青春が巡る時
今回は、動物も何も死にません。
安心して、ご覧になってください。
「起きなさーい、彰!! 遅刻するわよー!!」
「んー今起きるよ、母さん」
毎朝決まった言葉の母からのモーニングコールで起きた僕は、パンをかじりながら朝のニュースを見ていた。
その時、渋谷の通り魔事件の映像が流れてきた。
「怖いわねぇ…近いし気を付けなさいよ」母は嘆くように呟いた。
「うん。でも大丈夫だよ、交番の中野さんがパトロールしてるだろうし、いざとなったら助けてくれると思うよ」
「本当に、中野さんの事を慕っているのね。確かに、中野さんはいい人だしね。」
「やばい!!そろそろ時間だから、学校に行って来るね」
「いってらっしゃい、彰」
母から玄関で弁当を受け取ってから、二度目のいってらっしゃいを聞き玄関を出た。
「おー、おはよう少年」中野さんが笑顔で挨拶をしてくれた。
「中野さん、おはようございます!!」
「これから学校かい?勉強頑張れよ!!」
そう言い残し、中野さんは自転車で颯爽とパトロールを再開するためどっかに行ってしまった。
「その学校が楽しくないんだけどね…」暗い顔になりながら学校へ向かった。足取りを重く感じながら。
「おっはよー!!くっろとりくーん!!」
馬鹿みたいにワックスで髪の毛をツンツンにした田口が、馬鹿にするように挨拶をしてきた。
「おはよう」
できるだけ愛想良くあいさつをした。
「なに俺に口きいてんだよ。」
鳩尾を勢いよく蹴ってきた。
さぞかし、僕の態度が気に入らなかったんだろう。
「うぇ…」
「おいおい吐いちゃうのか?黒鳥だけに鳥みたいに食ったもの出すのか?はっはっは!!」
田口の取り巻きの奴らも笑いながら見てきた。
キーンコーンカーンコーン
「ちっ、朝のホームルームだ。先生どもにばらすんじゃねぇぞ!!」
毎回、同じような事されてばらした事ないだろ…と考えた時
「おい黒鳥、放課後に体育館裏に来いよな」
「わかった」
吐きそうな気分を抑えながら絞り出した言葉がそれだった。
今日も誰もいないのか。昨日の里中さんとの会話を思い出す。
「おい、黒鳥!!何ゆっくり歩いてんだよ!!早く来いよ!!」
「なんだい?田口君」
「俺は、お前を許さない。ただそれだけだ。」
「じゃあな」
訳のわからないことを言い田口は去っていった。
僕も体育館裏から表に出ようとした時、里中さんに呼び止められた。
「あなたは、体育館裏に愛されているようね」
「田口に続いて里中さんまで何を言ってんの?」
「いや、ただの皮肉よ」
訳わかんねぇ、この人たち。
「さて、雑談はここまでとしてなぜメールをくれなかったの?」
「だって、メールしてとは言われたけど昨日の時に教えてくれなかったじゃないか」
「そうだったかしら」
「そうだよ」
「じゃあ生徒手帳を貸してちょうだい、そこに書くから」
「わかった」
胸ポケットに入れていた生徒手帳を彼女に渡した。
「これで、メールできるわね」
メールアドレスを書いた後の生徒手帳を渡しながら言った。
「今夜に、メール頂戴ね。待ってるわ。」
「絶対メールするよ。里中さん」
昨日から里中さんと話してから家に帰ってる気がする。
「ただいま、母さん」
「お帰り、彰」
「有紀も帰ってきてるわよ」
有紀とは僕の5つ年が離れた妹で父にも母にも似ていないくて、すごく美人な子だ。
「お兄ちゃん、お帰り!!」
有紀の部屋から、ニコニコしながら言ってきた。
「ただいま、有紀」
僕もニコニコしながら言ってあげた。
「夕食ができたら、呼んで!!部屋でゴロゴロしてるから」
「寝ないでよ!!」
「寝ないよ」
寝るわけにはいかないのだ。
里中さんにメールしなければいけない使命があるので。
『こんにちは、里中さん』
こんなメールでいいかな。
とりあえず、送信するとしよう。
『こんにちは、黒鳥君』
3分もせずに返信が返ってきた。
『返信早いね』
『すぐ返信するのは、当然じゃないかしら?』
『そんなもんかな。突然なんだけど、聞きたいことがあるんだけど良い?』
『答えられることなら、答えるわ』
『なぜ、僕はマスコットになることになったんだろう?』
『それは、協調性のなさとかじゃないかしら』
『それと何よりも、田口君に黒鳥君が嫌われてることでしょうね』
『嫌われる理由が無いと思うんだけど、どうかな?』
『その内、わかる時が来るわ』
『あなたにも、人の気持ちって物を』
「彰!!御飯よー」
「今、行く!!」
『夕飯だから、また折り返しメールするね。』
『わかったわ』
このメールを確認してから、夕食に向かった。
「今日は、あなたが大好きなマグロ丼よ」
「本当!?やったぜ。今日はいい日だな~」
夕食後の暇な時間に里中さんからメールがきた。
『あなたは、気になる人とかいるのかしら?』
なんてこった、メールを始めて初日にすごいメールが来てしまった。
訂正がございましたら、活動報告にでも書いていただけたら幸いです。