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第24話 君とお昼

 月曜日のお昼時間。


「お弁当忘れたっ!」


 遥は鞄の中を漁ってそう叫んだ。


「あらま」

「どんまいルカちゃん」


 叫ぶ遥を気にせずハルとユウはそれぞれ弁当を取り出して食べる準備を始める。


「はぁ~仕方ない学食行ってくるか……」


 遥が重たい腰を持ち上げると、横から男子達の声が聞こえてきた。


「東もこれから学食?

 一緒に行こうぜー」

「おー」


 静夜と明宏の会話を聞きつけた遥は即座に男子達の元へと駆け出した。


「東くん達も学食行くの!?

 今日私もご一緒していい?」

「え? あ、葵さん!?」


 突然の声かけに1番驚いていたのはこの前無事失恋したばかりの太一だった。


「お、葵さんじゃん!

 いいよー」


 そして徹人は特に周りの男子達の意見を聞く事もなくあっさりと遥を受け入れた。


「ありがとう鈴木くん!」


 徹人から同意を得た遥はすぐ様男子達と一緒に食堂へと向かい始めた。


「ユウちゃん、私たちは行かなくて良かったのかな?」


 そんな遥を指差しながらハルがユウへと問いかけるが、ユウは気にせず弁当を食べ始めた。


「まあ大丈夫でしょ。多分着いて行ったところで遥は東にしか話しかけないだろうし」

「それもそっか」


 こうして2人はいつも通り教室で弁当を食べ始めた。



 一方食堂に行った一行はというと。


「周りの視線が痛い」


 明宏の呟きに静夜も頷きながら口を開く。


「ただでさえ葵さんだけでも目立つのに、男4人に女1人ってそりゃあ目立つよな」


「てっきり河合さんや天江さんも一緒かと思ったんだけど……というか葵さんは逆にこの状況何とも思ってないのか?」


 太一が疑問視している中、徹人は遥に質問した。


「なぁ葵さん、いつもの2人は?」

「今日私だけお弁当忘れちゃってさ~。

 だから私だけ学食なんだ」

「ふーん、そうなんだー」


 徹人と遥は周りの視線など気にもせず普通に談笑していた。


「鈴木って前から思ってたけど、メンタル強すぎんか?」

「葵さんといい勝負してそう……」


 徹人のメンタルに明宏と静夜は素直に感心していた。


(やっぱ見た目は超好みなんだけどなー……)


 一方太一はまだちょっと傷心モードだった。


 それから各々食事を受け取り席へと座り出した。


 男子4人が2対2で向かい合う様に座る中、静夜の横をしっかりと遥は確保する。


「東くん魚にしたんだー。

 魚好きなの?」


 静夜がサバの味噌煮を食べていると横から遥が尋ねてきた。


「ああ、まあ割と魚は好きかな」

「そうなんだ!? 他にどんなのが好きなの!?」


 目を輝かせて質問してくる遥に静夜は少し考えながら答える。


「えーと、割と何でも食べれるけど強いて言うなら……ヒラメの昆布締めかな」

「わあ結構好みが渋いんだね!」


 そんな遥と静夜のやり取りを横で聞いていた徹人が質問した。


「東って魚好きなんだなー。

 岐阜ってヒラメが有名なのか?」


「海なし県なのに海魚が有名な訳ないだろ」


 徹人の問題発言にすぐ様静夜が突っ込んだ。


「え? 岐阜って海無いとこだっけ?」


「鈴木、お前岐阜の位置そもそも分かってんのか?」


 明宏に聞かれて徹人は慌てながら答える。


「海ないって事は、日本地図の真ん中らへんのあのごちゃごちゃしてる所のどっかだろ?」

「せめて東海地方か中部地方のどっちかで答えて欲しかった」


 徹人の残念な答えに静夜は静かに嘆いた。


「つーかお前日本地図なんて小学校で習う範囲だろ? 本当よくこの学園受かったよな」


 太一に聞かれて徹人は真面目に答える。


「でも試験で都道府県の位置なんて出題されなかったぞ?」

「それは当たり前すぎて問題にすらならなかっただけでは?」


 そんな徹人に遥が更に突っ込んだ。


 

