第21話 君と共通点
とある平日の日。小鳥遊学園普通科にて。
「今更だが入学式の日にやったテストの採点がやっと終わったのでテスト返却していくぞー」
担任の一言にクラスの生徒達はざわつきだす。
「えーマジかよー」
「お前自信ある?」
「なーい」
「テストの点数勝負する?」
「いいよー!」
各々クラスメイトが話している中、担任は更に言葉を続けた。
「テストは成績順で返していくから。
まずは葵遥ー」
「はーい」
担任に呼ばれて遥は元気良く返事をしながらテストを取りに行った。
「わーすご……」
「可愛いだけじゃなくて頭も良いのか……」
ざわめきが広がるクラスの中、担任は気にせず次の生徒を呼んだ。
「東静夜ー」
名前を呼ばれて静夜は無言でテストを取りに行った。
「あー、東って頭良さそうだもんねー」
「インテリっぽいし、分かるわー」
ざわざわとクラス中で囁かれる中、担任が口を開いた。
「あー……因みに今回学年1位が葵で2位が東だ」
担任の発言にクラス中が更にざわつきだす。
「え? 1位ってあの瑠奈じゃないの?」
「理数科やIT科差し置いて学年ツートップってヤバくね?」
「瑠奈ちゃん主席だったよね?」
因みに余談だが、ここ小鳥遊学園には理数科、IT科、普通科、国際科、芸能科と5つの学科が存在する。
理数科とIT科は偏差値が平均でかなり高く赤点を取る人はほぼいない。
普通科と国際科は理数科やIT科に比べると少し劣る程度であり、芸能科はそもそも仕事などの影響で他の科目に比べるとどうしても偏差値は下がってしまう。
しかし、試験の時主席……即ち1番点数が良かったのはなんと芸能科に入った大女優の大橋瑠奈だったのである。
その事はネットニュースにまで紹介される程だったという。
さて、話は戻り再び普通科の教室にて。
周囲のざわめきを気にする事なく遥は後ろの席の静夜に話しかけた。
「東くん何点だったの!?」
「数学だけケアレスミスで97だった。
葵さんは?」
「私は全教科満点!」
「マジか、すご」
遥と静夜がお互いテストを見せ合っている中、静夜の後ろの席から恨み言が聞こえてきた。
「うぅ……東くんもやっぱりそっち側の人間だったんだ……」
「? 天江さん? そっち側って何?」
ハルは恨めしそうに遥と静夜を睨みながら答える。
「勉強得意な方って事!」
ハルにそう言われて静夜は当たり前の様に答える。
「別に俺勉強得意ではないよ。
普段勉強してなくてもテストなんて出る範囲決まってるんだし、授業さえ真面目に聞いてれば点数なんて普通に取れるものだと思うけど」
静夜の意見にハルは怒り出した。
「あーそんな言葉をルカちゃん以外の人から聞く日が来るなんてっ!
この人外天才コンビっ!!」
「何その褒めてるのか貶してるのかよく分からないコンビ名!?」
「私と東くんがコンビ!?」
各々ツッコミポイントは少しズレていた。
「は~相変わらず勉強だけは出来るよねー遥って」
テスト返却され遥の席にやってきたユウは遥の満点の用紙を見て呆れるかの様に感心した。
「てか東も頭いーんだね。
こんな2人を押さえて主席になった芸能科の大橋瑠奈って凄いんだな」
ユウが主席の話を出すとそれに反応した遥と静夜の2人が同時に口を開いた。
「私」
「俺」
「「主席の挨拶やりたくなくて試験はワザと点落としたんだ」」
「いや試験舐めプする奴なんて聞いた事ねーぞ?」
「は? え? 2人とも手を抜いてこの学園入れるって頭可笑しくない?
ねえ脳みそどうなってんのマジで」
その驚愕の事実にユウとハルが容赦なく突っ込んだ。
「というか東くんも私と同じ事考えながら試験受けてたなんて運命感じちゃうね!」
一方遥は静夜と同じ思考回路だった事に喜びうきうきと静夜に声をかける。
「え? 意図的にやった事に運命なんて感じるか?」
「確かにそれはご最もで!!」
しかし静夜の言葉により遥の考えは即座に否定された。
「ところでハルはまだ呼ばれてないの?」
「うぅっ!」
一方まだテスト返却されていないハルにユウが質問する。
「き、きっと次には呼ばれ……」
「あー、これから呼ばれる奴は赤点だから。
再テストがあるからしっかり勉強する様にー」
担任の言葉にハルは頭を抱えた。
「はい終わった!
もう確実再テスト決定じゃん!!」
「ハル、どんまい」
遥はそんなハルを他人事かの様に励ました。
「入学して早々に赤点取る人この学園でも居るんだな」
一方静夜の感心するかの様な言葉にハルは更にショックを受けていた。
「ううっ! 酷いよ東くん!
自分には関係ないからって!!」
「そうだぞ東! 学年2位で余裕だからって調子に乗るなよ!!」
突如ハルの横から男子の声が混ざってきた。
「え? 鈴木?」
そこには悔しそうに赤点のテスト用紙を握りしめている徹人の姿があった。
「馬鹿にするなよ東!
入学早々赤点とる奴はどんなに偏差値の高い学校にだっているんだぞ!!」
「そーだそーだ! 私達赤点組を馬鹿にするなー!」
何故か意気投合し始める徹人とハルを見て静夜はたじろぎながらも謝る。
「ごめん言い過ぎた……。
てかお前ら急に仲良くなったな?」
「同じ境遇に立って仲間意識でも目覚めたんじゃない?」
ユウの分析に静夜は成る程と納得する。
「というわけで東! 勉強教えてくれ!」
「ルカちゃん、勉強教えてー!」
2人に同時に頼まれて静夜と遥はそれぞれ返事をした。
「まあ、俺のやり方でいいなら教えられるけど」
「ありがとう東~!」
「仕方ないなぁ~ハルがどうしてもって懇願して拝み倒して私の事を崇め奉るって言うんなら……」
「あ、やっぱ私も東くんから習いたいです!」
「ハル待って冗談だって!
東くんから習おうとするなんてズルい!
私だって教えて欲しいのに!!」
「いや葵さん俺から教わるの何も無いでしょ」
静夜の突っ込みに遥は勢いよく答える。
「あるよっ! 礼儀作法とかその他諸々!!」
「まあ確かに遥は勉強以外は何もかもがヤバいからな……。
というかこの際、みんなで勉強会でも開けばいいんじゃねーの?」
ユウの発言にハルと徹人がすぐ様賛成した。
「はーい! ぜひお願いしまーす!」
「どうせなら渡辺と山本も呼んでいいか?
あいつらも頭良さそうだし!」
「良いんじゃない? 人多い方がそれぞれ得意分野とかあって聞きやすそうだし」
ユウが取り仕切る中、遥はキラキラと目を輝かせていた。
「東くんと勉強会……!!」
「遥、言っとくけどメインはハルと鈴木を中心に勉強教えるんだからな?
お前と東は教える側だから……ってこれ聞いてねーな」
遥は勝手に妄想の世界へとダイブしていた。
そんなこんなで、週末に遥、ハル、ユウ、静夜、徹人、太一、明宏の7人で勉強会を開く事になったのであった。




