* ワタシノセカイ
緩くウェーブがかかった、ふわふわとした桜色に
アイスブルーな瞳が可憐な、庇護欲を唆る美少女。
「や…、やったぁ!!!」
頬にぺたぺたと触れ、夢か現かを確認し続けていた。かれこれ 30分は経っている。
「ちょっと、!!私って誰!名前は!!」
壁際に立っているメイド(?)に声をかければ、首を傾げつつ、答えてくれた。
「エマ様は、先日 フォスター男爵家に養子となられました由緒正しき、男爵令嬢にございます」
「エマ…、フォスター」
復唱すること、3回。嬉しさで、部屋中を駆け巡った。間違いない、異世界転生だ。
前世で、絶大な人気を誇っていた乙女ゲーム
【一瞬の永遠を、キミと 〜 聖なる魔法と恋人達〜】
光属性魔法を発現させたヒロインが、王立学園を舞台に、攻略対象者達と恋に落ち……きゃぁぁ///
金髪・緑眼なクーデレ【ルカス・トーリ】
赤髪・赤眼、不器用な【ディルク・オスト】
黒髪・金眼なツンデレ【ルーク・ローレン】
そして!!
完全無欠な第一王子【シオン・アルフォンス】
さらさらと輝く銀髪に、冷酷さを纏う碧眼。
…彼が大好きだった。
クリアすれば、リセットして、制作会社がグッズを展開すれば、無限に回収して、イベントが企画されれば、睡眠時間を削って、没頭した。
初日は有給取って、攻略したなぁ…
「……シオン、様…///」
ぽぅっと妄想に耽っていると、コンコンッと扉が叩かれ、ふっくらとした男性が現れた。
彼が、私を引き取った男爵ね
「エマよ、夜会で着るドレスは決まったか」
「はい!」
「そうか。ソフィア、エマを夜会一可愛い子に」
「承知致しました、旦那様」
頬を緩ませ、頷いた後、男爵は部屋を出て行った。
・
侍女が、ドレスを用意する為、ウォークインクローゼットに向かう。
窓に視線を移せば、薄暗くなった空が
刻々と“ 出会い ”が近付いていることを告げていた。
正真正銘、私がヒロインな世界。
「……待っててね、シオン様 //」
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