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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

650字短編

女装、お別れをテーマに

作者:

 黒煙を上げ、今にも崩れ落ちそうな城があった。城を守る兵は逃げ、残るは玉座の間に籠っている姫だけ。

 俺は王から、姫を生かしたまま捕らえてこい、と命令されていた。


「我が王の物好きにも困ったものだ」


 兵を引き連れ、玉座の間のドアを蹴破る。


「リア姫! 我が王の元へ参上せよ!」


 長く伸びた赤い絨毯の先。玉座にすがるように座り込んだ少女の姿があった。

 長い金髪で顔を隠すように俯き、恐怖からか肩が震えている。華奢な体をピンクのドレスが包み……? ここで俺は違和感を覚えた。何かがおかしい。


 兵が姫を捕らえるため近づく。


「おい、待て」


 刹那。


 兵の首が宙を舞った。いつの間にか立ち上がっていた姫が剣に付いた血を振り払う。

 雪のように真っ白な肌に、頬に付いた返り血が映える。海のように深い藍色の瞳が妖艶に微笑んだ。

 その姿に兵たちが見惚れる。だが、俺は騙されない。


「何者だ!? 姫はどこにいる!?」


 姫の外見は平凡以下……いや、独創的で独特な容姿をしている。こんなに美人ではない。


 そこに兵たちが倒れる音がした。慌てて振り返ると、甲冑姿の騎士がいる。


「ここだ」


 騎士が甲冑の兜を外す。長い黒髪を一つにまとめたゴリラがいた。


「姫だ! 捕らえろ!」


 俺はすぐに命令をしたが、姫の外見に戸惑い、誰も動かない。そこに野太い声が響いた。


「この世にお別れを言いたいヤツから、かかってきな!」


 その声の主はピンクのドレスを着ている人だった。

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