6話
その後も2人は募集を続けたが、人が来ることは無かった。
「人通りも少なくなってきたしそろそろ帰ろう。」
「うん…」
「あと2人かー、しろちんスカウト出来てるんだろうな…」
「できてると良いけど…」
片付けが終わり
「それじゃ、また明日ね!」
「あ!凛!」
「何?」
「その…出来れば今日も泊めてくれるとありがたいんたけど…」
「はいはい。」
上空城凛は笑いながら許可をした。
「あ、アイツに電話しないとだな、ちょっと待っててくれ。」
一方その頃白金は
「すみません。そこのあなた!可愛いですね。観光ですか?」
「は?何?キモ。」
落ち込む白金。
「まだだ、諦めんぞー!」
この日白金は連続で断られ続け50人という新たな記録を叩き出した。
すると携帯の着信が鳴る。
「はいコチラ白金星空学園理事長、白金星空です。」
「あーハイハイ、で、スカウトできたの?できてないの?」
美佳からの電話だ。美佳はいつもの白金節に呆れつつ返事をした。
「できてません…」
「はぁー。」
深くため息をつく美佳。
「明日アイドルの説明よろしくね。昼の12時に事務所来てよ。じゃ。」
そう言うと電話を切った。
「あっおい!…なんなんだよ…」
白金はその後もスカウトを続けた。
翌日、徹夜していた白金が30分遅刻して帰ってきた。
「あれ?この子は?」
「アイドルやるってさ。てか遅刻すんなよ!アホ!」
「すまん…ってえ!?スカウトできたの!?」
「あ、美佳と2人で商店街で募集したんです。そしたらこの子が声かけてくれて。あ、この人がプロデューサーの白金星空さんです。恵さんも自己紹介お願いします。」
上空城凛は丁寧な物言いだ。
「あっ…はい…私…時任恵…です…よろしく…お願いします…」
「お、おう…よろしく…な」
アイドルになりたい人とは思えない風貌、挙動に、明らかに動揺している白金。
「ほんとにこの子アイドルやりたいって言ったんだろうな?脅したりしてないよな?」
「アタシがそんな事する訳ねーだろ!あの事皆に言うぞ!」
「あのこt…?おおおそれだけは勘弁してくれ!」
「ならそんな事言うなy」
「あの!」
恵が会話を遮り大きな声を出し、皆が驚いた。
「アイドル…やりたいのは本当です。ただ…自信が無くて…でもっ…変わり…たくて…っ…」
そこで恵は泣いた。今までの自分に嫌気が差す日々、もしも変われるなら変わりたいという強い想いが恵を強く動かしていて、その感情が込み上げて来たのだ。
「本気なんだな?」
白金は真面目に問いかける。
「っ…はいっ!」
恵は涙を拭い、固い決意をしている表情に切り替わった。
「ならばアイドルになるがいい!そして我が白金星空学園のメンバーとして世界に羽ばたくが良い!」
「はい!」
恵の表情は涙目ではあるが、とても良い笑顔だった。
「その笑顔、忘れるなよ。所で君、名前は?」
「えっ?…先ほど言いましたが…」
「ん?そうだったか?」
「ダメだこりゃ…」
美佳は呆れ果てていた。
「恵ごめん、そんなに本気だなんて思ってなくて…人数集まればいいやなんて考えてた…本当にごめん!」
「ううん。平気だよ。皆個性的で面白いね。ふふっ。」
恵は心が軽くなり、喋り方が少し変化した。
「そ、そうか?ならよかった。」
「あらためまして…時任恵です。本気で頑張るのでよろしくお願いします!」
「時任恵、良い名だ。俺は白金星空だ。よろしく。」
2人は握手をし、それぞれの心には別々の希望が膨らんでいた。
「さて、挨拶も済んだことだし、君はまず見た目を変化させる必要があるな!中身は先ほど確認した通り問題無さそうだし、美佳、凛、手伝ってやれ。」
「ふっふっふ…アタシの手にかかればちょちょいのちょいだよ。」
「任せてください!」
「よろしくお願いします!」
皆はとても笑顔だった。
しかし!
美佳は遊び半分でコーデやメイクしてやろうという喜び、凛はビフォーアフターの写真を撮り、将来暴露してバズらせてやろうという腹黒い思惑、恵はこれからどんな変化を遂げるのだろうかという期待、白金はアイドルの事実は全部ドッキリだったって今言ったら皆どんな反応するかのワクワクで、それぞれ笑顔のベクトルが違っていた。