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002 早速スライムダンジョンにて配信!

 翌日オレは懐かしい気持ちになりながら高校に登校した。

 久々に見る友人などに会いながら、特に問題なく高校生活を過ごした。

 もしかしたら多少の違和感なども覚えられたかもしれないが、まぁいいだろう。


 そして放課後になった。


 オレは配信用ビデオカメラなどの動画撮影器具などを七万円分ほど購入。

 そして動画編集ソフトのライセンスを一万円。

 探索者の登録費用に一万円。

 あとはダンジョンライセンス購入に五万円。

 大丈夫だとは思うが、残りの六万円は想定外の事態のための予備費用とした。


 ダンジョンライセンス――。

 この制度はあまり宣伝されていないこともあり、ダンジョンライセンス登録をしている人間は全然いなかった。

 ダンジョンの事務所の人間も「こんな制度あるんですねえ」と不思議そうにしていたくらいだ。

 しかし、ダンジョンライセンスは非常にお得なプランとなっており、未来では誰もが利用していたのだ。


 なぜかといえば、様々な特典がついたからだ。

 不思議とまったく宣伝のされていない、装備レンタル特典が非常にお得だった。

 一回数千円で装備をレンタルできるのだ(売却された装備なのでボロボロではあるのだが)


 初心者用の装備などは、すぐに使わなくなるのに、そこそこの値段がする。

 新しい装備がダンジョンでドロップするからすぐに廃棄か売却、もしくは思い出として家のスペースを占領することになるのだ。


 そのため、装備レンタルで終わらせるのが未来での主流である。


 オレはダンジョン探索ギルド(通称ギルド)の受付で、「これが新品の装備か! やっぱ違うよなー」などと言い合っている同年代くらいの探索者を可哀相なものを見る目で見てしまった。

 一応配信はまだしていないが動画は回していたため、ダンジョンライセンスを初心者にお勧めする動画を後で作ってみるとしよう。


 まぁ、さっそくダンジョンに潜ってみるか。


 この時オレが向かったダンジョンは県でも人気のないスライムダンジョンだ。

 ちなみに未来だと初心者ご用達の超優良ダンジョンとなっている。


 なぜ今スライムダンジョンが不人気か?

 それは低級スライムを倒すことが非常に大変だからである。


 スライムは動きが鈍く、こちらが倒される心配はあまりない。

 しかし、物理攻撃があまり効かないため、何度も何度も殴らなければならない。

 魔法攻撃であればすぐに倒せるが、低レベルの魔法使いはMPが足りず連発できない。

 高レベルの魔法使いになれば、連発できるが、スライムを倒すよりも旨味があるモンスターがいくらでもいるのだ。


 だがモンスターは定期的に倒していかないと、モンスターがダンジョンの外にあふれてしまう。

 そのため、スライム討伐には少なくない額の懸賞金がかかっている。

 それを含めてなおマズいのがスライム討伐である。

 噂ではこの時期のスライム討伐は、中級探索者の魔法使いに依頼を出して倒してもらっていたとか。


 だがしかし! オレには未来知識がある!


 オレはダンジョンの前にたどり着くと、動画配信を開始した。


「はじめましてー! 今日からダンジョン配信者を始めるハルカです!」


 さて。始めますか。


「今日はあの悪名高きスライムダンジョンに来ています!」


 お。早速一人視聴者がきてくれてる。


「ありがとうございまーす! 初めての視聴者さんですね! よかったら見て行ってください!」


『スライムダンジョンいくのマ? 魔法使い系?』


「実はバリバリの――無職なんですね」


『うそやん』


 職業とは、ギルドの大き目な支部で取得することができる。

 剣技が得意になったり、魔法が使えるようになったり、自分を強化してくれるのだ。

 だがオレはあえて職業を入手していなかった。

 無職なのにスライムが倒せてしまう――それには大きな話題性があるはずだった。


「本当ですよほら」

 そういってオレはギルドカードを見せる。これには冒険者情報がかかれている。項目ごとに表示/非表示の設定はできるが、嘘は表示できないのだ。


『マジで無職だ……。おまえ、死ぬぞ』


「ですがあなたは本当に運がいい。レベル1無職でもスライム無双ができる裏技、教えちゃいます!」


 そう言ってオレは霧吹きを取り出した。


 視聴者が少しずつ増えだしてくる。

『レベル1無職でスライムダンジョンに挑むアホがいると聞いて』

『霧吹き!? うそやろ……自殺やんけ』

『悪いことは言わないからやめとけ』


 そんなコメントが次々とされていく。

 視聴者は10人ほどだ。


「実はこの中には魔法の液が入っているんです! 見ててくださいね」


 オレは見かけたスライムに霧吹きをシュッ!


 どろぉ……(スライムが溶ける音)。


『…………うそやん』

『うわ、スライムまじで溶けてる!?』

『その中何入ってるの? 王水?』


「実はとっても貴重な液体なんですよね。とある機関が開発に成功した試作品です」


『まじかよ……買ってくるわ。どこなん?』

『すげええええええ!! 教えて!!!』


 オレは少しためてからドヤ顔でいう。


「DAIS○です」


『え……。知らない』

『百均しか知らないけど……』

『秘密結社的な?』


 オレはそんな話をしながらスライムに霧吹きを吹きかけていく。


 シュッ!

 シュッ!

 シュッ!


『やっぱり百均しかわからねえ……』


「そうですよ?」


『え!?』『え!?』『え!?』『ま!?』


「そう。百均で買った霧吹きと、卓上レモンと酢です」


 オレはカバンからレモン汁と酢と新しい霧吹きを取り出して、霧吹きの中で混ぜる。


『いやさすがに絶対嘘でしょ』『だまされないぞ』『言いたくないのはわかるけどさァ……』


 オレはその霧吹きをスライムに、シュッ!


 どろぉ……。


『マジじゃん』『え!?』『マジで裏技やんけ』『明日いくわ』


 そうやってスライムを倒していると次々と視聴者が増えていく。


 見れば視聴者は1000を超えていた。

 どこかのSNSや掲示板で話題になっているのだとオレは推測する。


 そして数時間経つ頃には、レベルはかなり上がっていた。

 無職でレベル10まであげることで取得できる称号『無職天才』も入手していた。

 ちなみにこの無職天才は経験値入手効率が1.2倍になる優れた称号であり、序盤で入手しないと二度と取得できない称号だった。


 スライムの討伐証明であるスライムの核は100個以上、またドロップアイテムのスライムゼリーも30個ほどたまっていたのだった。


 そしてこのダンジョンを管理しているギルド――というより掘っ立て小屋に近い場所で職員に報告した。

 すると職員は「こんなに倒したんですか!? すごすぎる……!」と叫んだ。


『ギルド職員すらびっくりしてるじゃん……』

『倒し方知ったらもっとびっくりするぞ。絶対するぞ』

『こいつ何者なん……?』


「さて。今回はご視聴ありがとうございました! 実はスライムよりおいしいものがあるんです!」

『なに!?』『教えて!!!』


「次回をお楽しみに!」




◆リザルト

 スライムの核→ 113×500円

 スライム討伐補助金→ 113×1000円

 スライムの魔石→ 113×500円

 スライムゼリー→35×100円

 グリーンジェム→20×100円


 ○本日の収益(未買取含む)

  22万9900円

面白そう、期待できる、などと思いましたら


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