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第5話~国防軍廃止~

翌日、首相官邸の応接室では、総理であるあかねが座り、副総理である岡本が横に立っている。そこには幹事長で元防衛大臣の藤谷が前に座っていた。

藤谷は少し怒り気味に


藤谷「総理。どういうことですか、国防軍を全面廃止にするなんて。私が必死に立ち上げた軍ですよ」


あかねは冷静に


あかね「藤谷幹事長。これだけは言っときます。私は別に国防軍自体が必要ないとは思ってないんです。でも先制攻撃を出来る軍にしてくれなど、祖父は望んでないはずです。それだと戦前の日本と何も変わりありませんよ」


藤谷「あのですね総理。あなたの祖父である小野寺議員は、納得して成立した法案ですよ。今さらそんなこと言われたって、到底納得できない話ですよ」


少し微笑みながら、馬鹿にしたような目であかねを見つめた。


あかね「覚えてないんですか?あなたの前で土下座したんですよ祖父は。あなたの圧力のせいで」


藤谷「は?」


少しキレ口調であかねに言った。

あかねは終始冷静で


あかね「祖父は言ってました。あなたは本来に副総理になりたかった。だが出来なかった、そしたらあなたは脅したそうですね。でも祖父は、あなたに完全に屈指ることは出来なかった。だから、国内防衛法案を簡単に提出できる防衛大臣の椅子に座らせた。その恩も知らずにあなたは生きてきたんですか?」


少し藤谷は怒りの顔になったが、少し冷静になり


藤谷「あんた、俺を脅してるのか?」


あかね「脅してるんじゃありません。疑ってるんです」


あかねは最後に表情と声を暗めにして言った。

藤谷は少し戸惑っていたが、すぐに立ち上がり


藤谷「言っときます。国防軍廃止は断固反対ですからね」


そのまま部屋を出ていった。

岡本は立ちながら、座りながらため息をしたあかねに


岡本「大丈夫なんですか?あんなこと言われて」


あかね「でも私が総理ですから。あいつだけには思う通りにはさせない。岡本防衛大臣」


岡本「はい」


あかね「すぐにでも、会見を開きます。報道政治部にそう言ってください」


岡本は少し動揺しながら


岡本「会見ですか?」


あかね「国防軍廃止について、国民に説明します」


岡本「承知しました」


岡本が出ていく。あかねがこぶしを握りながらこれからの会見のことだけを話していた。


数時間後、夜6時に小野寺あかね総理の緊急会見が開くと言うことで、大勢の記者たちが会見場に集まっていた。

しばらくして、あかねと岡本が会見場に入る。


司会者「それでは、小野寺内閣総理大臣と岡本防衛大臣による緊急会見を行います。まず小野寺総理からによるご発言。そしてその後に岡本大臣からご発言があります。それでは総理お願いします」


その頃、藤谷が大臣控室でテレビを見ていた。そこに藤谷の秘書がドアを開けて入ってくる。


秘書「幹事長大変ですよ」


藤谷「うるさい。分かっている」


秘書「あっご存じだったんですね」


秘書は少し冷静になった。


藤谷「あぁ、何を喋るのか気になってな」


藤谷は真顔でテレビを見つめていた。

その頃、あかねの会見が始まり、喋りだした。


あかね「えぇ今日は、私のためにお集まりいただきありがとうございます。今回は昨日お伝えした政策の一つとして話題となってます、国防軍廃止について総理である私が国民の皆様にご説明したいと思い会見を開きました」


フラッシュが大量に出る中、記者は少し動揺していた。当然藤谷もだ。

あかねは続けて


あかね「これから詳細は岡本防衛大臣からお話しさせたいと思います。私からは1つ、なぜ国防軍を廃止するに至ったかですね。祖父の政権で防衛大臣を務めました。藤谷現幹事長ですが、一昨年法案が成立し、去年施行されましたが、この法案を乱用し、日本を潰すことを計画していました」


場が騒然となる。藤谷は驚きの目をしながら


藤谷「あの小娘」


とブチギレながら言った。

それもそうだ。当たってるからだ。


あかね「この法案を、私は別名「国家転覆法案」と思っています。それはなぜだか、表向きの国内防衛案は他の国から守るため、国家が攻撃されると察した場合、即ミサイル撃破の準備、そしてやむを得ない武器の保有などを許しました。それは私としては賛成です。しかし、裏では、敵基地を攻撃し戦争を仕掛ける。まるで戦前の大日本帝国のような使い方をしようという計画でした。私はその情報をとあるところからキャッチし、ここで告発します。えぇ私からは以上です。続きは岡本大臣からです」


