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祖母の部屋<※麗華視点>

 次郎達は勢いを付けて襖を蹴り倒すと、隣の部屋へと乗り込んだ。

 麗華は倒れた男に駆け寄り、彼に話しかける。

「大丈夫? しっかりして!」

 しかし、既に事切れている男から、反応が返ってくることはなかった。


 男を殺した妖を警戒しながら隣の部屋へ乗り込んだ退治屋達だが、既にそこには何もおらず、闇だけが広がっている。

 麗華は男から離れ、退治屋達の元へと歩いた。

 隣の部屋へ一歩を踏み出したその瞬間、麗華の足下を何かが駆け抜ける。小さくて素早い何かは、麗華の足の間をくぐり抜け、闇の向こうへ走って行った。

「……一体、何だったのかしら」

 気になりながらも、麗華は退治屋達と共に先へと進む。

 次の襖も同様に蹴破ったが、そこも空振りだった。次はいよいよ麗華の祖母が軟禁されていた部屋である。


「この先だな……」

 確認してきた次郎に、麗華は頷いた。

「全員同時に乗り込むぞ!」

 もう一人の壮年の男の掛け声と共に、退治屋達は部屋へ踏み込んだ。

 麗華も彼等に続いて進もうとしたが、仕切りを跨ぐ直前で何かに袖を引かれる。

「……えっ?」

 そのまま口を塞がれ、別の部屋に引きずり込まれた。必死に抵抗するものの、麗華を捕える腕は力強く、振り払うことが出来ない。

「んーっ、んー!」

 そうして、退治屋達に気付かれないまま、麗華は姿を消した。



 退治屋達は、麗華の祖母が捕えられているという部屋の中を確認した。

 しかし、それらしき女はおらず、部屋の中はもぬけの殻だ。中央に高価な寝具だけが置かれている。

「この布団、まだ暖かい……」

 まるで、少し前まで誰かが使っていたようだった。


「おい、巫女様。ここには誰もいないみたいだ。他に、アテはあるか?」

 麗華に報告しようと嵐が振り返ったその瞬間、一斉に部屋にある全ての襖が閉まった。

 退治屋達の間に動揺が広がる。

「おい、巫女様はどこだ?」

 真の言葉に、一同はキョロキョロと辺りを見回した。

 すぐ後ろについて来ていたはずの、彼女の姿がない。


「巫女様を探せ!」

 次郎の焦った声が飛んだ。

 だが、彼等が元来た道を引き返す前に、襖の奥から黒い影が飛び出してきた。黒い影は、生き残った壮年の男の喉笛を一撃で噛みちぎる。男の首から、盛大に血が噴き出した。


 倒れた男の傍には、黒く大きな毛むくじゃらの生き物が立っている。闇の中で紅い目がギョロリと光った。

「……なんだコイツは」

 嵐が、彼の武器である大鉈を構えて呟く。緊張の為か、嵐の全身には汗が伝っていた。巨大な妖だ、身長だけでも彼の倍くらいはある。

 次の瞬間、黒い影が前足を振り上げた。先端には長く鋭い爪が付いている。

 退治屋達は咄嗟に跳んでそれらを避けた。最初の男を貫いたのは、この妖の爪だったらしい。


「やべえな、コイツは……鼠か?」

 次郎は、弟子達をかばいながら、突如現れた黒い化け物を見上げた。よく観察すると、その妖は巨大な溝鼠に見えなくもない。

「こいつが宮殿に巣食う親玉かな?」

 初めて大物の妖を目にする嵐が、震える声でそう尋ねる。

「……だといいがなっ!」

 次郎は答えると同時に、右横の襖に針のような飛び道具を投げた。


 グギャッという声と共に、右の襖の奥からもう一匹の鼠が現れる。

「囲まれたな、左の襖の奥にももう一匹いるぞ、気をつけろ」

 次郎の言葉に、真と嵐は気を引き締めた。

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