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第31話 君と好きバレ

「おかけになった電話番号は、現在お出になりません」


「ちぇー。やっぱりダメかー」


 遥は携帯を鞄にしまいこの後どうするかを考えた。


「せっかく家出たのにすぐに帰るのもなー。

 でもどこも行くあてないし……。

 コンビニ行ってケーキでも買うかぁ」


 こうして遥は1人コンビニへと向かった。






 一方男子一行は学校の近くまでやって来ていた。


「誰の部屋でスマ◯ラやる?」

「今日陽太が仕事だから俺の部屋空いてるけど」


 徹人の申し出に静夜がそう答えると、横から太一が口を挟んだ。


「え? 東って陽太と同部屋なの?

 学科違うのに?」

「あー、何か双子だから配慮してもらったみたいでさ。だから俺の部屋芸能科の方なんだよ」

「マジか、だから寮であんまり東と会わなかったんだな~」


 そう納得する太一の後ろから、明宏が声をかけた。


「寮って学科別なんだ?」

「ああ。同じ相部屋の奴は基本同じ学科だし、部屋も学科別に区切られてるんよ。

 だから別の学科の奴とはあんま会わないな」

「学科の分かれ目みたいなところでもなきゃ会わないよなー」


 説明されて明宏はへーと呟いた。


「ところでさ、噂の葵さんは寮じゃないのか?」


 明宏の問いに静夜が答える。


「葵さん家が近くって言ってたな」

「お、流石東、葵さんの事何でも知ってんじゃん」


 明宏にからかわれて静夜はムッとしつつも答えた。


「いや別に葵さんから聞かされただけだから」

「聞かされてる時点でやっぱ好かれてるよなー」


「なあ、もしかして葵さん、東の事ストーカーしてたりして!」


 太一が笑いながらそう言うと、静夜はやや引きつつも口を開く。


「いや、流石の葵さんもストーカーはしないだろ……」


 そう言ってる側から、丁度男子達が目の前を通りかかったコンビニから遥が出てきた。


 そして男子達は一斉に驚きと恐怖の声を上げる。


「うわー! 出たよ本当に!?」

「葵さんマジかよ!!」

「ヤベー本物だー!」


「うぇ? な、何急に?」


 騒ぎを聞きつけて遥が声の方へと振り向くと、静夜達の存在に気付いた。


「ってびっくりしたー。

 東くん達じゃん」

「うわバレたから偶然を装って近付いてきた!!」

「逃げろ東! ここは俺達が食い止める!」


「え? 何? 何の話?

 何で私そんな特級呪物みたいな扱い受けてるの?」


 訳が分からずぽかんとしている遥に対して徹人がストレートに質問をぶつけた。


「葵さん、今東の事ストーカーしてた?」


「……はぁ? 私が東くんをストーカー?」


 そんな徹人の質問に遥は面くらいつつも首を横に振って全力で否定した。


「私がそんな東くんのプライベートを覗き見するだなんて畏れ多い事出来る訳ないじゃん!!

 まあ、あわよくば学校付近歩いてたら偶然会えるかもとは常に思っているけども!」


「だってさ東! 良かったなープライベートはしっかり守ってくれるみたいだぞ!」

「いや、それと一緒にちゃっかり本音も漏れてんだけど」


 男子達の安堵の声を聞きながら遥は思考を巡らせた。


(……ん? そもそも私が東くんストーカーすると思われてるって事はすなわち……


 私が東くんの事好きなのバレてるって事!?)


「ち、ちょっとみんな!」


 男子達に遥は声をかける。


「どうした? 葵さん」


「も、もしかしてだけど……ま、まさか私が東くんの事好きだと思われちゃってる感じ?」


 遥の問いに男子一同固まった。


 その反応に遥は確信する。


(間違いない……!


 これ「好きバレ」ってやつだー!!


 いや待って早くない? 好きバレって普通恋愛漫画とかドラマで言ったら大分終盤でしょ? クライマックスでしょ? まだ4月だよ??

 バレる展開早すぎない? 何で?)


(と、ともかく……ここは誤魔化しておかなきゃ!!)


 すーはーと一呼吸置いて遥は言葉を続けた。


「ミ、ミンナッテバ! ソンナ勘違イシチャッテ!」


(うわー葵さんめっちゃ嘘つくの下手だー!)


 遥のバレバレの演技に男子達は内心突っ込みつつも、優しくその嘘に乗っかってあげた。


「え、えー? 俺達てっきり葵さんが東の事好きだと思ってたけど、違うのかー(棒読み)」


「そ、そうだよー!

 べ、別に私東くんの事なんて全然好きじゃないんだからね!」


(分かりやすいツンデレキャラになってるー!)


