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【短編】意外な結末

イタズラ魔女がサンタさんの落とし物を拾ったら

作者: 丸井まご
掲載日:2021/01/03

※「冬の童話祭2021」参加作品です。

テーマは『さがしもの』

 イタズラ()きな魔女(まじょ)は、サンタさんからプレゼントをもらったことがありません。


 (わる)い子だからでしょうか。


 サンタさんや(ほか)の子にイタズラするからでしょうか。


 クリスマスの(よる)魔法(まほう)(はげ)しい吹雪(ふぶき)()こしたり、

(つよ)(かぜ)()かせたりして(こま)らせるのです。


 魔女(まじょ)(うらや)ましかったのです。

 プレゼントをもらえるみんなのことが。

 だから、ついつい魔法(まほう)でイタズラしたくなってしまうのです。



 とあるクリスマスの(よる)もそうでした。


 魔女(まじょ)がイタズラをしようと(まち)()(まわ)っていると。


 ──シャンシャンシャン。


 サンタさんです。

 トナカイの()くソリに()ったサンタさんの姿(すがた)が見えました。


 すると、


 ──ポトリ。


 サンタさんのソリから(なに)()ちたようです。


 プレゼントです。

 白い大きな(ふくろ)(つつ)まれた、子どもたちへのプレゼントです。


 中にはみんなの()きなゲームやおもちゃ、お人形(にんぎょう)さんにかわいいお洋服(ようふく)がたくさんつまっています。


 魔女(まじょ)は目を(かがや)かせました。

 今までもらえなかったプレゼントが、目の(まえ)にあるのですから。


「そうだ! いいこと(おも)いついた!」


 魔女(まじょ)はひらめきました。

 ここにあるプレゼントは一袋(ひとふくろ)だけですが、サンタさんのソリには、もっとたくさんのプレゼントがあったはずです。

 サンタさんをびっくりさせれば、またプレゼントを()とすかもしれません。


 魔女(まじょ)はさっそくサンタさんを()いかけます。


 魔法(まほう)でピュンッとひとっ()び。

 あっという()にサンタさんを()()きました。


 物陰(ものかげ)(かく)れてサンタさんが()るのを()ちます。




 ──シャンシャンシャン。


(いま)だ!」


 魔女(まじょ)(いきお)いよく()()します。



「わぁっっ!?」


「ん?」



 しかし、(おどろ)いたのは魔女(まじょ)のほうでした。


 サンタさんの姿(すがた)


 (ふく)はあちこち()りきれ、(やぶ)れているところからは(きず)だらけの(はだ)がのぞいています。


 サンタさんはボロボロだったのです。


 (とお)くからは()っ白に見えたヒゲも、くっついていた(ゆき)()ちると同時(どうじ)灰色(はいいろ)の毛むくじゃらへと姿(すがた)()えます。


 夜中(よなか)のうちに(まち)の子どもたちみんなにプレゼントを(くば)るため、サンタさんたちは必死(ひっし)()(まわ)っていたのです。


 (いえ)から(いえ)まではトナカイさんが。

 (いえ)の中ではサンタさんが。


 よく見ればトナカイさんの足にも()がにじんでいます。



 魔女(まじょ)気付(きづ)きました。

 普通(ふつう)ならこんなにボロボロになるはずはありません。


 魔女(まじょ)がイタズラで吹雪(ふぶき)()こしたり(つよ)(かぜ)()かせたりしたから、必死(ひっし)()(まわ)ることになったのです。


 ただ移動(いどう)するだけでこんなに大変(たいへん)だなんて。


 どこにでも一瞬(いっしゅん)()ける魔女(まじょ)には(おも)いもよりませんでした。



 魔女(まじょ)(かんが)えごとをしていると、サンタさんが(こえ)()げました。


「そのプレゼント! キミが見つけてくれたのか!?

 ありがとう、(さが)していたんだよ!」


「……おや? キミは(ひがし)(もり)魔女(まじょ)さんだね。

 毎年(まいとし)留守(るす)にしているから、いつまでもプレゼントを(わた)せないじゃないか。


 (あきら)めずにもう一度(いちど)()こうとするんだけど、なぜか吹雪(ふぶき)(つよ)くていつも()()わなくてね……

 今日(きょう)こそは()い子にして()ること! ()いね?」


 (すす)だらけの(かお)でニコッと微笑(ほほえ)むサンタさん。

 魔女は(おどろ)きました。

 自分(じぶん)のせいでプレゼントがもらえなかったなんて。


 ショックを()けた魔女(まじょ)は、()とし(もの)のプレゼントを()いて(ひがし)(もり)()()っていきました。

 もうイタズラをする()はなさそうです。





 大人(おとな)しく(かえ)った魔女(まじょ)(いえ)に、しばらくしてサンタさんがやってきました。


「よしよし、ようやくプレゼントを(わた)せるね」


 枕元(まくらもと)にプレゼントを()こうとして、ふと気付(きづ)きました。

 手紙(てがみ)()いてあります。


 何度(なんど)()(なお)したあとがありますが、二言(ふたこと)だけ(のこ)されていました。


(いま)までごめんなさい」


「おかえしに魔法(まほう)のプレゼントあげる!」


 手紙(てがみ)から(あたた)かい(ひかり)があふれ()すと、やわらかな(かぜ)(ほお)をくすぐっていきました。



 (つぎ)(とし)から、(そら)()ぶトナカイとサンタさんの姿(すがた)が見られるようになったそうです。




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― 新着の感想 ―
[一言] クリスマスプレゼントを貰えない原因が自分の不在だと、さすがに魔女さんも気付けませんよね。 頑張るサンタさんと出会えて良かったですね。 プレゼントを貰えて魔女さんは幸せ、空を飛べるようになって…
[良い点] 感想欄にはじめてお邪魔します。 可愛くて心温まるお話でした!! 読ませていただきありがとうございます(^▽^) 最初、サンタさんは飛んでるものと信じて読んでいましたが、魔女さんの魔法で飛…
[一言] 良かった、サンタさんは寂しがり屋の魔女さんにプレゼントをあげないような意地悪じーさんではなかったのですね。 誰かに優しくされた経験がなければ、相手に優しくすることはやはり難しい。ツンツン棘…
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