第1歩 主人公補正なんてなかった、いいね?
『!? どこだここは!?』
そう口に出そうとするも全く体が言う事を聞いてくれない。
『不味いな、液体で満たされてるから息が出来ん!このまま窒息死か...』
と、河合が意識を失いかけたその時、突然大きな手が河合の体を掴み、無理やり液体で満たされた空間から外へと引きずり出した。
『ゲホッゲホッ...危うく窒息するとこだった。それにしても、今の大きな手は一体...?と言うか、本当にここどこだよ!さっきから喋れないし!』
と思っているとやっと人の声が聞こえてきた。
「エマさん!産まれましたよ!立派な男の子です!」
『...はいぃぃぃぃ!?』
駄目だ、どうやら相当に寝惚けているようだ。
『まだだ、まだ慌てる時じゃない』
「この子の名前は何にするの、ジーク?」
「そうだな...スティーニーにしないか?」
『安西先生すいませんもう無理っぽいです』
どうしてこうなった。
改めてここ1ヶ月のことを振り返り、なんとか今の状況を説明できる現象がないか探ってみる。
『でもなー、マジで心当たりないわ』
しかし名前の雰囲気からすると外国っぽい。
それ以前に赤ん坊になってることが問題だ。
『まあ、なるようになるだろ』
こうして河合は考えるのをやめた。
「スティーニー、素敵な名前ね!これからあなたはスティーニー、ディエゴ家のディエゴ・スティーニーよ!」
『ちょっとまて。幾ら何でもその名前は色々引っかかるから駄目だ。せめて...ブルーでお願いします』
そんな河合の思いを知ってか知らずか、ディエゴ家の親族で話し合った結果、【川のように透き通るような素直な子に成長してほしい】という祖父ブランドーの鶴の一声によって、河合俊介は無事(?)ディエゴ・ブルーとして生を受けたのであった。
数日後
『どうやら俺は異世界に転移とも転生とも言える形で来てしまったようだ』
こういった展開のお約束と言えばステータス確認だろ!と思って、ステータスと念じてみる。すると...
名前 ディエゴ・ブルー
年齢 0ヶ月7日
性別 男
命 150
力 15
魔 25
防 10
速 0
『へー、基準がわからんからなんとも言えないがまあまあの出来なんじゃないか?』
命はまあ体力のことだろう。魔は魔法か?1番数値が高いな。力も防もこれといった問題は無いだろう。だが...
『速さが足りない!』
まあまだ生後数日だし動けない以上当たり前だが。
まあお約束も終わったことだしこれから異世界楽しんでいこうかね。