1/6
第0歩 主人公が転生すると言ったな、あれは嘘だ。
日本で普通よりちょっとだけレベルの高い高校に入り、普通よりちょっとだけ頭のいい、いたって普通の高校生“河合俊介”
彼は自分でも自覚しているオタクである。
もう慣れた自転車の帰り道。
自転車に乗る河合俊介の心は弾んでいた。
< 帰ったら遂に小説を書くんだ。>
とは思っているが、実際はネット小説のことであって断じて文◯文庫などにあるものではなく、どちらかと言えばKADOK◯WA文庫系なのだが。
帰宅後、夕食を済ませ、風呂に入り、宿題を終わらせた後に書こうとしたのだが、思いのほかタイトルを考えるのに四苦八苦し、ようやっとタイトルが決まったのは丑三つ刻の午前2時であった。
「やばい、もう寝ないと明日遅刻するわ」
そうして河合はベットに入り、寝息を立て始めた。
その時河合のスマートフォンから突然一筋の光が放射される。その光が河合に当たると、河合の姿は忽然と消えてしまった。
その光を発したスマートフォンの画面には、ついさっき河合が決めた小説のタイトルが映っていた。
そのタイトルは...
『いたって普通でオタクな高校生の異世界生活』