 遥のキャラ変に更に男子一同が内心突っ込んでいた。


「あ、でもちょっと意識してくれた方が今後の展開的にもちょっと楽になるんだけどね!」


(何か今後の展開の事気にし出したー!?)


 男子達が心中で騒いでいる中、静夜が静かに遥に声をかけた。


「あの、葵さん」


「!!

 ハ、ハイ! な、何でしょう?」


 テンパる遥に、静夜は淡々と尋ねた。


「俺、今後葵さんにどんなスタンスで話しかければ良い?」


 静夜も無事テンパっていた。


(東も何聞いてんだー!?)


 男子達が内心ヒヤヒヤしている中、混乱している静夜に遥は悩みながら答える。


「あ、そうだな……えーと、じゃあラノベにありがちな鈍感系主人公みたいな感じで、周りにはヒロインの気持ちがバレバレだけど主人公だけは気付いてないみたいな、あの立ち位置で」

「ああ、そんな感じね、分かった」


(何か打ち合わせ始めてるー!?


 いやもういいよそんな打ち合わせ!

 もうそこまでバレてたらいっその事告ってしまえよ!


 その方がお互い楽になるだろ!!)


 男子達が内心で突っ込みまくる中、遥と静夜は淡々と話を続ける。


「あ、じゃあ次の登校日からそんな感じでお願いします。


(何言ってんだろ私?)」


「あ、はい。分かりました。


(何言ってんだろ俺?)」


「いやお前ら馬鹿なの!? 学年ツートップなのに揃いも揃って馬鹿なの!?

 全員状態異常混乱ってパーティ全滅も良いところだわ!!」


 ついに太一が心の声を爆発させた。


「はっ!?」


 その声に遥と静夜も我に返る。


「あー……えーと……」


 遥は何か悩むそぶりをした後男子達全員に向かって頭を下げた。


「本当に申し訳ないけど、今日一日の記憶を消して貰えませんか!!?」

「いや俺達人間だから!

 機械みたいに記憶消去とか出来ないから……」


 そう突っ込む太一の横から明宏が口を挟んだ。


「葵さん」

「は、はい! 何でしょう!?」


「恋愛漫画の1番面白い所は、主人公カップルがくっつきそうでくっつかない、絶妙な距離感の時だってりぼん派の妹が言ってたんだ」

「は、はぁ……」


 明宏の言葉に遥が生返事で答えると、明宏は後ろを振り返った。


「だから東」

「え? 俺?」


「今回は流石に展開が早すぎた。

 葵さんの事見逃してやってくれないか?」


 そうお願いする明宏に対して静夜は笑顔で答える。


「いや、つーか……。

 そもそも今回葵さんが俺の事好きだって言い始めたの、お前らだろ?」


「「「あ」」」


 静夜の声に男子3人は冷や汗を流す。


「別に俺お前らに言われなければそこまで何とも思ってなかったんだけどな?」


 たじたじになる3人に静夜は更に追撃を続ける。


「そ、それは……」


「お前らが言い始めた事だろ?

 ならお前らが責任取ってくれるよな?」


「この地獄の状況を俺達にどうにかしろと?」


 太一の問いに静夜は笑顔で頷く。


「葵さんごめんなー。

 俺が東に葵さんが東の事好きなのバラしちゃった」


 徹人が純粋に謝罪すると、遥は焦りながらも口を開いた。


「いやいや、私の態度が分かりやすすぎたせいだし、全然鈴木くんは悪くないよ!」


 遥が快く徹人を許した事に、2人ももこぞって謝罪を始めた。


「葵さんごめん!

 俺が先に葵さんが東の事好きなのみんなに言っちゃって!」

「葵さんごめん!

 俺が東にこの事言おうぜってけしかけたんだ!」


 遥は頭を下げる2人に対して笑顔で口を開く。


「おめーら2人は覚えてろよ?」


「あれ? 鈴木の時と全然違う!?」

「表情と台詞が合ってなくない!?」


 そんなこんなで。


「それじゃあみんな今回の事は何も無かったという事で」


 遥の言葉に太一と明宏がそれぞれ答える。


「はい。

 俺達は何も気付いてないです」

「はい。

 俺達は何も話していないです」


「よーし、それじゃあ……解散!」


 こうして、男子達と遥は別れたのであった。



 それから男子達はこの事を忘れるべくスマ◯ラに熱中した。



 その日の夜。


(……私東くんが好きな事本人にバレちゃってたよね!?)


 遥はベッドの中で静かに悶えていた。



 一方小鳥遊学園の寮にて。


(……考えない様にしてたけど葵さんガチで俺の事好きだったんだ……)


(……何で!?)


 やっぱり忘れるのは無理な2人なのであった。


 

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