あかねが壇上を降り、岡本が壇上に上がる。


岡本「えぇ、私からはこの法案の詳細をご説明させていただきます。えぇまず国防軍に致しましては、憲法を改正し自衛隊表記に戻します。そして安全保障関連法案はそのままとし、核保有などの国内防衛改正案に致しましては全面白紙。そして、国防軍の連合軍参加などを廃止にします」


それを見ていた藤谷は怒りをあらわにしながら


藤谷「あの小娘。そして岡本。絶対に許さないからな!!」


秘書は引いていた。

そして藤谷は数時間後、すぐに首相官邸に向かった。

総理女性秘書官である生田が


生田「幹事長。いきなり来て何ですか」


藤谷「小野寺総理を呼べ!」


生田「お待ちください」


すると岡本が奥から


岡本「何事だ」


生田が岡本に頭を下げる。

藤谷の事をみる岡本


岡本「ちょうど今、帰ろうとしていたところだ」


藤谷「総理を呼べ」


岡本「総理はお休みになっている。私が話を聞きましょう」


岡本は藤谷を応接室に案内し、2人が対面で長椅子に座り、話し合いが始まった。


藤谷「どういうことだ!」


岡本は冷静に


岡本「何がですか?」


藤谷「あんなこと総理に言わせて」


岡本は薄ら笑いをして


岡本「何のことですか?」


藤谷「しらばっくれるな!何が戦争を仕掛けるだ。嘘を言うな!」


岡本「嘘。それがいいわけですか?」


藤谷「何?」


少し藤谷は声色を変えた。

岡本は相変わらず冷静に


岡本「しかし、もうこれであなたは政治生命終わりですよ。あなたは国民を騙してたわけですから」


藤谷「お前たちのせいでな。さっき俺の派閥の副代表から連絡があってな。派閥を辞める人間が増えているらしいんだ」


岡本「自業自得じゃないですか」


藤谷「岡本!」


岡本が少し微笑み


岡本「あれ、上司に向かってその口きくんですか?」


藤谷「俺は幹事長だぞ。いつでもお前を潰せるんだからな」


岡本「私は副総理、そして副代表でもあり、この党のナンバー2ですよ。あなたは私の部下でもあるんだ。言葉を慎め」


藤谷「覚えとけよ」


怒りのまま藤谷が部屋を出ていく。

すると岡本が携帯で誰かに電話を掛け


岡本「もしもし私だ。あとは頼むぞ」


翌日、あかねが起床し、リビングに来るとあかねの母であり、総理料理人の祥子が


祥子「あらあかねちゃん、おはようー」


あかね「おはようママ」


そのままテレビを付ける。報道番組で女性キャスターが


キャスター「えぇ速報です。藤谷幹事長が正午にも緊急の会見を開くと報道陣に伝えました」


あかねが驚きながら見る。


あかね「え?」


キャスター「えぇ、藤谷幹事長によりますと、先日小野寺あかね総理と岡本副総理が会見を開き、国防軍廃止についての発表されたことに関して、猛反論したいと報道陣話したと言うことです」


睨みつけながらテレビを見つめるあかね。祥子が心配そうに


祥子「大丈夫?顔色悪いよ」


あかね「大丈夫。ご飯頂戴」


祥子「うん」


国会議事堂に行き、一昨年新たに設立された総理控室にあかねは人生で初めて座った。

少し笑顔になっていると、ドアをノックする音が聞こえ、顔を真顔にして


あかね「どうぞ」


入ってきたのは先ほど、呼び出した岡本だった。

あかねの前に立ち


岡本「お呼びでしょうか?」


あかね「大丈夫なの?藤谷の件」


岡本「あぁ、ニュース見ました。でも会見を見てれば分かります」


あかね「え?」


するとノックが聞こえ、あかねが返事をすると山本の声だった。

すぐに笑顔で


あかね「入って」


山本がドアを開けて入ってくる。


山本「あかねちゃーん。来ちゃった」


岡本は引きながら


岡本「来ちゃった?」


あかね「元気してた?」


山本「当たり前でしょ。もうさ、官房長官を仕事大変。代わって」


岡本「代わって?」


あかね「無理に決まってるでしょ。総理も意外と大変よ」


あかねが山本に少し小声で言った。

岡本は誰にも聞こえない声で


岡本「これが若い親友の会話か」


その後初めての閣僚会議に臨んだ。

大きい丸いテーブルを囲み、真ん中にあかねが座り、横には岡本と山本が座っている。


あかね「それでは会議を始めます」




~第5話終わり~


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