢いよく訂正し始めた。


「いや違くて! 今のは告白として言った訳ではなくてそういう東くんの部分的な所が良いよねという意味合いででしてね!」


「あ、うん」


 必死に顔を赤らめて言い訳する遥に圧倒されつつも静夜は頷く。


「だから! えーとつまり!

 優しすぎるのも良いけど東くんも怒る時はちゃんと怒った方が良いよ!」


「え? ああ、でもそんなに心配しなくても俺も怒る時はちゃんと怒ってると思うけど?」


「いやいや! 東くんは全然優しすぎるよ! 私みたいな変な奴に好かれるぐらいには優しいんだからもっと自覚持って自分を守らなきゃ!」


 そう必死に伝えてくる遥に静夜は混乱する。


「え? えーと……?」


「分かった!?」


「あ、はい」


「なら良し!」


 遥は満足した様に言い切った。


「じゃあこれからも友達としてよろしくね!」


「え? ああ、うん」





(あれだけ言っといて告白じゃないのかー!?)


 遥の言葉を聞いていた静夜含むクラスの全員が同じ事を考えていた。


(最初気まずくてどうなるかと思ったけどなんだかんだ普通に話せて良かった……!)


 一方遥は自分が好きと言っていた事に全く気付いていなかった。

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