イタズラ魔女がサンタさんの落とし物を拾ったら
※「冬の童話祭2021」参加作品です。
テーマは『さがしもの』
イタズラ好きな魔女は、サンタさんからプレゼントをもらったことがありません。
悪い子だからでしょうか。
サンタさんや他の子にイタズラするからでしょうか。
クリスマスの夜に魔法で激しい吹雪を起こしたり、
強い風を吹かせたりして困らせるのです。
魔女は羨ましかったのです。
プレゼントをもらえるみんなのことが。
だから、ついつい魔法でイタズラしたくなってしまうのです。
とあるクリスマスの夜もそうでした。
魔女がイタズラをしようと街を飛び回っていると。
──シャンシャンシャン。
サンタさんです。
トナカイの引くソリに乗ったサンタさんの姿が見えました。
すると、
──ポトリ。
サンタさんのソリから何か落ちたようです。
プレゼントです。
白い大きな袋に包まれた、子どもたちへのプレゼントです。
中にはみんなの好きなゲームやおもちゃ、お人形さんにかわいいお洋服がたくさんつまっています。
魔女は目を輝かせました。
今までもらえなかったプレゼントが、目の前にあるのですから。
「そうだ! いいこと思いついた!」
魔女はひらめきました。
ここにあるプレゼントは一袋だけですが、サンタさんのソリには、もっとたくさんのプレゼントがあったはずです。
サンタさんをびっくりさせれば、またプレゼントを落とすかもしれません。
魔女はさっそくサンタさんを追いかけます。
魔法でピュンッとひとっ飛び。
あっという間にサンタさんを追い抜きました。
物陰に隠れてサンタさんが来るのを待ちます。
──シャンシャンシャン。
「今だ!」
魔女が勢いよく飛び出します。
「わぁっっ!?」
「ん?」
しかし、驚いたのは魔女のほうでした。
サンタさんの姿。
服はあちこち擦りきれ、破れているところからは傷だらけの肌がのぞいています。
サンタさんはボロボロだったのです。
遠くからは真っ白に見えたヒゲも、くっついていた雪が落ちると同時に灰色の毛むくじゃらへと姿を変えます。
夜中のうちに街の子どもたちみんなにプレゼントを配るため、サンタさんたちは必死に駆け回っていたのです。
家から家まではトナカイさんが。
家の中ではサンタさんが。
よく見ればトナカイさんの足にも血がにじんでいます。
魔女は気付きました。
普通ならこんなにボロボロになるはずはありません。
魔女がイタズラで吹雪を起こしたり強い風を吹かせたりしたから、必死に駆け回ることになったのです。
ただ移動するだけでこんなに大変だなんて。
どこにでも一瞬で行ける魔女には思いもよりませんでした。
魔女が考えごとをしていると、サンタさんが声を上げました。
「そのプレゼント! キミが見つけてくれたのか!?
ありがとう、探していたんだよ!」
「……おや? キミは東の森の魔女さんだね。
毎年留守にしているから、いつまでもプレゼントを渡せないじゃないか。
諦めずにもう一度行こうとするんだけど、なぜか吹雪が強くていつも間に合わなくてね……
今日こそは良い子にして寝ること! 良いね?」
煤だらけの顔でニコッと微笑むサンタさん。
魔女は驚きました。
自分のせいでプレゼントがもらえなかったなんて。
ショックを受けた魔女は、落とし物のプレゼントを置いて東の森へ飛び去っていきました。
もうイタズラをする気はなさそうです。
大人しく帰った魔女の家に、しばらくしてサンタさんがやってきました。
「よしよし、ようやくプレゼントを渡せるね」
枕元にプレゼントを置こうとして、ふと気付きました。
手紙が置いてあります。
何度も書き直したあとがありますが、二言だけ残されていました。
「今までごめんなさい」
「おかえしに魔法のプレゼントあげる!」
手紙から温かい光があふれ出すと、やわらかな風が頬をくすぐっていきました。
次の年から、空を飛ぶトナカイとサンタさんの姿が見られるようになったそうです。




