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10年の時に  作者: まほろば
ハート国
18/121

ポーションとギルドランク



宿への帰り道、ナビにポーションの話を聞いた。

ポーションには初級と中級と上級があって、怪我の酷さで使い分けられているらしい。

他にも麻痺や毒を治すポーションもあるそうだ。

初級ポーションは大金貨1枚で切り傷なら治せる。

中級ポーションは大金貨20枚で骨折も治せる。

上級ポーションは大金貨100枚で重い病も治せる。

「僕が作れるのは初級だけ?」

『ジョウキュウマデツクレマス』

「上級まで?他のポーションも?」

『イエスマイマスター』

「ポーションを売ればお金に困らないね」

『ポーションハキョウカイノシュウニュウゲンナノデタイリョウニウルノハキケンデス』

「この世界にも教会が有るの?」

『イエスマイマスター』

「そうか」

日本人の大半が自然を神としてるように、僕は神を否定しないけど肯定もしない。

『マイマスター』

「僕の国は自然の中に八百万の神がいるんだ」

日本に帰りたかった。

10年後、帰れたら。

全部に感謝して生きていく自信があった。

『ポーションバイキャクハヒカエメニ』

「え?」

他を考えてたからナビに間の抜けた返事を返した。

「控え目って?1日にポーション10個とか?」

ナビの答えは、初級なら100個、中級なら5個、上級なら1個と返ってきた。

「つまり、1日大金貨100枚までって事?」

『イエスマイマスター』

「その中に自分が使う分は含まれてるのかな」

『スベテノタイセイガアルノデマイマスターニポーションハヒツヨウアリマセン』

「全ての耐性?」

『マイマスターニハスベテキキマセン』

「…すごいな」

素直に驚きだった。

その時、ある場面を思い出した。

耐性から連想したのかもしれない。

「ナビ。隷属の鎖は?」

『イマノマイマスターニハキキマセン』

「今の?召喚された事で強くなったから?」

『イイエ。カミノシュクフクヲウケタカラデス』

「神の祝福?」

『ジョウイシンノシュクフクデス』

「上位神か」

ナビに説明されてもピンとこなかった。


翌朝、冒険者ギルドへ行った。

受付のお姉さんから盗賊のアジトは探索したのか、と聞かれたので知らないと答えた。

「盗賊の身柄を村に居た騎士と兵士が連れて行ったので私達は何も聞いてないんですよ」

おじさんの説明に納得したのか受付のお姉さんが紙を見ながら報酬の話を始めた。

「盗賊を殺さず捕まえたトオルはギルドランクが上がってBランクになります」

やっぱり。

「Bランク」

「盗賊の数は7。報酬は大金貨で140枚。引き出しされますか?」

「引き出し?」

「国が変われば使う硬貨も違いますから、なるべくギルドカードに貯蓄しておいた方が良いですよ」

おじさんの説明で、ハート国の次は他の国へ行くんだと改めて思った。

ナビの話だと、ギルドカードに入れておけばどこの国に行ってもその国の通貨で自由に引き出せるらしい。

「Bランクからは宿の支払いもカードで出来ます」

お姉さんがにこやかに言った。

「カードで?」

『ヤタイナドハキキマセン』

話が全部自分が知らない事だった。

「カードにいくらありますか?」

「大金貨252枚ですね」

カードに入ってる金額が多すぎる気がした。

『ナビ。多すぎないか?』

『ハテノムラノトウバツホウショウ』

『え?あ、ギルドランクが上がったりロンの妹の話でバタバタして報酬貰うのすっかり忘れてた』

果ての村の討伐報酬で大金貨100枚。

盗賊で大金貨140枚。

残りの12枚は?

『プールショウカイノイライリョウトギルドニバイキャクノケガワノダイキン』

『護衛の報酬ってギルドランクじゃないの?』

『コウカトギルドランクノリョウホウデス』

『納得』

「どうなさいますか?」

「下ろしません」

「承知しました」

帰ろうとして、おじさんがお姉さんに聞いた。

「アジト探索の利益は軍になるんですかね」

お姉さんは悔しそうに頷いた。

「やはりですか。追い掛けられて殺されるよりましですが、腹に据えかねる話ですよ」

「冒険者ギルドとして軍に確認しても機密としか返答が無くて、村長の書類が無ければ盗賊を捕まえた事実も無かった事にされたと思います」

『ナビ。ホントの話?』

『イエスマイマスター』


冒険者ギルドを後にして、おじさんとこれからの予定を相談した。

「次の町には明日発ちましょう」

「今日の予定はどうしますか?」

「実は今泊まってる宿に商品を入れていただける事になりまして、夜にその見積もりを」

おじさんはにこにこと、在庫の確認をしに宿へ戻どって行ってしまった。

急にポツンと暇になったから、僕も広場に来てさっきから気になっている事をナビに聞いてみた。

『この大陸のお金を国別に分けて計算して、いくらあるが教えて欲しい』

『ハートコクダイキンカ243マイ。スペードコク102マイ。クラブコク81マイ。ダイヤコク277マイデス』

『他の大陸のお金もある?』

『ドワーフコク227マイ』

「200超えてないのはスペードとクラブか、ギルドの金はその補充になりそうだな」

『ホジュウトハ』

「現金は持っているべきだ。軍が堂々と不正しても冒険者ギルドは手出しできない、だろ?」

『イエスマイマスター』

「この先軍の力が冒険者ギルドに及んだら、ギルドカードのお金も没収されかねない」

『カノウセイアリ』

「ならある程度の現金は持っているべきだ。それはアイテムボックスが消えないって保証があって成り立つ話だけど」

ナビは何も言わなかった。

「アイテムボックスにクラブとスペードの硬貨も200枚になってから、アイテムボックスとギルドカードに同額増やしていこう」

『イエスマイマスター』

ナビの声が心持ち低く感じた。

「ナビ。僕の国に『石橋は叩いて渡れ』ってことわざがあるんだ。保険は必要だよ」

やはりナビから返事はなかった。

「僕はナビを信頼している」

『イエスマイマスター』

「相談だけど、プール商会に初級ポーションを買って貰うのはどうかな」

『ショウサイヲ』

「大金貨100枚分の初級ポーションをプール商会に卸して、代金をギルドカードに入金して貰う。それなら他国の硬貨に替える資金が出来る」

『イエスマイマスター』

「問題は貯まりすぎて軍が冒険者ギルドに怪しまれる可能性だな。何か対策は無いかな」

『ダイキンヲホウセキニスレバカノウカト』

「宝石って?」

『ダイキンカ1000マイデコツブナホウセキニ』

「大金貨1000枚を1個に出来るのか」

『10000マイヤ100000マイクラスノホウセキモアリマスガコウガクデフシンニオモワレルカト』

「1000枚の小粒なら数を持ってても怪しまれないね、宝石にする方法と換金の方法は?」

『ボウケンシャギルドカショウギョウギルド、プールショウカイデモカノウカト』

「プール商会でも?」

商会で小粒の宝石にするのは容易いけど、小粒を大金貨に換金するのは枚数の関係で冒険者ギルドか商業ギルドを薦めるとナビが言った。

「毎日卸して10日に1個小粒を貰う。早速今夜おじさんと交渉してみるよ」



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