錦鯉とミジンコは同じ池に入れないで下さい
さーて、初登校の日です。研究の成果を駆使して、本日もヒロイン?は地味かつ真面目風味の平凡モブ化しておりま~す。個人的にはこっちのが落ち着いたり。
で、教室の扉開けると… え゛っ!
そのまま閉めて回れ右したい…。頑張って、何事も無かったかのようにふるまって、適当と思われる席に座ったけど…
いやぁーっ! キラキラ金髪、赤毛銀髪いるーっ! うわっ、あっちに青、黒もいた…。
攻略対象全員居るってなんでなの? 関わらないようにしようと決めたばっかなのに…。
ああっ、そういえばゲームではそんなんだった気はするけど…
実際自分がそうなると、感想は
「いやーっ! どうしてこうなってるの~っ!?」
昨夜、ボロ出さないように、こっちの平民感覚を掘り起こして身に着けてきんだけど、それからすると、こういった配属、かなりの特例。
それと前世の感覚も合わせて危惧すると、王族やら、ヒイッ! たしかあの燃えるような赤い髪、王子の婚約者の公爵家令嬢! みたいな身分高い人がいるとこに平民孤児を入れるって、それ皆さんの性格がマトモじゃなかったら、良くてパシリ、悪くてイジメターゲットじゃ…。
先生マトモですか? 権力に屈したり事勿れ主義だったりしませんか? お願いしたら助けてもらえるの? 相手、王太子。次代の王でも?
学校は社会の縮図、どこでもあることだから耐えろとか? でも相手王族とかだと、そのままイジメ倒されるか、逃げても、そういった偉い人たちに睨まれてたら就職とか大丈夫? 野垂れ死にとかヤですよ~。
できれば安定した職には就きたいしなあ。国家公務員とかいいですよね~。
錦鯉のいるとこにミジンコレベルの相手を混ぜないで下さいよーっ。せめて相手は金魚くらいでお願いします。 あ、でもかえって目に留まりませんかね。
それはさておき、教室内を実際に見るとある意味面白い。ヒエラルキー一目瞭然…。
中央あたりの場所に、なんかキラキラした人物が群れてる~。服装なんかもランクが上みたいだけど、それだけじゃなくオーラというか物腰も周囲とは一線を画してる。で、その周囲を、服装とかあまり差は無いんだけど、威厳というか高貴さというかが足りないのが押さえてる。
で、少し距離を置いて、モブ生徒が後ろや横に。青と黒はこっちだけどね。
あ~、ヒロイン、ゲームで王子の横に座る場面とかあったけど…、あそこらへんだったけど… バカ?
ちなみに最初、ちょっとショートカットして近く通ろうとしたら…
おう? 周囲のみなさんの視線が集まってきてま~す。 さらに進もうとすると~
「ゴホン」「あら?」「えっ!?」と周囲の取り巻きより無言の圧力、いや無言じゃないか。咳払いやら訝しそうな声やらでの警告?入りました~。
うん、それ以上進む度胸はないね…。 回避~
すいませ~ん、うっかり気付かず歩いてただけでーす。悪気ないです、やらかす気無かったで~す。
私、気付いたら止めるいい子です。忠告されたら分かる子です。だからいじめないで下さい、お願いします…。
ハチの巣にうっかり近づいた時ってこんな感じかな、ははは…。
さっきのって警戒音? 声量自体はひっそりしてるんだけど、不穏さがね…。 周囲3メートル以内は警戒範囲内のようで~す。
空気読む日本人だけど読まなくてもバッチリ分かる…。
あんなとこに突っ込んでいくなんて、空気読めない通り越して、無神経? そもそも読む気がない? 判断力からして疑問視されるレベル…。
王太子殿下、ゴメンよ~。ゲームで「王族ではなく個人として見て欲しい」とか言ってたけど、うん、無理。マトモな神経してたら、わざわざそんな痛い目に遭いそうなこと出来ませんよ~。その気も無かったけどいや無理だわ、コレ。
「あ、あんた昨日、隣におった?」
後ろの方に座って、目立たない程度、物珍しそうなふりで観察してたら声が。
あー、入学式の時の事情通のお隣さん。
「ええ。あなたもこのクラス?」
「せや。うちはアキ・ナーニワ。知っとる子おってうれしいわ。今後ともよろしゅうな」
「アリス・ワンダーよ。こちらこそよろしく」
情報に敏そうだし、知り合いだと助かるかも。今後の回避にご協力お願いしますね。