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それから

 冬が過ぎ、春になった雪峰山は頂上を残して緑に包まれている。様々な動植物が目覚め、山は今までに増して賑やかになった。

 豪也の家の周りにも花が咲き、庭先で鳥が戯れている。

 敬子は、十三歳になった。

 この春から、大叔母である加代の家を出て、豪也の家で住み込みで修行をしている。

 加代の元で薬師の修行をしている空や海も、薬師として日々成長していた。彼女達は、薬草を採りに山に立ち寄った際、敬子の元によく顔を見せに来る。

 空は十四になり、とても美しい娘になった。海の話では、最近空目当ての男たちが怪我や病気の治療にかこつけて加世の家に群がるらしい。

 そう言う海も、なかなかの美しい少女に育っている。

 最近、何かと彼女に構う嵐の様子が彩夏の住人に目撃されていた。


「敬子様は、退治屋の仕事がすっかり板に付いてきたみたいですね」

 修行の合間に大叔母の家で休憩している敬子に、空が嬉しそうに寄り添った。海も反対側から敬子にもたれる。敬子の膝の上には、少しだけ成長した小雪がちんまりと座っていた。


「天職だったんですよ。敬子様は、きっと凄い退治屋になります」

 二人は、敬子のことを自分達のことの様に誇らしげに語った。

「……どうだろうね、敬子は豪也に比べたらまだまだヒヨコだよ。もっと経験を積まなきゃね」

 敬子の後ろからは、人食い花の香葉が顔を出した。彼もよく加世の家に現れる。

 海が慌てて香葉のために場所を空けた。


 小雪が香葉の意見に同意するかの様に尻尾を振る。

 妖犬の成長は早く、あと一年もすると、小雪は立派な成犬になるそうだ。


「アンタ達、またここに集まっているのかい。薬師の家は、子供の遊び場じゃないんだよ!」

 奥から加世と豪也が顔を出す。

「豪也さんも、ここに来ていたの?」

「ああ、仕事でな。敬子、宮殿から新しい妖退治の依頼だ。今度の妖は少し大物だぞ」

「またなの? 麗華もお祖母様も、人使いが粗いよね。真と嵐にも声を掛けてくる!」


 麗華はあれから、宮殿に残って正式に巫女の役目に就いた。

 同じく宮殿に残った祖母と、罰を免れた黒鵜と共に宮殿の改革を行っているらしい。

 正義感に溢れた麗華は、巫女の仕事の一環として、人々を脅かす凶悪な妖の退治にも力を入れ始めた。宮殿の外の妖被害を少しでも減らす為だそうだ。


 豪也のところに依頼が来ることもある。

 始めは渋っていた敬子達だったが、宮殿からの依頼で出る報酬は破格。それに、麗華も反省したのか、鼠退治の時のような無茶な依頼もない。

 最近は、ごくたまにではあるが、宮殿からの依頼を受けてやることもある。

 敬子は素早く小雪を抱いて、刀を腰に差し直した。


「いってらっしゃい、敬子様」

「いってきます。怪我をして、空と海のお世話になることがないように、気を付けなきゃね」

「まあ、敬子様ってば!」

 柔らかな緑をたたえる春の雪峰山に、軽やかな笑い声が響いた。



本編はこれで完結です。

ここまで読んで下さり、ありがとうございましたm(_ _)m


もしかすると番外編を書くかもしれません。

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