10話
楓から連絡が来た。近くのファミレスで合流となった為、凛は先にファミレスへ向かう。
「楓、アイドルになってくれるかな…なってくれるといいな…」
と心配していると楓が到着した。
「お待たせしてすみません。」
「ううん、大丈夫だよ!全然平気!それよりあなたの事もっと詳しく聞かせて欲しいな!」
「分かりました。私は家族がとっても大好きです。幼い頃からとても愛されているのが分かるくらい愛されて育ちました。尊敬もしています。父が私の将来の為にアイドルになるのを反対している事も理解しています。でもアイドルになりたい想いも同じくらい大きくてどうしたらいいのか…とても辛いんです…」
涙ぐむ楓。
「なるほど…つまりお父さんはアイドルという仕事自体を嫌っている訳ではなく、安定した収入があるか分からない仕事だから反対していると…つまり収入面の問題を解決出来れば賛成の意見を勝ち取れる可能性はあるって事だよね?」
「それはそうですが…そんなの誰にも分からないし、保証も無いじゃないですか。」
「保証があればいいんだね?」
凛は自信ありげな表情で言った。
「えっ?それはどういう…」
「ふっふっふ…私の実家、実はお金持ちなんだ!」
なんとなく察した楓。
「えっ…いや、賄賂はさすがに…」
「ん〜?チッチッチッ、何か勘違いをしているのではないかね楓君。」
「勘違い?」
「もし仮にアイドルとして成功しなかったら私の実家で雇う、という条件を突き出すのよ!もちろん好条件でね。」
「えっ!それって!?」
「もちろんメイドさんという事になるわね。」
「そんな事が!…でも約束と言うだけでは父も納得しないでしょう。」
楓は一瞬嬉しくなったが、すぐに冷静さを取り戻した。
「仮に、仮によ?もしも内定通知書が手元にあれば?」
「はっ!…そんな事可能なんですか?」
目に輝きが戻った楓。
「もちろん法律上では効力があるかは分からない。でも私と、私の家が保証するわ。」
「うっ…ううっ…ありがとう…ございまずっ…ずずっ…」
楓は押し止めていた感情が一気に溢れ出た為、嬉し泣きしてしまった。
「楓、あなたはこの事をとてもストレスに感じていたはずよ。この事をしっかり両親と話してまた連絡してね。」
「もちろん。ありがとうございます…ありがとう…ございます…ううっ…」
楓はその後10分泣き続けたと言う。
一方で美佳恵チームの進捗は。
「アタシら次はどこに行こうかな〜また商店街でも行くかな…」
「!?それならちょっと相談したい事がありまして…」
「ん?なんだ急に?」
「あの…おね…親戚の方でもしかしたらアイドルグループに入ってくれるかもしれない人が居まして…」
「何ぃ!?マジで!?」
「えっと…あまり期待は出来ないんですけど…それでも良ければ会いませんか?」
「もちろんだよ!なんだよ恵、早く言ってくれよ。」
「言おうとしてたんですけど…楓さんに夢中って感じだったので…」
「なるほどな…まあ何はともあれ、会ってみないと分からないな!」
「分かりました。早速お姉…じゃなかった、親戚の方に連絡しますね。」
「頼んだぞ!恵!」
「は、はい!」
頼られて少し嬉しくなった恵。
そして近くのファミレスで会う約束を取り付けた。
「初めまして。恵のいとこの時任麗子です。恵が大変お世話になっております。」
「えっと…鈴木美佳です…よろしく…」
美佳がとても気圧されている。
それもそのはず。時任一家なのだ。当然胸が大きい。恵よりもだ。
(マジでこいつの家の遺伝子どうなってんだ…)
美佳は神に訴えていた。
「あの…おね…麗子姉さんにお願いがあるんだけど、アイドルグループに入って欲しいの。」
すると麗子の表情がガラリと変わった。
「嫌。」
(えっ?なんだこの表情は…)
美佳は恐怖すら感じた。
「またあれやってあげるから…お願い。」
するとまた表情がガラリと変わった。
「おっけー!私なんでもしちゃーう!」
(!?)
美佳は混乱した。
「な、なあ…今何が起こってるんだ?コントでも見せられてるのか?」
「え?いつもどうりの麗子姉さんだよ?」
(これがいつもどうりだと?)
美佳はとても不気味に思った。
「美佳さんはとても可憐で素敵な女性ですね。アイドルとしてとても活躍される事と思いますわ。」
「分かってるじゃねーか麗子!アッハッハ!」
美佳はとてもちょろかった。
「でも良かったー、お姉…麗子姉さんが入ってくれればとりあえずチームは存続だもんね!」
「まあ凛がしくじってなければ、だけどな」
「きっと凛なら成功してますよ!」
「!?」
麗子は恵のこの表情や言葉使いを初めて見た。
「あなた…そんな事…出来るようになって…私嬉しくて泣いてしまうわ…うっ…すみません化粧室に…」
すると麗子は化粧室へ走って行ってしまった。
「麗子姉さんのあんな所初めて見ました…」
「そうなのか?まあ確かに恵の変化っぷりは凄いからな、分からんでもないぞ。」
「そうですかね…えへへ…」
化粧室の麗子は…
「恵…ああ…あんなに可愛くなって…ハアハア…好き…愛してる…もっとそばに居たかった…でももう我慢出来ない!!」
麗子は度を越したシスコンだった。
そして2人は麗子の癖を知ること無くこの日を終えたのであった。




