第16話 君と4人組
「おっはよ~っ!
2人とも~っ!」
「おはよう遥……」
「おはよ~ルカちゃん……」
「って、何でまたクマが出来てんだ!?」
「って、何でまたクマが出来てるの!?」
今日もまた2人の突っ込みが遥へと炸裂した。
「えへへ~聞いてよ2人とも!」
またもやハルが手早くコーンシーラーで遥のクマを消した後、遥はニコニコと元気良く話だそうする。
「最近毎朝この下りだよね?」
「正直レパートリー少ないしもう飽きたよな」
しかしそんな遥に対して興味なさそうに2人はマンネリ気味な展開を愚痴り出した。
そんな2人に負けじと遥は話しだす。
「いやレパートリーとか何の話?
そんな事より! この度私、葵遥は!
東くんと正式に!
ちゃんとしたお友達になりましたー!!」
満面の笑みで宣言する遥を訝し気な目で見つつユウは質問する。
「それって合法で?」
「もっちろん! ちゃんと東くんの方から友達になろうって言ってくれたんだよ!」
ドヤ顔で話す遥に更にハルが質問を重ねる。
「言わせたの間違いではなく?」
「え……?
う、うん! 大丈夫! 言わせた訳ではない……はず?」
遥の妙に自信の無い言い方に2人は静夜の心中を察した。
(ルカちゃんの勢いに負けたんだろうな……東くんご愁傷様)
(あーあ、東のやつ逃げきれなかったか……)
そして憐れむ表情をする2人に対して遥は不満気に問いかける。
「いや2人とも何でそんな顔してるの?
友達の恋愛応援する気ゼロなの?」
遥の質問にユウとハルが順番に答える。
「友達の恋愛は応援したいよ勿論。
ただ法に触れる心配がないか気にしてるだけで」
「だから合法だってば!」
「それ以前に仲良くなり方が非合法だよね?」
「いやいや、そんな事ないって!
……多分?」
「ほら自信ないんじゃねーか」
ユウに厳しく突っ込まれ、うぅっと遥はしょぼくれる。
「で? 今回は何でまたクマが出来てる事態になった訳?」
渋々遥の話を聞く事にしたユウが質問すると、遥は神妙な面持ちで答え出した。
「いやぁ私考えたんですよ……。
今日ハンカチとお詫びのお菓子を渡した後どう会話を広げようかな、と」
「うん」
「それで、ちょうどいい話題を見つけた訳ですよ」
「えー何々? 何の話題?」
遥の話にハルは目を輝かせながら質問した。
「日曜に東くんにおすすめされて買った本……ペアルックならぬペアブックの話をまだ出来てなかったなって思い出したの!」
「何だよペアブックって。
全国の本屋に売られてる本なら何万の人とペアブックになってんだよ?」
冷静に指摘するユウの言葉を遥が一喝する。
「だまらっしゃい!
細かい事は別にいいの!
とにかく、今日の放課後はこの小説の内容を東くんと語らおうと思って読み込んできたの!」
「それで夜寝れなかったの?
でもルカちゃんって本読み速いんじゃなかったっけ? 速読ってやつ?」
ハルの疑問に遥はえへへ~とニヤけながら答える。
「この一冊の本だけで東くんと永遠にディベート出来る様に内容を余す事なく全て読み込もうと思って軽く50周はしたんだよね」
満足気に笑う遥の笑顔を見て2人は呆れた。
「東だって長時間お前に拘束されたくはないだろうに」
「え!? 東くんの好きな本の話題なのに!?」
心底意外そうに答える遥をスルーしてハルが問いかける。
「因みにどんな内容の本だったの?」
ハルの質問に遥は真面目に答え始めた。
「あ、それがね、恋愛小説だったんだけどめっちゃ面白かったんだ!
伏線とか張り巡らされてて作り込まれてるってのもそうなんだけど、この主人公の男の子が雰囲気東くんにそっくりでね!
語り出すと長くなるんだけど……」
「「いや私達に語らなくていいっす」」
興奮気味に話す遥に2人とも引きつつ学校へと向かった。
時は流れ授業中。
「……という訳で今日の授業からしばらくグループ学習になるので、まずは適当に4人組作ってくれ」
「え? 4人組……」
遥は4人組と聞きすぐ様ユウとハルの顔を思い浮かべた。
あと1人……!
「あ、東くん!」
「東くーん! 私たちとグループ組まない?」
遥が話しかけようとした瞬間、前に陽太狙いで静夜に話しかけてきた女子達がここぞとばかりに静夜の元へと寄ってきていた。
「あ、葵さん良かったら俺たちと……」
「いや俺と……」
遥は他の男子に声をかけられるも、静夜の方に意識が全集中していた為聞こえていなかった。
「うわー東女子と組むんかな?
モテモテじゃん」
「羨ましいけど、でもどうせ陽太狙いの女子ばっかだろ? なんか可哀想」
他の男子達は女子に囲まれ始める静夜に対し嫉妬や憐れみの視線を向けている。
(うわー、なんかカオスな状況になった……。
こうなったら……)
一方そんな窮地に追い込まれた静夜がとった行動はーー。
「渡辺ー、そっちのグループに混ざってもいいか?」
「え? お、おう、東がいいなら……」
すでに男3人グループで困っていそうなグループへと混ざる事だった。
「……あーあ、逃げられちゃった」
「ざんねーん」
静夜に群がっていた女子達は白けた様子でグループを作り出す。
「あ、あ、東くん……。
友達になったんじゃなかったの……?」
「いや、あの状況でこっちに混ざってたら普通にクラス中から顰蹙買ってただろうし、仕方ないよ遥」
「むしろ東くんよく今の状況でスマートに逃げきれたよね~すごーい」
「うぅ……辛たん……ぴえん超えてぱおん……」
ユウがなだめ、ハルが感心している中、静かに遥はショックを受けていた。




