祝! アイスクリーム再現
この物語はフィクションです。
理論の検証とかはしないで下さい…
次の日、アキに頼んでた材料や道具が届けられた。本当に速攻だったね…。
「アリスー、出来あがるん期待しとるで!」
ああ、早く食べたいんですね。 ラジャー!
見に行ってええ? と聞かれたけど、うーん、作るの今回が初めてで、ヤバイ独り言とか出るかもしれないし、お引き取りを。
さて、一番小さな鍋出して~
うーん、材料の配分とか知らないし、ちょっとずつ割合変えてやってってみよう。
とりあえず、牛乳1Lに…、砂糖、それなりに入ってるって聞いたことはあるけど…。3分の1くらい?
混ぜて~ 鍋に投入。 で、この鍋を~ 一回り大きな鍋に入れる。
本来の作り方は~ 鍋の間に氷入れて、塩入れて、材料が凍ったところをスプーンやフォークで混ぜる?
もしくは材料をトレーとかに入れて冷凍庫に投入。同じく凍りかけたところを混ぜて空気を入れる? だったはず。
今回は前者方式で、凍らせるところも魔法で代用。
だってせっかくの持てる技術を売れる機会だし…。
まあそういった魔道具もあるにはあるけど、基本は氷とか作るだけかなあ。氷点下の温度を維持するというのは、あんまりメジャーじゃなかったはず。
さて。 鍋の隙間を凍らせて~ 温度も氷点下より低く保つ。
ふむ。中のも凍ってきてるね。
さて、これを~ っと、念のため蓋をして、
風刃。 横回転! 縦回転! 斜め! 逆斜め!
おまけに小竜巻でシェイク!
空気が混ざれば混ざるほど口溶けがなめらかって聞いたことあるんだよね~。頑張るぞ~
で、時々凍り具合を見ながら、程好いところで、混ぜる! 混ぜる! 混ぜる!
で、出来た~。 全部凍った。
おー、ふわふわ。 雲のよう~
わーい。楽しみだなあ。 いったいどんな味に… パクッ
…… えーっと、過ぎたるは及ばざるが如し… だった…
味? うんまあ、比喩じゃなく、霞を食ってるよう…。 スカスカ…
アイスって、ある程度の濃さが無いと美味しくないんですね… 勉強になりました…
先ほどの失敗を活かして、今度はあんまり頑張らない…。
どれ。 あ、今度はかなりマトモ。
うーん、アイスと言うにはクリーミーさがちょっと。でもこれはこれでどっかで…
あ、フルーツとか入ってる北の端にいる白い動物の名前がついたアレだ。甘さ控えめの。
これなら、シャーベットは出来るね。そっちもいずれジュースで作ってみよ~♪
これは牛乳の濃さが足りなかったのかなあ。
アイスの種類とかって、乳脂肪分の割合で決まるんだっけ。
うーん、アキに言って、もっと脂肪分の高いやつを…
ん? 逆に言えば水分を抜き取ればOK?
どれ。また牛乳1L計って~、そこから、水分、水分だけ氷結。
お、透明のが ぷかりと。
これボイして、っとその前に、パクッ。
水だけの味? 大丈夫そうかな。
じゃあ、牛乳減った分、砂糖はさっきと同じ量でいいかな。
冷却~。 時々、混ぜる。 …。 混ぜる。
今度はどうだ!?
うわぁ~、アイスだ! 感動~
3度目の正直。 多少さっぱり風味だけど、まあ許容範囲内か。
私、偉い。 って、もうこんな時間…。
あれ、逆算すると、1つ二時間くらいやってた? 集中力スゲー…
じゃあこれ、明日アキに食べてもらって~ って、あれ?
どうやって置いとこう…? このままだと溶けちゃうな。
うーん、冷凍庫とか無いし… 魔法で何とか…
あ! あはは、アレやってみよ~
アイス作った鍋とその外側の鍋との間の氷を再凍結。蓋もしてその上もフリーズ。氷漬け。
それをさらに大きな鍋に入れて~、まんべんなく空間ができるように固定。
そして、蓋もぴっちり閉めて、氷結で隙間を密閉。
先ほどの鍋間の空間から~ 空気を抜~く。抜く? 抜けてる?
あはははは~ 魔法で魔法ビンもどき~♪
ついでにそれを毛布でぐるぐる巻き。 念のため中身をもう一回全力で冷やす!
じゃ、これでいっかなぁ~。ふぁ~あ、オヤスミ。 バタッ
…… あれ。
次の日の朝、目の前には毛布でくるまれた物体が。
いや、覚えてるよ。覚えてるけど… 昨夜最後の方、マジックハイになっちゃってたかも…
私は今までなったこと無かったんだけど… 魔力を大量に使ったり、長時間使用すると、なんかこうやたら楽しくなったり、昂揚感や万能感を感じることがあるって説明されたんだよね。
人によるらしいんだけど…
アイス作り終えたあたりから、ちょっと酔った時に似た気分だったような…
ちなみに私は、ふわふわした感じになって、陽気になるタイプだった。
まあでも結果オーライ?
真空容器も作れればアイスの保管に便利だよね。アキに頼んでこれも試作させてもらおう。
さて。ちょっと早いけど、起きてたら来るかな?
「おお、これかいな」
アキ、起きてました。来ました。
開封したアイスを ぱくっと一口。
あれ、固まってる? もしも~し?
「なんやコレ!? 美味しいっちゅうか そんなんですませられへんっちゅうか!
ええわぁ…。
あ、でもなんや昨日の氷のとちょっと似とるな。
これもなんや牛乳を凍らして…どうにかしたっちゅうことかいな?」
「うーん、まあそうね。 ジュースもこれみたいに特殊な加工したら、また違う、あっさりしたのが出来ると思う」
「アリス―、ぜひとも、ぜひとも、こっちもお教えを~!」
「うふふふ、それはまあ、今後の交渉の内容次第よね~。でも友情特典ていうかアキの事優先したいとは思ってるわよ。今後もね~」
まあ、とりあえずもっと食べる? と聞いたら、目の前の速攻片づけて、ちょーだい、って上目づかいでお皿出してきたので~ 追加です、どぞ。
ん? 何を…
「ところでアリス、その鍋なんやねん? よう見たら中に小さいんが入っとんな?
で、よう考えたら、これ凍っとるねんな。いつ作って、何で今も凍っとんねん?
冷凍の魔道具とか持っとった?」
よし、ちゃんとこっちにも食い付いたね。気付かなかったら、こっちから振ろうと思ってたけど。
「アイスを作ったのは昨日の晩。
で、鍋の間に氷を詰めて、こんな風に空間を挟んで、毛布とかで包んどくと、冷えたままのが長く続きまーす。氷の代わりに温かいのを詰めると温かいのが長く。
ちなみに空いたところには少し細工をしまーす」
「ええーっ!? 氷とか作る魔道具はあるけど、それやなしに、放っといてもいけるんかいな。
どんくらい冷えとるねん?」
「あー、ごめん。それは試してみないと分からない。これはあり合わせでだから、まだ改良の余地はあると思うし」
「でもこれ、氷結の魔道具と組み合わせたら便利そうやなあ」
「そうね。できればこっちも、かき氷の道具作るのと一緒に試作させてほしいな。
ただし、専用の容器が出来上がったいくつか欲しいし、改善点思いついたら反映させたのも試作してほしいけど」