4/5
黒髪
彼女はいつも綺麗な黒髪をしていた。
前から三番目、後ろから四番目の席。
さらさらで宝石の様に靡く黒髪はどれだけ眺めていても厭きない。
いつどこで見ても、素敵だ。
なのに……いつの日から、彼女は来なくなった。
変わりに、短髪の赤髪の少年が彼女の席に座るようになった。
わからない。
「なんで……」
「彼女は死んだんだ」
「なんで……」
「本当は気付いているんだろ?」
「なんで……っ」
「君が彼女を殺した」
彼が何を言っているのかわからなかった。
「君が彼女を殺したんだよ……黒髪の君がね」
私の中で、何かが弾けた音がした。
──パチン
「あーあ……また死んだ」
彼は嗤う。
「次は、君の番だよ……黒髪ちゃん」
黒髪の生徒が恋をして性転換を繰り返す、そんなお話。