表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

『記憶にない?彼女』

「私がこれから、あんたらの担任教師を務める"鮫島林檎(さめじまりんご)"じゃ。冗談でババアとか言ったやつは殺っ……ゴホンッ、失礼。即退学させるから肝に銘じておけ、夜露死苦」

 ────────((絶対極道精通してる))

 眼帯を付けてる赤髪女教師か、厳つい。ババアいじりを警戒しているようだが、そこまで老いてるようには見えない。

 あ、目が合ってしまった。鮫島先生は途端に、俺が座る1番後ろの席までやってきて、「やべぇ初めて幽霊みたわ」と言いながら俺の顔面をガン見してきた。

「え、俺って死んで……って、死んでません」

 でもまあ、両親が俺に付ける名前の候補で、(かすか)ってのがあったくらい俺は、この世の生き物とは思えないほど透明だからなぁ。まさしく美の権化。とうとう死人扱いされてしまった。

「ゴホンッ、失礼。でもあんた、くそイケてるぜ」

 意図せずクラスの注目を集めてしまい、ありとあらゆる人間の視線を感じるが、その中でも特に強烈なのは隣の席の、三廻部沙姫という女の視線だ。そう、さきほど校門前で意味不明な発言を繰り広げていた、あの厄介な女。

 外見は黒髪ロングと大人っぽい顔つきで、そこまで悪くないが、流石に虚言癖の女と仲良く出来る気はしない。俺は過去に一度も、女と付き合ったことがないにも拘わらず、俺と遠距離恋愛を続けていると、こいつは言い張る。

 可能性としてあるのは、俺が幼少期とかに付き合うと認めた女が、どこか遠くへ引越し、それを今でも覚えているこいつが偶然にも再会したとか。しかし流石に、餓鬼の戯言を本気にされては困るというもの。もちろん軽率に了承した俺にも非はあるけどさ。

 目を瞑ってあんなこんな考え事をしていた俺は目を開くと、そこには三廻部沙姫が存在していた。

「ん? ホームルーム中に席立っちゃ駄目だろ」

「ホームルーム終わったわよ。それよりちょっと来なさい。まだ話は終わっていないのよ」

「まじか」

 俺は三廻部沙姫に無理やり手を引っ張られ、屋上に連れてこられた。ここへ来る最中、沢山の人間にカップル疑惑をかけられた。これで早くも有名人だな。初日から勘弁してくれ。

 俺は孤高の存在になりたかったのに、これでは一般カップルみたいな扱いをされてしまう。

「何度でも言うが、俺は君を知らない。もし君には記憶があったとしても、俺はその記憶を既に忘れているんだ。つまり、もう君とは結ばれていない。頼むからこの辺にしてほしい」

「嘘つかないでよ! 記憶を忘れたって……中学の頃にファーストキスまで奪っておいて、よくそんな事が言えたわね!」


 ────────おっとぉ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