表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/88

第23話 君とグルチャ

「!!

 お、おう! 俺は賛成!」


 静夜の提案に太一は意味を理解してすぐ様賛成し始めた。


「何で急にグルチャ?」


 一方徹人はやっぱり鈍感だった。


「まあ今後もテストはあるわけだし、このメンバーで集まる日程とか決めるのにあった方が楽だろ? それに簡単な質問くらいならグルチャに流してもいいし……」

「それにせっかく3年間同じクラスになる訳だし、みんな仲良くするのにも良いんじゃねー?」


 静夜が説明している横から明宏が更に補足していった。


「まあ、それは一理あるし良いんじゃない? 私も賛成」

「はーい! 私もさんせー!」


 ユウとハルも静夜の提案に普通に乗っかってきた。


「グルチャか……」


 一方あまり乗り気でなさそうな遥がそうぽつりと呟いているのを見た静夜は心配しつつも遥に声をかける。


「あ、もしかして葵さん嫌だった?

(渡辺と葵さんを仲良くさせる為に提案したのに、葵さん来なかったら意味なくなっちまう……)」


「あ、いや! 東くんからの提案には勿論反対するなんてある訳ないよ!

 ただね……

 私、ユウちゃんとハル以外の人とグルチャなんて作った事なかったから……」


「え? マジで?

 クラスで作ったりとかしなかった?」

「まあ中学の時そもそも携帯禁止だったし、やってる奴はいたけど全員強制参加ではなかったからな」


 静夜の問い掛けにユウが横から答える。


「というか、友達以外で連絡先交換ってした事ないかも……」


 そう呟く遥に徹人が明るく声を掛けた。


「え? 葵さん……俺たち勉強会まで開く仲なのに、友達じゃねーの?」


 何の悪気もなく純度100%の気持ちで質問する徹人に、明宏と太一は驚きながら小声で抗議する。


「おい鈴木! お前何言ってんだ!?」

「葵さんと友達なんてそんな恐れ多い……!」


「……そっか! みんなもう友達だったんだ!」


 しかし徹人の言葉に遥はすっかり納得した様に笑顔を浮かべた。


(……なんかこのやり取り前に見た覚えがある様な……)


 徹人と遥のやり取りに静夜は既視感を抱いていた。


「それじゃあ早速グルチャ作ろ!

 あ、その前にみんなの連絡先教えて!」


 気を取り直して意気揚々と遥はみんなと連絡先を交換しだした。


「はい渡辺くん、これ私のQR!」

「あ、今読み取るね……!」


 太一は遥からLINEのQRコードを読み取り承認した。


「あ、無事出来たっぽいね!

 ちょっと待ってね、今何か適当に送ってみるから……」


 遥の連絡先のLINEアカウントを見て太一は顔を赤らめる。


(こ、これが葵さんの連絡先……!

 今日一緒に勉強会出来ただけでもありがたいのに、連絡先まで交換出来るなんて!!)


(LINEのプロフ写真ケーキなんだ可愛らしいな~。

 葵さんって明るくて元気で良い子だよな本当……きっと普段から気配り上手で優しくて性格も可愛いんだろうな~絵文字とかどんなの使うんだろ?)


 そうして遥から送られてきたメッセージは。


 皺猫(可愛くない)のアスキーアートだった。


「???」


 太一は突然送られてきた訳の分からないアスキーアートに頭が真っ白になる。


「葵さん、なにこれ?」


 同じ物が送られてきた徹人が遥に尋ねた。


「えへへー、自作の皺猫アスキーアート!

 凄いでしょ!」


「いや、確かに凄いけど、可愛くないねー」


 徹人が正直に感想を伝えると、遥はドヤ顔で語り出した。


「全く、皺猫の可愛さが分からないなんて……。

 あ、まだみんなが時代に追いつけてないだけかー」


「えー? でも猫って普通可愛いのにさーここまで不細工に描けるの逆に凄くねー?」

「その絶妙な不細工さが可愛いんだって!」

「女子ってよくわかんないなー」


 徹人と遥のやり取りに太一は更に混乱した。


「あれ? あ、葵さんって、もっと女の子らしくて可愛げがあるのでは……」


 太一が遥の顔とLINEのアスキーアートを交互に見てパニックになっている中、横から静夜が太一の肩にそっと手を置いた。


「渡辺、最初は驚くのも無理ないけど……葵さんはかなりの変わり者だぞ」

「う、う、嘘だぁ!!

 俺の中の葵さんはこんな、こんなんじゃなくて……!」

「というかお前逆に葵さんの性格知らなくて好きだったのか」


 静夜の言葉に太一は顔を赤くして答える。


「そりゃあ遠くから眺めてただけでこんな性格だったなんて知らなかったよ!

 てか東は知ってたのかよ!」

「まあ、最初声かけられた時から変わってたから」

「それならそうと教えといてくれよ~」

「すまん……知ってるもんだと思ってて」

「あ、そう言えば一部の男子が葵さんってヤバくね? みたいな話してたけど、本当だったんだなー」


 明宏も送られてきたアスキーアートを見て納得した様に頷いた。


「はぁ……俺の好きだった葵さんは一体何処に……」

「恋に恋してたってやつか」

「人を見かけで判断しちゃいけないって分かって良かったんじゃないか」


 こうして無事失恋した太一を明宏と静夜はフォローしていた。


(折角渡辺と葵さんを近づける為にグルチャ作ったけど、意味なくなっちゃったな)


 静夜は「勉強会グループ」と名付けられているグルチャを見ながらそんな事を考えていた。


「これで今度から勉強会の時はここに連絡すれば良いんだよね!」


 ハルが明るくそう言うと、遥も同じく明るく話した。


「そうだねー、ハルと鈴木くんが留年してグループを抜ける事がない様に頑張らなきゃだね!」


「まだ入学したばかりなのにもう留年の心配されるの酷くない!?」

「そうだぞ葵さん! 俺も天江さんも留年なんてしないぞ!

 多分!」

「多分て、鈴木弱腰じゃんか」

 

 そう意気込むハルと徹人を見て静夜は改めて思い直した。


(まあ、鈴木や天江さんの為にもやっぱり作ってて損はないか……。


 それに)


「よーし天江さん! どうせなら次のテストの点数勝負しようぜー!」

「あ! 自分が2点上だったからって余裕ぶってるでしょ!

 臨むところよ! 負けないんだから!」


(みんな仲良くなっていってるし、やっぱ作って良かったな)


 こうして夕方まで勉強会は続いていったとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