第30話 君と愉快な仲間
昼下がり、男4人のマク◯ナルドにて。
「俺さ……中学の頃付き合ってた彼女が居たんだけどさ」
「は!? お前彼女居たのかよ!」
唐突な明宏の暴露に横で太一が騒ぎ出したが、それにお構い無しに明宏は続ける。
「その元カノがメンヘラだったんだよ。
最終的にカッター持ち出して「私と一緒に居てくれなきゃ死んでやるー」とか騒ぎ出してさ、怖くて別れたんだけど」
「普通にヤバいやつじゃんそれ」
明宏の元カノに一同は騒然とした。
「別れる時もマジでヤバかったんだよ……直接会うの怖くてメールで別れようって送ったら、何かずっと電話きて鳴り止まなくてさ……怖くて着拒したら、しばらくつきまとわれた」
「いやマジで怖い奴じゃねーか!?
そんでどうなったんだ?」
みんなが固唾を飲みながら明宏の話を聞き入る中、明宏はあっけらかんと続けた。
「まあ数日はストーカーされてたけど、飽きたのか諦めたのか、気付いたら他の男と付き合ってたわ」
「うわー、今度はその男が災難だけど、まあでも山本無事で良かったな」
そして明宏は静夜に向けて笑顔で話す。
「だから東、可愛いからって簡単に付き合うとやべー事になるかもしれないから覚悟しといた方がいいぜ?
あ、因みにこれ元カノの写真な」
静夜に忠告した後、明宏は可愛い巨乳の女の子が写っている写真をみんなに見せた。
「それもう葵さんがヤバいって前提の話じゃん……てか元カノ可愛いな?」
「は!? めっちゃ可愛いし胸でか!
お前これヤッたのか?」
太一に尋ねられて明宏はグッと親指を立てた。
「そりゃあ、まあな」
「はあ!? さっきまで可哀想だと思ってたけどこれでチャラだわ! 十分良い思いしてんじゃねーか!!」
「いやでもマジで死ぬかもって思ったんだぜ?」
「いやいやこんなん多少ヘラって丁度良いくらいじゃん!」
「丁度良くはねーって!」
言い合う明宏と太一の横から徹人が更に携帯を見せてきた。
「あ、因みにこれ俺の元カノー」
「はぁ!? 鈴木、お前にまで元カノが居たのかよ!? しかもこっちもまあまあ可愛いじゃねーか!
何で俺だけ非モテなんだよくそ!」
そう項垂れる太一をよそに明宏は徹人に質問した。
「お前その子とヤッたのか?」
「いや? デートで公園行ってバスケの3ポイントの練習したり川沿い走り込みとかしたら、「思ってたデートと違う」って速攻で振られたんだー」
「逆によくそんなんで付き合うまでいけたな」
「小学生のデートかそれ」
「なんか鈴木らしいな」
徹人のピュアっぷりに3人は各々突っ込んだ。
一方遥はと言うと。
「ユウちゃんやっほー!!」
「だ~か~ら~。
アポ無しで訪問はやめろって何年言い続ければ分かるんだ?」
漫画を描きながらキレるユウに遥は笑顔で答えた。
「え~? 私たちの仲じゃーん」
「帰れ」
「そんな冷たいなぁ……」
ユウはそんな遥を無視して漫画を描く事に集中しだした。
(あー、これは邪魔できないやーつ……)
それを悟った遥はそっとユウの家を後にした。
「はーあ……ダメ元でハルに電話するかな〜」
遥は携帯片手に近所を散歩し始めたのだった。
場面は戻り、マク◯ナルドにて。
「まあでも葵さんが性格ヤバくてもヤレると思ったら俺付き合っちゃいそう」
「とか言いながら勉強会で葵さんのよく分からん言動に引いてたじゃんお前」
太一の言葉に明宏が即座に突っ込む。
「いやまああれは初めて知った意外な一面に驚いたというか考えていた性格とかけ離れていたからで!
てか俺じゃなくて今日の話のメインは東だろ!? ぶっちゃけ東はどうなんだよ?
葵さんとヤレるチャンスがあったら同じ男としてヤルよな?」
太一にそう訊かれて静夜は真顔で答えた。
「後々の事考えると怖すぎて無理」
「お前それでも男かよ!!」
太一の発言に静夜がこれまでの遥の言動を思い出しながら答えた。
「冗談でも「婚姻届」とか「言質取った」とか言ってこられたらそりゃあ多少警戒はするだろ」
「は? 婚姻届……? 何かよく分からんけどすげー事言われてね?」
「何でそんな事出会って1ヶ月で言われる状況になるんだよ?」
「え? 東って葵さんと結婚すんの!?」
静夜の言葉(正しくは遥のこれまでの言動)に男子達は困惑した。
「いや結婚とかしないし。
ともかく、俺は今のところ葵さんと付き合う気はないから!
これで話終わり!」
静夜がぴしゃりと言い切る中、明宏と太一は口を挟んだ。
「今のところは、ねぇ……?」
「つまり今後の展開次第では付き合うかもしれない、と」
「あーもう! 今後とかマジで知らん!!
終わり終わり!!」
「あ、逃げた」
「あー、これ以上深追いは無理だな」
「ご馳走様ー!」
静夜が強引に会話を終わらせて逃げる様にマク◯ナルドを出て行った為、他のメンバーもそれを追いかける様に店を後にした。