 そうしてみんなが盛り上がってる中、1人の男子が静夜の元へと学食を手に持ってやって来た。


「おーい、静夜ー」

「あ、陽太?」


 突然の双子の兄である陽太の来訪に静夜は少し驚いた。


「わぁ、東陽太だ!」

「本物こんな近くで初めて見た!」

「すげー! かっけー!」


 男子達は初めて近くで見る陽太にそれぞれ感嘆の声をあげている。


「どうしたんだ急に?」

「いやー実はさ、いつも一緒に食べてる奴らが今日こぞって仕事で休んでて今俺ぼっちでさ……。

 だから俺もここに混ざっていい?」


「まあ俺は良いけどみんなが良いなら……」


 静夜がチラリと周りを見渡すと各々意見を述べた。


「俺は全然オッケー」

「俺もオッケー」

「俺たちの事気にせずどうぞー」


 一方遥は陽太の顔をマジマジと見ていた。


(この人が……この人が東くんの双子のお兄さん……。


 つまり……)


(将来もし私が東くんと結婚したら、義理のお兄さんになる人!)


「向かい座っても良い?」


 陽太が目の前の遥に話しかけると、遥はにっこりと営業スマイルを繰り出した。


「どうぞどうぞ! 遠慮なく座っちゃって下さい!

(東くんの身内にはなるべく愛想良くしなくちゃ!)」


「ありがとう」


 陽太もにこりと笑顔で答えて遥の向かいに座った。



(わぁ……やっぱり美男美女同士、2人とも絵になるなぁ)


 遥と陽太のやり取りを横から眺めていた静夜がぼんやりと考えていると、斜め向かいから明宏がひそひそ話を始めた。


「何かさ……あの2人だけ別次元の人じゃね?」

「分かるわー。ドラマのワンシーン見てるみたい」


 明宏と太一がこそこそと話している中、それは周りの他の学生達も思っていたらしく、遥と陽太に注目が集まっていた。


 そんな視線をものともせず陽太が目の前に座る遥へと質問する。


「えーと、もしかして君って、静夜からのど飴貰った?」


「「!!?」」


 唐突な陽太の質問に遥と静夜は2人して驚いた。


「陽太! 何突然言い出してんだ!」


 静夜が抗議の声を陽太にあげるが、陽太は知らん顔して遥と話しだした。


「はい!

 確かに東くんからのど飴頂きました!」

「あー、じゃあやっぱり君が静夜の友達の女の子だったんだ」

「あ、はい! 葵遥と申します!

 東くんのクラスメイト兼友達をやらせてもらっています! 趣味は東くんがお勧めしてくれた本を読む事です! よろしくお願いします!」


 そして唐突に始まった遥の自己紹介に陽太はあっけらかんと笑い出した。


「あははっ! 葵さんって本当に噂通り変わってる人なんだね~」

「は、はぁ。

 まあよく変わってるねとは沢山言われ続けてきましたけど、そんなに変わってますかね?」

「てか俺も同級生なのになんでそんな敬語なの?」

「例え同級生であれ、東くんの兄である為一応と思いまして」


 そう律儀に答える遥に更に陽太が吹き出した。


「ぷはっ! 静夜ですらまともに俺の事兄として見てくれてないのに……!

 おい静夜ー、これを機に今後俺の事「お兄ちゃん」って呼んでくれてもいいんだぞ?」


 そうウインクしながら発言する陽太に静夜は静かに怒りながら返事をした。


「死んでも言うか」

「相変わらず可愛げのない弟だな~」

「たかだか数分先に生まれただけだろ」

「例え数分でも俺が兄なのは紛れもない真実だぜ?」


 そう言い合う静夜と陽太のやり取りを遥は目を輝かせながら見ていた。


(兄弟喧嘩してる東くん……かわかっこいいーー!!♡)


 一方他の男子達は。


「何かこうして話してると東陽太って普通に男子高校生なんだなー」

「だな、一気に親近感湧いたわ」


 東双子の言い合いのおかげで陽太が自分たちと同じ男子高校生である事を再認識していた。


「カレー美味ぇ!」


 一方徹人は無邪気にカレーを頬張っていた。

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