届いた手紙
前回で
悲しい恋愛
は終了させて頂いたんですが。
累計アクセスが
1万を突破しましたので読んで頂いた方々に感謝を致しまして特別編を投稿させて頂きました。
皆さま、本当にありがとうございます。
それでは、どうぞお楽しみ下さい。
カズと最初で最後のデートをした日から1ケ月が過ぎようとしていた。
ウチは、何をして良いのか解らずに幾日も過ぎていた。
「うっ…カズゥ〜…うぅ…」
もう、涙も出なくなっていた。
ウチは塞ぎ込んだまま何もする気が起きなかった。
ウチはカズの事を忘れられずに泣いていた。
ピンポーン…
誰か来たのか家のインターホンが鳴る。
母が玄関に向かう足音が聞こえた。
ウチは、動く気力さえ無い。
少しして部屋に足音が近づいてくる。
「香澄、荷物が届いたわよ。」
ウチは、母に心配を掛けまいと涙を堪えて返事をする。
「はーい」
微かに声が震える。
「ここに置いとくね。」
母は、そう言うと部屋から離れて行った。
ウチは涙を拭くと部屋の扉を開ける。
足下には白い箱が置いてある。
ウチは、とりあえず部屋に持って入る。
送り主の欄には花屋さんらしき名前が書いてある。
ウチは、箱をテーブルの上に置くとベッドに横たわる。
大事な人が居なくなる事が、こんなに辛くて悲しく…二度と会えないと思うと涙が自然と出て止まらない。
「カズ…」
ウチは少しの間そのまま動く気がしなかった。
寝返りをうつと白い箱が目に入る。
さっき届いた白い箱。
「何やろ…これ。」
ウチは涙を拭きながら箱の前に座る。
「ふーっ…」
ウチは溜め息を1回して箱を開ける。
中には小さな鉢植えに植えられた花が綺麗に咲いていた。
「かわいい…」
ウチは少し笑顔になる。
中には鉢植えと一緒に手紙が入っている。
ウチは鉢植えを取り出しテーブルに置いてから手紙を取り出す。
表には
「香澄へ」
ウチの名前が書いてある。
裏を見る。
「カズ」
ウチは、一瞬何が何だか解らなかった。
「な、なんで…なんでカズから…?」
封筒から手紙を取り出す。
『ビックリした?
今日は、俺と香澄の大事な日やから…って覚えてる?』
「大事な日?」
『たぶん解らんかな?
今日は、俺と香澄が初めて出会った日やねん!
まぁ、その時は香澄は幽霊やったから余り覚えて無いと思うけど…
でも!俺にとって大事な日やし香澄も思い出してくれたら大切な日になるから。
これからは、今までの分も取り戻す位に幸せになろな!
P・S
香澄
俺の前に現れてくれて
ありがとう
俺の事を好きになってくれて
ありがとう
これからもよろしくね!
それじゃ、今から香澄との初?デートに向かいま〜す。 』
「これ…あの日に…」
「…あほ…」
涙が手紙に落ちる。
「カズが居らんのに、どうやって幸せにしてくれるんよ…」
「早くしてよ…ウチを早く幸せにしてよ!
お願い…お願いだから…」
ウチはテーブルの上で腕に顔を埋める。
「会いたいよ…カズ…会いたいよ…」
幽霊だった頃の思い出が溢れ出してくる。
初めてカズに会った時の事。
一緒に出掛けた事、花火大会の事。
ずっと一緒だった。
カズの優しさが胸に広がる。
泣き疲れたのかウチは、そのまま眠りにおちた。
夢でカズに会った。
カズは変わらない笑顔でウチを優しく抱き締めてくれた。
「ゴメン…ホンマにゴメン。」
カズは、抱きしめたまま謝る。
ウチは、ただただ首を横に降る事しか出来なかった。
「俺も、もうちょい頑丈やと思ってんけどな。」
「あれはウチが!…」
言い掛けるとカズはウチを強く抱きしめた。
「何を言ってんねん、大事なヤツ守れてんから俺は満足やで。」
「でも!ウチが…」
「香澄…」
「…」
「もし、あそこで俺が何も出来へんかったら俺は一生 自分を許されへんと思う。」
「カズ…」
「だから1番良い選択したと思ってる。
だから、せめて自分の中だけでも美化させといてや。」
「あほ…」
「だから香澄も、これからは自分が幸せになれるように生きて欲しい。」
「…うん」
「俺は居らんけど、いつも傍にいてるから。」
「意味わからへん」
「あは、ホンマやなぁ」
「ふふ…ホンマあほやなぁ」
ウチはカズに顔を埋める。
ウチは、誰かに頭を撫でられた感じがして目を覚ます。
「…カズ」
ウチは涙を拭くと両頬を両手で叩く。
「よしっ!」
[こんなウチをカズには見せられへん。]
ウチは、顔を洗いに部屋を出た。
『やっぱり香澄には笑顔が似合う。』
いかがでしたか?
決して上手くは書けて無いと思いますが、少しでも皆さまの心に残れば嬉しく思います。
ありがとうございます。